じゅんむし日記

心は急いでいる。それなのに、何も思い通りの形にはなっていかない。がまんがまん。とにかく、今できることから始めよう。

「シューマンの指」奥泉光

2011-01-04 | 
 「シューマンの指」奥泉光

おもしろかったです。

題名の通り、シューマンがひとつの大きなキーになりますが、
小説全体にわたって織りなされるシューマン論や、
緻密な曲の分析とその表現は、
怪しくて美しくて透明感にあふれています。

クラシックに造詣のない私にとって、
物語の中に身を置くのに十分な役割を、それらは果たしてくれました。

心地よい音楽に包まれたような感覚の中で、
シューマンの狂気とミステリーが絡み合い、物語は進んでいきます。

ミステリーの中にあって尚且つも語られる、
一流の芸術家が辿る宿命とか、音楽(芸術)の魔力は、やはり納得できるものがあります。

最後の大どんでん返しは、
確かに考えられない展開ではありましたが、
物語の流れが遮られたような違和感がありました。
魔力に溢れた小説の印象がくずれてしまう感があり、
とても残念でした。

でも!
おもしろかったです。

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