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じゅんむし日記

心は急いでいる。それなのに、何も思い通りの形にはなっていかない。がまんがまん。とにかく、今できることから始めよう。

東野圭吾「流星の絆」

2011-05-12 | 
ブログの更新が2週間以上滞ると焦りますっ。

別にどうってことないはずなのに、
書かなきゃ書かなきゃってね…(^^ゞ

最近は、ブログでも紹介したように東野圭吾さんの本にハマってしまい、
時間があると本を読んでしまいます(..)

読みだすとなかなかやめられず、
夜も寝床の中で、あともうちょっと…なんて読み進めて1時、2時…っていう日も…(..)
もう止まりませんっ。

次に読む本がなくなると、
その日の夜の楽しみのために、せっせと買いに行きます。

テレビが点いていても、
その真ん前で本をひたすら読んでいるものですから、
息子も「好きだねぇ~」
と呆れかえっている……のではなくーーー
スゴイと思っているようです。
(よっしゃ!)

この間読み終わった「流星の絆」

よくできた構成で、
3兄妹が詐欺で使うはずだった小道具も、ラストシーンにとても生きていてよかったです。
他の作家ならここで終わってしまうな、
というところを超えて、いつも書ききっているという印象です。
なので気持ちいいです!

 東野圭吾「流星の絆」


東野圭吾「手紙」

2011-03-25 | 
 東野圭吾「手紙」

またまた東野さんです。
文庫本といえども、次々本を買うのはキビシイ。でも買う~!

「手紙」
強盗殺人を犯した兄とその弟、またその周りの人々について書かれた物語です。

確かに…
現実にも、大変な数の犯罪者の家族の人達がいた(いる)はずです。

特に、兄弟なんて血のつながりはあるものの、その犯罪に対してどれだけの罪があるのでしょう。
しかし、家族というだけで負わなければならない差別…。
被害者家族ともしかしたら同じくらい苦しんでいるのではないかと思い、
重い気持ちになります。

前半、兄が罪を犯してしまう流れや、
弟が突然犯罪者の家族として生活が一変するあたりは、
とても説得力がありよく書かれていますが、

突然その弟が、存在感のあるカリスマボーカリストとしてバンドのメンバーになっていくところだけ
どうしても違和感があり、私の中で物語が中断してしまいました。
ザンネン…。

でも、そのあとの人間のつながり…家族のつながり…
などはとてもよく書かれていたと思います。

弟がさまざまな差別を受け、
支えられながらもまた大きな挫折をしたり…。

そして勤めている会社社長からの決定的なひとこと。
「差別はね、当然なんだよ」

それはわかる気がします。
私たちは差別をする動物です。

私は差別をしたことがない、と思っている人たちでも、
きっと差別をする気持ちは持っていると思うのです。
(マザーテレサのような人でない限り)

だから私たちは、差別をする気持ちはどこかにあるということを認識しながら理性的に行動をしていくしかないのかなー、と。

そう思っていてもなかなか出来ないのが人間ですけれど…。
だから自己嫌悪に陥ったり、後悔したりするのですけれどね。


東野圭吾「使命と魂のリミット」

2011-03-22 | 
 東野圭吾「使命と魂のリミット」

東野圭吾さんにハマりました。
「容疑者Xの献身」があまりにもおもしろかったので、
これ以上ものはあとは期待しないでおこう、と思ったのですが…

!!!

違った!
これもすっごくおもしろかったです。
「容疑者・・・」と違って、読後感は爽やかです。

父が受けた手術において、意図的に死に至らしめられたのではないかという疑念を、子どものころから持ち続けていた有紀。
有紀はその病院で、その手術を執刀した医師の元、研修医として働くことになります。
そこへ、病院とは関係ない…ただし入院患者にある思いを抱く者からの、病院への破壊予告。

善人の中の悪人。
悪人の中の善人。

こんな要素でストーリーは展開すると思っていたので、その点で裏切られましたが、
誰しも何らかの使命を持っているというテーマはとても共感できます。

それがとても言いたいということはわかりますが、
”使命”がたくさん出すぎる感ありです…。

それでも、息をも付かせぬストーリー展開はさすがです。
またまた一気読みに近い感じでした。

”破壊”を遂行しようとする犯人と、
その中で患者を守ろうとする病院職員たちの奮闘。
犯人の動きがわからないまま、ある患者の手術が開始されることになり…
その後電気系統が破壊され、次々と難題が突き付けられる中での最大限の工夫と努力。
執刀医師の体内から絞り出るエネルギー。

とても読み応えがありました。
素晴らしかったです!


東野圭吾「容疑者Xの献身」

2011-03-21 | 
 東野圭吾「容疑者Xの献身」

なんか…もの凄かったです…。

ほとんど一気読みに近い感じで読み終えました。

天才数学者でありながら高校教師、数学だけが生きがいだった石神が、秘かに思いを寄せていた女性を守るために完全犯罪を企てます。

その、数学者ゆえのち密なトリック・独特な発想は、想像を超えていました。
見事な設定だと思いました。

そして、石神のかつての親友である物理学者の湯川が、
トリックを見破ったときの驚愕…ますます物語の中に引きこまれていきます。
湯川の友情、トリックが明らかにされていく過程も、とてもよく書かれていると思います。

ラストシーン…
石神の企てたち密なストーリーが崩れ、予定外の現実が現れたこと、
ここまで書ききってくれたことは納得ですが、
もう少し余韻を含んだ書き方でもよかったのではないかと思いました。

でも、凄まじいラストです。
人の一生とは、本当に何なのでしょう。
こんな絶望が世の中にはあるのでしょうか。
やりきれなくて悲しくて、胸がしめつけられます。

あと、人の一生を考えさせられる小説として思い浮かぶのは、
松本清張の、或る「小倉日記」伝
これもスゴイ小説ですよー。


「シューマンの指」奥泉光

2011-01-04 | 
 「シューマンの指」奥泉光

おもしろかったです。

題名の通り、シューマンがひとつの大きなキーになりますが、
小説全体にわたって織りなされるシューマン論や、
緻密な曲の分析とその表現は、
怪しくて美しくて透明感にあふれています。

クラシックに造詣のない私にとって、
物語の中に身を置くのに十分な役割を、それらは果たしてくれました。

心地よい音楽に包まれたような感覚の中で、
シューマンの狂気とミステリーが絡み合い、物語は進んでいきます。

ミステリーの中にあって尚且つも語られる、
一流の芸術家が辿る宿命とか、音楽(芸術)の魔力は、やはり納得できるものがあります。

最後の大どんでん返しは、
確かに考えられない展開ではありましたが、
物語の流れが遮られたような違和感がありました。
魔力に溢れた小説の印象がくずれてしまう感があり、
とても残念でした。

でも!
おもしろかったです。