ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

親子関係 2000.8.1

2000-08-01 16:52:54 | 嫩葉
親子関係
「ラヴ・ユー・フォーエバー」(岩崎書房)という絵本がある。一部ではかなり知られ、アメリカでは1200万部を突破したと言われている。日本でも毎月1万人の人々に読まれている、と帯表紙に書かれている。ひょんなことからわたしの目にとまり、1200円払って買い求め、読んだ。筋なんてものはない。同じ言葉の繰り返しである。それも、一人の母親が自分の子どもに対して語りつづける一つの言葉の繰り返しである。何回か繰り返して読むうちに、自分の人生と重なりジーンと来る。「おかあさんは うまれたばかりの あかちゃんを だっこしています。ゆっくり、やさしく、あやしています。ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。そして、あかちゃんを だっこしながら、おかあさんは うたいだします。」これが出だしである。最後は、その時の赤ちゃんが成人し、自分の子どもに対して、「それから、へやに はいりました。そこには、まだうまれたばかりの おんなの子が ねむっています。かれは、あかちゃんをだっこして、ゆっくり、やさしく、あやしだしました。ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。そして、あかちゃんを だっこしながら、うたいだしました。」と語り「母の歌」を歌う。
この絵本を読むうちに、親子関係の原点は「夜」にある、という思いが静かにわたしの心を占する。昼の親子関係、夜の親子関係。今まで、夫婦関係について昼と夜について考える機会は沢山あった。しかし、親子関係について昼と夜について考えることはあまりない。母親は昼、子どもに散々振り回される。何度「この子のせいで、きがくるいそうだわ!」と叫ぶことであろう。「でも、よるになり、しょうねんが、ねむりにつくと、おかあさんはこどものへやのドアをあけ、そうっとベッドのところまで ちかづいていくのです。そして、こどもが、ぐっすりねむっているのをたしかめると、その大きな大きなこどもをだっこします。ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。そして、おかあさんは うたいだします。」このことを子どもは一生気が付かない。しかし、そういう風にして育てられた子どもは、やがて成人し、今度は年老いた母親を抱いて歌うようになるのである。「昼の母親」は子どもをうまく育てるのに必死である。時には子どもの成長に追いつかないいらだたしさがあったり、ほかの子どもと比較して溜息をついたり、とても忙しい。それはそれで仕方がない面もある。しかし、重要なのは「夜の母親」である。親子関係の原点は、昼間の服をすべて脱ぎ捨て、何もかもが眠りにつき、ただその子を産んだだけの母親になり、ありのままのその子どもを抱きかかえて次のように歌うところに築かれる。「アイ・ラヴ・ユー いつまでも アイ・ラヴ・ユー どんなときも わたしが いきている かぎり あなたは ずっと わたしのあかちゃん」。
(園長・牧師 文屋善明)


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