ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

後期高齢者医療制度 その4

2008-04-17 20:27:48 | ときのまにまに
日本の医療制度を考える際に、日本医師会の存在を無視できない。わたしがまだ日本クリスチャンアカデミーの主事(1979年3月退職)をしていた頃、しばしば日本の医療問題について話し合いの会(ターグンク)をが開かれ、医師や医療関係者に集まって頂いて問題の分析がなされた。
その頃の日本医師会はカリスマ的な武見太郎会長に率いられて、日本でも最も強烈な圧力団体として、健康保険制度や医師への診療報酬の分配、医師の養成の問題等の整備が進められていた。今日の日本の医療制度のほとんどはこの時代に整えられたものである。
いろいろ問題はあったが、なんと言っても医者たちの集団であり、根本的なところでは医師の倫理が保たれていたように思う。もっとも、海外からの医療機器や医薬品の輸入問題や、開業医と勤務医との報酬の格差など、今日の医療問題の根はここあたりにあったのも事実である。つまり、当時の医師会の課題は医師の待遇改善と医療技術の近代化ということが緊急の課題であったように思う。その点では、武見会長の業績は無視できない。
1982年に武見会長が亡くなられてからは、厚生省に対する医師会の勢力は低下したと言われるが、もうその頃には既に厚生省は完全に医師会に乗っ取られており、「医療関係の法案はまるで医師会の発案によるかに見える」(ウオルフレン著「日本・権力構造の謎(上)」(ハヤカワ文庫版142頁)という状況が出来上がっていた。
今回の後期高齢者医療制度にも日本医師会の意向がかなり強く反映しているらしい。というよりも、厚生労働省そのものが日本医師会の行政部門のようになっている。今のところ、この制度の「政治的目的」は明らかではないが、この数日テレビに登場する医師たちの発言を聞くと、医師たち自身が今回の後期高齢者医療制度にはかなり問題を感じているようある。
そうなると、今回のこの制度に関しては、日本の医者たち総体の意見というよりも、日本医師会の「政治部門」が一人歩きしているように思われる。従って、今回の改悪を仕掛けたのは誰なのか、はっきりしない。とばっちりのように、厚生労働省を押しつけられた桝添大臣が、必死になってこの制度を弁護している姿が、哀れな「猿」に見えてくる。桝添大臣の首の紐を誰が握っているのか、確かめなければならない。

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