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情報公開・個人情報保護審査会 平成20年度(行情)答申第11号 教職課程認定申請書等

2008年04月14日 | 個人に関する情報
諮問庁:文部科学大臣
諮問日:平成19年8月3日(平成19年(行情)諮問第367号)
答申日:平成20年4月14日(平成20年度(行情)答申第11号)
事件名:特定私立大学が平成18年4月1日以降に提出した教職課程認定申請書等の一部開示決定に関する件

答 申 書



第1 審査会の結論
平成18年4月1日以降,特定私立大学が提出した第3の1(1)に掲げる文書1ないし文書17から成る教職課程認定申請書及び申請を許可したことが分かる行政文書並びに文書18ないし文書21から成る教職課程の変更届(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定について,諮問庁がなお不開示とすべきとしている部分については,別紙に掲げる部分を開示すべきである。

第2 異議申立人の主張の要旨
(略)


第3 諮問庁の説明の要旨
(略)


第4 調査審議の経過

当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。

① 平成19年8月3日  諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同月27日     異議申立人から意見書を収受
④ 同年11月8日    本件対象文書の見分及び審議
⑤ 平成20年3月3日  諮問庁から補充理由説明書を収受
⑥ 同年4月10日    審議

第5 審査会の判断の理由

1 本件対象文書について

本件対象文書は,平成18年4月1日以降,特定私立大学が提出した教職課程認定申請書及び申請を許可したことが分かる行政文書に係る,前記第3の1(1)に掲げる文書1ないし文書21の各文書である。
原処分では,文書2,文書5ないし文書7,文書11,文書14,文書15,文書17,文書19及び文書20は全部開示されているが,文書1,文書10及び文書18については,法5条2号イに該当するとして,文書3,文書4,文書12及び文書13については,法5条1号に該当するとして,各々その一部が不開示とされている。異議申立人は,原処分の取消しを求めるとともに,本件対象文書について開示漏れ等文書の特定に問題があると主張するので,以下,上記各文書の見分結果に基づき,その不開示情報該当性及び文書の特定について検討する。

2 不開示情報該当性について

(1)法5条1号該当性

本件対象文書のうち,原処分において法5条1号に該当するとされたのは,文書3及び文書12の一部,文書4及び文書13のうち,職務調書の一部並びに履歴書及び教育研究業績書の全部となっている。

ア 文書3及び文書12

文書3及び文書12には,認定を受けようとする学部・学科に係る個々の担当教員ごとに,「氏名(年齢)」,「職名」,「専任,兼担又は兼任の別」,「本務の名称及び職名」,「担当授業科目」,「直近の課程認定委員会において審査にかかり,かつ,今回認定を受けようとする免許状の種類及び科目名」(以下「免許状の種類,科目名」という。),「直近の課程認定委員会において審査にかかった際の職名,課程認定上の専任,兼担,兼任の別及び年度」(以下「職名,専任・兼担・兼任の別,認定年度」という。)及び「備考」の各欄が設けられており,各欄に記載されている情報は,法5条1号本文前段の個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,年齢その他の記述等により特定の個人を識別することができるものに該当する。
文書3及び文書12のうち不開示とされたのは,(ア)教員の年齢並びに(イ)「免許状の種類,科目名」欄及び「職名,専任・兼担・兼任の別,認定年度」欄の記載のすべてである。
そこで,不開示とされた部分の法5条1号ただし書該当性について,以下,検討する。

(ア)教員の年齢

教員の氏名は,開示されているが,当該教員の年齢については,諮問庁の補充理由説明書によれば,特定大学の要覧,広報誌等には掲載されていないとのことであり,他に公表されていることをうかがわせる事情もないから,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されているものとは認められない。
したがって,教員の年齢は,法5条1号ただし書イに該当せず,また,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められず,同号の不開示情報に該当すると認められるので,不開示としたことは妥当である。

