呉勝浩著『道徳の時間』
第61回江戸川乱歩賞受賞作、ということを解説で知った。
失意のどん底のビデオジャーナリスト、伏見が妻と長男のいる関西のT県鳴川町に戻って来た。
仕事をする気になれず、無為に過ごしていると、友人から、かつて町で起きた殺人事件
(向晴人という苦労人大学生が、小学生と保護者含む300人の目撃者の前で恩師を刺殺)の
ドキュメンタリー映画のカメラの仕事を紹介される。監督は訳ありっぽいクールすぎる美女・越智。
一方、町では連続イタズラ事件(イタズラと同時に「〇〇の時間を始めます」と
書かれた張り紙が残される)が起きているなか、かつての著名陶芸家が死亡。現場には、
『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きが。陶芸家は自殺と
思われたが、落書きのせいでイタズラ事件との関連が疑われる。
越智の正体については想像できたけど、なんというか過去の殺人の動機が怖い。
晴人と晴人の妹・美幸の両親がクズ過ぎる。誰か何とか手を差し伸べてあげられなかったのか。
いくら閉鎖的な町なのだとしても悲しすぎる。
でも、いろいろ考えさせられる。未来に絶望しかないとわかった者の目とか、
カメラを向けることで人を殴っているとか。
いろいろと重いセリフがあった。でも、イタズラ事件の子どもたちは、殺人事件の
子どもたちとは違ったことが少しの救いなのかもしれない。先に読んだ『爆弾』
は釈然としない感じが残ったけど、こっちは胸に重いものが残る。
第61回江戸川乱歩賞受賞作、ということを解説で知った。
失意のどん底のビデオジャーナリスト、伏見が妻と長男のいる関西のT県鳴川町に戻って来た。
仕事をする気になれず、無為に過ごしていると、友人から、かつて町で起きた殺人事件
(向晴人という苦労人大学生が、小学生と保護者含む300人の目撃者の前で恩師を刺殺)の
ドキュメンタリー映画のカメラの仕事を紹介される。監督は訳ありっぽいクールすぎる美女・越智。
一方、町では連続イタズラ事件(イタズラと同時に「〇〇の時間を始めます」と
書かれた張り紙が残される)が起きているなか、かつての著名陶芸家が死亡。現場には、
『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きが。陶芸家は自殺と
思われたが、落書きのせいでイタズラ事件との関連が疑われる。
越智の正体については想像できたけど、なんというか過去の殺人の動機が怖い。
晴人と晴人の妹・美幸の両親がクズ過ぎる。誰か何とか手を差し伸べてあげられなかったのか。
いくら閉鎖的な町なのだとしても悲しすぎる。
でも、いろいろ考えさせられる。未来に絶望しかないとわかった者の目とか、
カメラを向けることで人を殴っているとか。
いろいろと重いセリフがあった。でも、イタズラ事件の子どもたちは、殺人事件の
子どもたちとは違ったことが少しの救いなのかもしれない。先に読んだ『爆弾』
は釈然としない感じが残ったけど、こっちは胸に重いものが残る。