人生にロマンスとミステリを

小説を読むのも書くのも大好きな実務翻訳者です。ミステリと恋愛小説が特に好き。仕事のこと、日々のことを綴ります。

呉勝浩『道徳の時間』

2024-02-19 15:54:41 | 読書記録(紙書籍のみ)
呉勝浩著『道徳の時間』

第61回江戸川乱歩賞受賞作、ということを解説で知った。

失意のどん底のビデオジャーナリスト、伏見が妻と長男のいる関西のT県鳴川町に戻って来た。
仕事をする気になれず、無為に過ごしていると、友人から、かつて町で起きた殺人事件
(向晴人という苦労人大学生が、小学生と保護者含む300人の目撃者の前で恩師を刺殺)の
ドキュメンタリー映画のカメラの仕事を紹介される。監督は訳ありっぽいクールすぎる美女・越智。

一方、町では連続イタズラ事件(イタズラと同時に「〇〇の時間を始めます」と
書かれた張り紙が残される)が起きているなか、かつての著名陶芸家が死亡。現場には、
『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きが。陶芸家は自殺と
思われたが、落書きのせいでイタズラ事件との関連が疑われる。

越智の正体については想像できたけど、なんというか過去の殺人の動機が怖い。
晴人と晴人の妹・美幸の両親がクズ過ぎる。誰か何とか手を差し伸べてあげられなかったのか。
いくら閉鎖的な町なのだとしても悲しすぎる。

でも、いろいろ考えさせられる。未来に絶望しかないとわかった者の目とか、
カメラを向けることで人を殴っているとか。

いろいろと重いセリフがあった。でも、イタズラ事件の子どもたちは、殺人事件の
子どもたちとは違ったことが少しの救いなのかもしれない。先に読んだ『爆弾』
は釈然としない感じが残ったけど、こっちは胸に重いものが残る。
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東京一人旅

2024-02-13 14:19:38 | 日記
へへへ、連休に東京に行ってきました。長男を出産してから初めての一人旅です。
あんなにかわいかったkidsも絶賛W反抗期と憎たらしく、毎日心理的に疲弊していたのですが、
ここぞとばかりに羽を伸ばしてきました。

本来の目的は、お世話になり始めた翻訳勉強会の先生の古希のお祝い会に参加することでした。

ハチ公像のある渋谷で待ち合わせで、テンション上がりまくってハチ公像や
スクランブル交差点の写真を撮ったりしてました(笑)。

お祝い会はとても楽しく、あっという間でした。幸運なことにくじで先生の近くの席を引き当て、
たくさんお話を聞かせていただきました。読書家の人もいて、私なんぞぜんぜん読書好きと
名乗れないのでは、と思ったけど、まあ、名乗ります。

あっという間に時間が過ぎ、名残惜しくもお別れした後は、宿泊先ホテルのある浅草へ。
人生初浅草寺でお参りしておみくじ引きました。一人もんじゃしようと思ってたのですが、
ランチでお腹いっぱいなのと、ちょっとお腹の具合が悪かったのとで、断念。
歩き回って疲れたので、かなり早く寝ました。

翌日は反抗期kidsに頼まれていた原神のグッズを買いに秋葉原へ。っていうか、キャラが
最近のキャラじゃないので、グッズがないんですよ。
秋葉原ドンキ→アニメイト秋葉原→あみあみラジオ会館店→あみあみ2号店(は原神グッズ置いてなかった)
→池袋ファンタジービレッジ→アニメイト池袋と回ってあげましたよ、反抗期kidsのために。
私、偉すぎるやろ。感謝しろ、反抗期kidsども。

池袋に移動する前にメイドカフェ行きました。超緊張しましたが、かわいいメイドさんと
「萌え萌えキュン」とかやりました(笑)。一緒に写真も撮ってもらいました。
お嬢様ですって。ぐふっ。

それから、スカイツリーへ。予約していた時間が夕方だったのですが、タイミングよく夕焼けと
夜景を見て帰りました。ちゃんと原神の写真も撮ってあげましたよ、kidsのために。もー。

(夕焼けの富士山。スマホのスペックと私の写真の腕がダメダメなのはご愛敬)

帰りの新幹線では一番後ろの席に座れたので、『ミステリと言う勿れ』でととのうくんが
座席を「マックス」まで倒すのがずっと気になってて(180度倒れると思い込んでいた(笑))、
やってみたら、180度じゃなかったです。マックスまで倒しても、たぶん後ろの人は大丈夫。
寝顔も見られないはず。

そんなこんなで、歩き回ってすごく疲れたけど、とってもリフレッシュできました。
今日からまた反抗期kidsとのバトルが始まる。
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呉勝浩『爆弾』

2024-02-01 17:58:35 | 読書記録(紙書籍のみ)
呉勝浩著『爆弾』

1ページ開いたら終わりです。おもしろすぎてページをめくる手が止められなくなります。
がっつり寝不足になりました(笑)。

お酒を買いに来たのにお金がなくて腹が立ち、自販機を蹴って店主を殴ったとして、
中年男が野方署に連行された。示談金(?)を払って終わり、の事件に思われたけど、
スズキタゴサクと名乗ったその男は、取り調べの最中に「10時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルで爆発が。スズキタゴサクはそれからも爆発を予言(予告)するが、
それがなんだか質の悪いクイズのようななぞなぞのような。

最初は誰も死ななくて、あまり警戒せずに読んでいたら、次の東京ドームの近くでの爆発では
人が死んでしまった。一気につらく悲しくなって、それまではとぼけた男だな、くらいの
認識しかなかったのに、残酷な事件を起こしながらも、とぼけているのがすごく許せなくなる。

あれこれ伏線があって、気になって次々ページをめくってしまうけど、
スズキタゴサクは最後までスズキタゴサク。本名も、いったいどういう人間で、どうしてそんなことを
するようになったのかも、わからないまま。

そして、最後の1文が恐ろしい。
「最後の爆弾は見つかっていない。(P425)」
世の中には理不尽も不条理もある。それはわかる。でも、そういう怖さを認識して生きていくのはしんどすぎるから。
私は最後の爆弾のことを忘れて生きたい、と思う。
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