(イ)「免許状の種類,科目名」欄及び「職名,専任・兼担・兼任の別,認定年度」欄

異議申立人は,過去の課程認定委員会において資格審査に合格したことを示す情報が,文書2などで開示されていること等をもって,「免許状の種類,科目名」欄及び「職名,専任・兼担・兼任の別,認定年度」欄に記載されている情報は法5条1号ただし書イに該当するとして,開示すべきであると主張する。
諮問庁の補充理由説明書によれば,①これらの情報は,当該教員の課程認定審査に係る情報として新たに編集し直したという観点で考えると,課程認定審査にかかわる重要な情報ということで,個々の教員に関する判断あるいは評価に影響する可能性が高いものであること,②当該不開示部分に記載されている教員の情報には,過去の課程認定委員会の審査に合格したという新たな情報が付加されていること,③大学の履修要綱やホームページには,授業科目と担当教員に関する情報が掲載されているが,そこで公にされているものは,現時点においてどの授業科目をどの教員が担当しているかということであって,いつの時点からその教員が担当していたかについては,公表されているものではないなどとのことである。
当該特定大学のホームページにおいては,各学部・学科においてどの教員がどの科目を担当しているか等が掲載されており,学生等の大学関係者以外の者であっても閲覧することはできるが,本件不開示部分である特定の教員が過去の特定年度の課程認定審査において審査を通ったという情報は,当該ホームページには掲載されておらず,その他公になっているとすべき事情もないから,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されているものとは認められない。
したがって,「免許状の種類,科目名」欄及び「職名,専任・兼担・兼任の別,認定年度」欄は,法5条1号ただし書イに該当せず,また,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められず,同号の不開示情報に該当すると認められるので,不開示としたことは妥当である。

イ 文書4及び文書13のうち職務調書

職務調書の内容は,各教員の個人に関する情報であって,氏名の記載により特定の個人を識別することができる情報であると認められ,具体的には,教員の印影が不開示とされ,その余の記載が開示されている。
教員の印影は,課程認定申請を行うに当たり,当該学校法人から文部科学大臣に提出が義務付けられている書類の一つである教員個人に関する書類につき,真正かつ真意に基づき職務調書を作成したことを示すために,当該教員が押なつしたものであって,広く不特定多数に公にされることが予定されているものであるとは言えないから,本件対象文書において教員の氏名等が開示されているとしても,同人の印影は,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されているものとは認められない。
したがって,教員の印影は,法5条1号ただし書イに該当せず,また,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められず,同号の不開示情報に該当するものと認められるので,不開示としたことは妥当である。

ウ 文書4及び文書13のうち履歴書

履歴書には,氏名,性別,本籍地又は国籍,生年月日(年齢),現住所,学歴(年月,事項),職歴(年月,事項),学会,社会における活動等(年月,事項),資格等(年月,事項),賞罰(年月,事項),作成年月日に係る記載のほか,教員の氏名及び印影が記載され,様式を含め,その全部が不開示とされている。
これらの情報が記載されている履歴書は,その全体が,法5条1号本文前段の個人に関する情報であって,特定の個人を識別できる情報である。
しかし,履歴書の記載内容のうち,様式については,一般に入手可能な手引きにより公になっていることから,法5条1号ただし書イの慣行として公にされている情報に該当すると認められ,同号の不開示情報に該当しないと認められるので,開示すべきである。
また,履歴書の記載のうち,氏名及び履歴書記入者の氏名は,教員ごとにまとめて文部科学省に提出することとされている職務調書で開示されていることから,開示すべきである。
上記で開示すべきとした様式及び氏名以外の部分は,法5条1号ただし書イには該当せず,また,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。
次に,当該その余の部分の法6条2項による部分開示について検討すると,上記のとおり氏名を開示すべきとしていることから,部分開示の余地はない。
また,異議申立人は意見書において,職歴については,全国大学職員録を毎年検索すること等により調べることが可能であるとして開示を主張しているが,教員調書に記載された内容と全く同一の情報が同職員録において公表されていると言うことができないから,異議申立人の主張を採用することはできない。

