ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

日本聖公会における「牧師任命式」

2017-06-14 08:53:35 | 雑文
牧師任命式
日本聖公会の教会では牧師の転勤があると新しく任命された教会において、日本聖公会祈祷書に基づいて教区主教により牧師任命式が必ず行われます。(日本聖公会祈祷書p.483)

先ず主教により会衆への呼びかけがあり、新しく任に着く牧師の教名と姓名とが呼び上げられます。
「あなたはこの会衆の前で、この地での新しい義務を果たすことを約束しますか」と問います。それに新任の牧師が「約束します」と応答して始まります。

次に主教は会衆に「(彼を)牧師として支持しますか」と問い、会衆は「支持します」と答えます。その後、新牧師のための祈りが捧げられます。

続いて、主教は聖書、祈祷書、法憲法規を渡して、次のように命じます。
「この聖書を受け、御言葉にを宣べる人となりなさい。この祈祷書を受け、礼拝をつかさどり、また人びとの中で祈りの人となりなさい。この法憲法規を受け、教会を牧するよりどころとし、また教会の会議に参与しなさい」。これが牧師としての基本的任務です。

これに続く部分が非常に重要です。教会委員が新任の牧師に聖堂の鍵を渡して、次のようにいいます。
「教会の信徒を代表して、この教会の鍵を渡します。すべての人に教会の扉を開いてください。またわたしたちの牧者、祭司となり、公祷、聖てんを執行してください。」
これが牧師と信徒との約束事です。とくに「すべての人に扉を開き」という部分が重要です。

この後、主教は新任牧師の紹介をし、新任牧師は主教と会衆の見守る中で一人で祈ります。
以上が牧師任命式の概要です。ここに聖公会が考える牧師の任務が明瞭に述べられています。

鍵については「実物」が当然ですが、時には大きな鍵の模型を造って用いることもある。

日本聖公会では、牧師という言葉は機能的な意味を示しています。牧師には司祭以上の身分の者がなります。その意味で、司祭という言葉と牧師という言葉とは厳密に使い分けられています。かつては、一教会一牧師が原則で、逆にいうと一教会一牧師です。一人の司祭が複数の教会の牧師になるということはあり得ないことで、その場合には第二の教会では「管理牧師」でした。ところが最近では諸般の事情により「兼牧」が普通のことになってきました。その結果、牧師任命式における「鍵を渡す」という行為が形骸化してきました。

牧師が聖堂の鍵を持つということと、そこに定住するということとは深い意味があります。問題は、その意味をどこまで深く考えているかということと関係しています。
牧師の仕事の半分以上は、そこに定住しているということです。その意味では牧師とは「住職」です。

その意味で、牧師給を決める際に、牧師には住居が与えられているからという理由で、減額することは間違いで、むしろ居住手当を与えるべきです。

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