人生にロマンスとミステリを

小説を読むのも書くのも大好きな実務翻訳者です。ミステリと恋愛小説が特に好き。仕事のこと、日々のことを綴ります。

話題の翻訳a pleasant if awkward fellow, Hatoyama

2020-11-19 20:41:44 | 日記
なんか話題になっていますね。例のオバマさんの回顧録のやつです。
わたくしめのような零細翻訳者が首を突っ込むのもどうかと思いましたが、
一応、翻訳者の端くれとして、話題に乗っかってみます。

よく英語は前から訳す!みたいに言われて、まあ、考え方の流れが前から後ろへだから、
そうなんだろうとは思いますが、a pleasant if awkward fellowの場合は違う。

手持ちの辞書をいろいろ見ましたが、この譲歩のif、後ろから訳すのが正解です。
というか、if awkwardを挿入みたいに考えるとわかりやすいのかな。
というわけで、訳例としては「扱いにくいけど、感じのいい人」などになります。
全部読んだら違う訳語になるかもしれないけど、とりあえずここではこうで。
ってか、awkwardの訳が難しいな(笑)。

これを「感じはいいけど、扱いにくい人」とやってしまうと、悪いニュアンスの方が強く
なってしまう。こういった誤訳が政治問題になるのだ~的なことを書いている人もいた。

ぶるぶる。誤訳、おそるべし。

翻訳では筆者がはっきりとは言っていない意図とかニュアンスを読み取って訳す、みたいに
言う人もいるけれど、私はできるだけニュートラルに訳すように心がけている。
翻訳学校の先生がそういうスタンスの人だったから。

いまだに辞書をいくつも確認しちゃうし、翻訳に時間がかかりすぎていると思うけど、
誤訳をしないためには自分なりに慎重に取り組む今のやり方でもいいのかな、と
ちょっとだけ思えた数分間でした。



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