エ 文書4及び文書13のうち教育研究業績書

(ア)教育研究業績書は,おおむね,「教育上の能力に関する事項」(教育方法の実践例や作成した教科書・教材,当該教員の教育上の能力に関する大学等の評価などごとに年月日及び概要を記載),「職務上の実績に関する事項」(事項別に年月日及び概要を記載)及び「著書,学術論文等の名称」(著書,学術論文及びその他のそれぞれについて名称,単著共著の別,発行又は発表の年月,発行所・発表雑誌又は発表学会等の名称及び概要を記載)の3欄に区分され,これら各欄への記載のほか,作成年月日,教員の氏名及び印影が記載され,様式を含め,その全部が不開示とされている。
これらの記載内容は,全体として法5条1号本文前段の個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名により特定の個人を識別することができる情報であると認められる。
しかし,教育研究業績書の記載内容のうち,表題部には,表題,作成年月日,教員の氏名(署名ではない)及び印影が記載されているところ,教員の氏名については,教員ごとにまとめて文部科学省に提出することとされている職務調書で開示されていることから,同業績書の表題部の教員の氏名は,開示すべきである。
また,表題を含めて様式について不開示としているが,表題を含めて様式については,上記ウの履歴書と同様に,一般に入手可能な手引きにより公になっていることから,法5条1号ただし書イの慣行として公にされている情報に該当すると認められ,同号の不開示情報に該当しないと認められるので,開示すべきである。
さらに,「教育上の能力に関する事項」の「作成した教科書・教材」の欄において,下記(ウ)により,開示すべきとした著書の名称が記載されている場合には,当該部分も開示すべきである。

(イ)その余の記載内容について,法5条1号ただし書イの該当性について検討すると,教育研究業績書は,当該教員の担当授業科目に関連する上記(ア)の各事項について作成することとされており,例えば,「教育上の能力に関する事項」欄及び「職務上の実績に関する事項」欄の記載事項については,当該教員が行った優れた教育方法の実践例や優れた教科指導の方法などを記入することとされているなど,当該教員個人についての評価に直接結び付くものと認められ,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されているものとは言えないことから,法5条1号ただし書イに該当せず,また,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。

(ウ)他方,「著書,学術論文等の名称」に係る各欄のうち,当該教員により「著書」及び「学術論文」として整理された著作物については,公刊され,あるいは,学会において発表される等により,広く一般に公になっているのが通常であると考えられる。もっとも,「著書」及び「学術論文」として整理された著作物であっても,中には発行所,発表雑誌又は発表学会等の名称が不明のものが見られ,一律には法5条1号ただし書イに該当するとは認められないことから,以下「その他」に整理されたものと併せ個別に検討する。
「著書」及び「学術論文」に整理された著作物及び「その他」として整理されたものについては,①学会における発表,学会の年報あるいは大学や研究所で編集・刊行する紀要若しくは報告書などでの執筆,②大学の公開講座での講義実績,③国庫補助による研究報告書,④新聞への掲載又は⑤専門誌等の出版物への執筆であることが確認できるものがあるところ,①は,当該教員が学術的な著作あるいは論文として自らその内容を公にしたものと考えられること,②は,広く一般人を対象とする公開講座で発表し,自らその内容を公にしたものと考えられること,③は,国庫補助による研究報告書であって,当該補助に係る研究報告は公にすべきものであること,④は,新聞に掲載することにより周知を行っていること,⑤は,当該教員において記載内容が公になることを前提に執筆したものと考えられることを考慮すると,いずれも,法5条1号ただし書イの慣行として公にされている情報に該当すると認められるので,上記①ないし⑤の研究業績に係る「名称」,「単著,共著の別」,「発行又は発表の年月」及び「発行所,発表雑誌又は発表学会等の名称」の各欄の記載事項は,法5条1号の不開示情報に該当せず,開示すべきである。
さらに,「概要」欄のうち著者,編者,共同発表者などの氏名は,上記著作物等において当然に明らかになっているものであり,また,共著等の場合に当該教員が分担した部分に係る記述についても当該教員の業績として明らかにすべきものと考えられることから,いずれも,法5条1号ただし書イに規定する慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報と言えるので,同号の不開示情報に該当せず,開示すべきである。
ただし,上記「概要」欄のうち,著者,編者,共同発表者などの氏名及び当該教員が分担した部分に係る記述を除いたその余の部分については,発表された著作物そのものではなく,教員本人が本件認定申請に当たり,新たに作成したものであるので,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されているものとは認められないことから,法5条1号ただし書イに該当せず,また,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。

