人生にロマンスとミステリを

小説を読むのも書くのも大好きな実務翻訳者です。ミステリと恋愛小説が特に好き。仕事のこと、日々のことを綴ります。

長浦京『アンダードッグス』

2024-05-10 10:04:54 | 読書記録(紙書籍のみ)
長浦京著『アンダードッグス』

この前読んだ短編集の作品がとってもおもしろかったので、
この作家さんの別の作品を探した。

おもしろかった。スパイアクション映画を見ているみたいに
ハラハラドキドキ。読みだしたら止まらなくて、あっという間に
読み終わった。

上司命令による裏金作りが世間にバレて農水省をクビになり、
現在は証券会社で働く古葉慶太。
香港が英国に返還される直前の時期。
顧客のイタリア人大富豪マッシモに呼ばれて、ある強奪計画を
強要される。一見非力な元官僚なのに、なかなかどうして。
マッシモの指示通り香港の会場レストランに行ったら、直前にマッシモが
殺されていた。屈強なロシア人SPと一緒に。けれど、いろいろあって
今さら引き返せない。

マッシモの指示に従い、強奪計画のチームメンバーと合流する。
メンバーはみな国籍も経歴もばらばらの素人。強奪するのは
世界の政府要人や大物たちの汚職の証拠らしいけど、アメリカ、ロシア、
イギリス、中国の諜報機関から狙われる。それだけのために、ほんまに?みたいな。

チームメンバーには裏切り者もいて、状況は二転三転。
緊迫した中、互いの過去を話して、仲間意識が生まれたところで、
その相手が裏切ったり、殺されたり。仲間になりそうだった助けてくれた
人たちが殺されるのはつらい。諜報機関や殺し屋の殺し方なのでえげつない。

強奪チームは古賀たちだけでなく、ほかに3チーム用意されていたことがわかる。
どのチームが、誰が、裏切り者なのか。

並行して21年後の物語が描かれている。
古葉の娘(実は養女)である瑛美が日本で逮捕されそうになり、連絡を取った
弁護士に言われて香港へ。香港では父(古葉)を知る人物たちを
尋ねて、古葉の過去をたどる。最後はほんのりじぃんとする。

とはいえ! 普通の元官僚の古葉さん、すごすぎやろ。




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