(エ)次に,上記(ウ)の①ないし⑤以外の研究業績,すなわち,教職員や限られた者を対象にした研究会,研修等での発表や執筆とみられるものについて検討すると,当該活動を業績として広く一般に明らかにすべき特段の事情も認められないことから,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されているものとは必ずしも言えないので,これらの研究業績に係る「名称」,「単著,共著の別」,「発行又は発表の年月」,「発行所,発表雑誌又は発表学会等の名称」及び「備考」の各欄の記載事項は,法5条1号ただし書イに該当せず,また,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。

(オ)上記(ア)ないし(エ)において検討した部分を除くその余の部分は,法5条1号ただし書イには該当せず,また,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。

(カ)次に,上記(ア)ないし(ウ)で開示すべきとした部分を除くその余の部分の法6条2項による部分開示について検討すると,上記(ア)のとおり,教育研究業績書においては,教員の氏名を開示すべきとしていることから,部分開示の余地はない。

したがって,その余の記載内容について,不開示としたことは妥当である。

(2)法5条2号イ該当性

本件対象文書のうち,原処分において法5条2号イに該当するとされたのは,文書1,文書10及び文書18のうち,特定学校法人の理事長の印影及び特定大学の学長の印影である。
異議申立人は,仮に一般論として,理事長の印影が,記載内容が真正なものであることを示す認証的機能を有する性質のものであったとしても,当該学校法人においても,使用方法等が限られていることについては何ら立証されていない。したがって,少なくとも当該学校法人において理事長印の印影を開示しても,偽造され悪用されるなど,当該学校法人の権利利益,競争上の地位その他正当な利益を害するという主張は誤りであると主張する。
諮問庁の補充理由説明書によれば,当該学校法人から理事長印の使途等について聴取したところ,当該学校法人の公印規程によって,その大きさと材質及び形状等が定められ,用途も公文書,契約書及び証明と定められており,公印規程に従い,厳重な管理の下に使用している,また,学長印についても同様であるとのことであり,これら公印の保管状況,使用状況等から考えれば,当該各印影は,当該文書が真正に作成されたことを示す認証的機能を有する性質のものであり,これを公にした場合,偽造され悪用されるなど,当該学校法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとしている。
理事長印等の印影については,作成者が当該文書を真正に作成したことを示す認証的機能を有するものと認められるので,これを公にすることにより,偽造等されるおそれが生じ,当該学校法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとする上記諮問庁の説明に,不自然,不合理な点は特段認められず,法5条2号イの不開示情報に該当すると認められるので,不開示としたことは妥当である。

3 異議申立人が主張する開示漏れ等について

異議申立人は,①学則,履修規程等,②講義概要(シラバス)及び「当該教員免許課程を必要とする理由を記載した書類」の提出が義務付けられており,提出されているはずであるが,開示されていない,また,教職課程の変更届に関して,③提出されるべき教員等に係る変更届が開示されていない,④専任教員の変更に係る変更届だけ開示するのではなく,一緒に提出されるべき履歴書及び教育研究業績書が開示されていない,⑤専任教員は申請を行う一つの学科等の専任教員とすることが原則であるが,複数の学科等の専任教員として申請を行っている教員がおり,特定された変更届の一部には誤った文書を開示したおそれがあると主張する。
諮問庁は,上記について,以下のとおり説明する。
① 及び②については,当該文書は特定漏れであり,開示する。なお,②について,平成18年9月26日付けの教職課程認定申請書のみとしていることは,平成18年11月7日付け教職課程認定申請書は,特別支援学校教員免許課程を置くための教職課程認定申請書であることから,特別支援教育に関する科目に係る講義概要(シラバス)は求めているものの,教職に関する科目の講義概要(シラバス)は求めておらず,また,当該教員免許課程を必要とする理由を記載した書類については,必要に応じて提出を求めるものであり,すべての教職課程認定申請書類について当該教員免許課程を必要とする理由を記載した書類の提出を求めているわけではなく,平成18年11月7日付け教職課程認定申請書について,当該書類を必要としなかったのは,平成16年度に既に養護学校一種免許の教職課程の認定を受けており,今回の申請は特別支援学校教諭一種免許(知的障害者に関する教育領域)の申請であったことから,本申請において,教員免許課程を必要とする理由を記載した書類の提出を求めなかったものである。
異議申立人は,「誓約書」についても同様に提出されているはずであると主張している。しかしながら,誓約書は,新たに教職課程の認定を受けようとする場合であって,既に認定を受けている教職課程との間に教育課程及び教員組織に重複がないときに,その旨を記載して提出するものであるところ,平成18年9月26日付け申請については,特定学部特定学科Aが「幼一種」の認定を受けようとするものであり,それまで同学科については認定を受けている教職課程がないことから,誓約書の提出が必要な場合に該当しない。また,平成18年11月7日付け申請については,特定学部特定学科Dが,「特支一種免(知的障害者)」の認定を受けようとするものであるところ,これは,教育職員免許法一部改正(従来の盲,聾,養護学校ごとに分けられていた教員の免許状は,特別支援学校の教員の免許状に一本化された。)に伴い,「特支一種免(知的障害者)」について再度審査を行ったものであることから,誓約書が必要な場合に該当しない。
③ 及び④については,異議申立人からの異議申立てを受けたことから,特定私立大学に確認し,不足している書類の提出を求めたところであるが,異議申立人に教職課程認定申請書を開示した日付は平成19年4月16日であり,その時点では当該変更届は提出されていなかったため,異議申立人に対して示すことができなかった。
⑤については,異議申立人が指摘した特定教員は,現在,特定学部特定学科Cの専任教員として勤務していることを特定大学に確認済みであり,教職課程認定申請書の記述内容に誤りはなく,文書の特定に誤りはない。
以上のような諮問庁の説明は,不合理ではなく納得し得るものであり,したがって,異議申立人の主張は結局理由がない。
なお,異議申立人の上記④の主張については,文書21に当たるものと認められる。文書21については,上記諮問庁の説明のとおり,原処分の時点では,特定大学から提出を受けていなかったことから,そもそも原処分の対象文書とはなっていないと認められる。
また,異議申立人は,上記④に係る履歴書及び教育研究業績書の不開示理由が行政文書開示決定通知書において何ら記載されていないことについて行政手続法8条の理由の提示に違反していると主張する。
諮問庁は,開示請求の時点では異議申立人の主張する上記④に係る行政文書を保有していなかったことから,特定しなかったものであるから,行政手続法8条違反との主張には理由がない。

4 本件一部不開示決定の妥当性について

以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条1号及び2号イに該当するとして不開示とした決定については,別紙に掲げる部分以外の部分は,同条1号及び2号イに該当すると認められるので,不開示としたことは妥当であるが,別紙に掲げる部分は,同条1号及び2号イのいずれにも該当せず,開示すべきであると判断した。

(第1部会)
委員 大喜多啓光,委員 村上裕章,委員 吉岡睦子

別紙
(略)


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