情報公開制度について考える

情報公開審査会の答申などを集めて載せています。

東京都情報公開審査会 答申第440号 東京都市計画事業大橋地区第二種市街地再開発事業(第二工区)…

2009年03月06日 | 個人に関する情報
答 申

1 審査会の結論
「東京都市計画事業大橋地区第二種市街地再開発事業(第二工区)管理処分計画(平成19年8月)」ほか5件について、一部開示決定において非開示とした部分のうち、別表に掲げる部分は開示すべきであるが、その他の部分は非開示が妥当である。

2 異議申立ての内容
(1)異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号。以下「条例」という。)に基づき、異議申立人が行った「東京都市計画大橋地区第二種再開発事業における1-1棟に係る管理処分計画及びその変更」ほか5件の開示請求に対して、東京都知事(以下「知事」という。)が平成19年12月13日付けで行った一部開示決定について、その取消しを求めるというものである。

(2)異議申立ての理由
(略)


3 異議申立てに対する実施機関の説明要旨
(略)


4 審査会の判断
(1)審議の経過
(略)


(2)審査会の判断
審査会は、実施機関及び異議申立人の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。

ア 本件対象公文書について
本件異議申立てに係る対象公文書は、東京都市計画事業大橋地区第二種市街地再開発事業管理処分計画(以下「本件対象公文書」という。)で、第一工区のものが4件、第二工区のものが2件である。
本件対象公文書は、都市再開発法(昭和44年法律第38号)118条の6に基づき、土地・建物に関する権利が、新しい建物にどのように移し換えられるかを定めたものであり、管理処分計画書、室内仕上げ表及び配置設計図で構成されている。

イ 審査会の審議事項について
審査会が異議申立書を見分したところ、一部開示決定の取消しを主張していることから、審査会は、一部開示とした決定において非開示とした部分の妥当性について判断する。

ウ 本件対象公文書の内容について
本件対象公文書のうち、実施機関が一部開示とした決定において非開示とした情報には、個人の情報と法人の情報があることから、各情報につきそれぞれ、はじめに個人の情報について条例7条2号該当性について判断し、次いで法人の情報について条例7条3号該当性を判断する。

エ 条例7条2号及び条例7条3号該当性について
条例7条2号本文は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」を非開示情報として規定している。
また、同号ただし書において、「イ 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」、「ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」、「ハ 当該個人が公務員等…である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」のいずれかに該当する情報については、同号本文に該当するものであっても開示しなければならない旨規定している。
条例7条3号本文は、「法人(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められるもの」を非開示情報として規定している。また、同号ただし書は、「イ 事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある危害から人の生命又は健康を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報」、「ロ 違法若しくは不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある支障から人の生活を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報」、「ハ 事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある侵害から消費生活その他都民の生活を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報」のいずれかに該当する情報については、同号本文に該当するものであっても開示しなければならない旨規定している。

(ア)「譲受け希望の申出をした者で建築施設の部分を譲り受けることとなるものの氏名」及び「建築施設の部分を譲り受けることとなる者の氏名又は名称」について
これらの情報は、再開発事業施行区域内の宅地の所有者、借地権者及び建物所有者(以下「所有者等」という。)のうち、譲受け希望を申出た者で建築施設の部分を譲り受ける者(以下「譲受け予定者」という。)の氏名又は名称である。
実施機関においては、地番を指定した土地売買契約書の開示請求に対して、不動産登記簿で公示されていることを理由に、当該契約書における所有者等の氏名を開示していることに加え、当該契約書の内容から譲受け予定者が明らかになることから、所有者等のうち誰が譲受け予定者であるかが判明する。したがって、譲受け希望の申出をした者で建築施設の部分を譲り受けることとなるものの氏名及び建築施設の部分を譲り受けることとなる者の氏名又は名称(以下「譲受け予定者の氏名等」という。)は、公にされている情報であると認められる。
以上のことを踏まえ、譲受け予定者が個人の場合についてみると、譲受け予定者の氏名等は、個人に関する情報で特定の個人を識別できるものであることから、条例7条2号本文に該当すると認められるが、上記のとおり公にされている情報であることから、同号ただし書イに該当し、開示すべきである。
次に、譲受け予定者が法人である場合についてみると、譲受け予定者の氏名等は公にされている情報であることから、開示したとしても当該法人の競争上又は事業運営上の地位を損なうとは認められず、条例7条3号本文に該当しないことから、開示すべきである。

(イ)「建築施設の部分を譲り受けることとなる者の住所」について
この情報は、譲受け予定者の住所であり、譲受け予定者が個人の場合には、個人に関する情報で、特定の個人を識別できるものであることから、条例7条2号本文に該当する。次に同号ただし書該当性を検討すると、審査会が本件対象公文書と不動産登記簿を突合したところ、不動産登記簿で公示されている住所と公示されていない住所があることが認められた。したがって、公示されている住所については、法令により公にされているものと認められ、同号ただし書イに該当することから開示すべきである。しかしながら、不動産登記簿で公示されていない住所は、同号ただし書イには該当せず、その内容及び性質から同号ただし書ロ及びハのいずれにも該当しない。
また、譲受け予定者が法人である場合には、建築施設の部分を譲り受けることとなる者の住所は、全て不動産登記簿で公示されており、公にしたとしても当該法人の競争上又は事業運営上の地位を損なうとは認められず、条例7条3号本文に該当しないことから、開示すべきである。

(ウ)「賃借り希望の申出をした者で施設建築物の一部を賃借りすることとなるものに関する事項の氏名」及び「施設建築物の一部を賃借りすることとなる者の氏名又は名称及び住所」について
これらの情報は、譲り受け予定者から施設建築物の一部を賃借りする者の氏名及び住所であり、賃借りする者が個人の場合は、特定の個人を識別できるものであり、条例7条2号本文に該当すると認められ、不動産登記簿で公示されているものではなく、一般には公にされていないことから、同号ただし書イに該当せず、その内容及び性質から同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
また、賃借りする者が法人の場合には、これらの情報を開示すると、一般には公にされていない当該法人の事業を行う上での内部管理情報が明らかになり、競争上又は事業運営上の地位を損なうものであることから、条例7条3号本文に該当すると認められ、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。

(エ)「施設建築物の一部の専用部分の欄」の「階」、「番号」、「床面積」及び「用途」について
これらの情報は、譲受け予定者が譲り受ける資産の情報であり、譲受け予定者が個人の場合には、譲受け予定者の氏名等が開示されることから、特定の個人を識別できるものであり、条例7条2号本文に該当すると認められ、不動産登記簿で公示されているものではなく、一般には公にされていないことから、同号ただし書イに該当せず、その内容及び性質から同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
また、譲受け予定者が法人の場合には、これらの情報を開示すると、一般には公にされていない当該法人の財産状況が明らかになり、競争上又は事業運営上の地位を損なうものであることから、条例7条3号本文に該当すると認められ、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。

(オ)「施設建築物の一部の共用部分の共有持分」及び「施設建築敷地の共有持分」について
「施設建築物の一部の共用部分の共有持分」は、施設建築物の一部を譲り受ける又は賃借りする施設建築物の共有部分の廊下、階段、昇降機、その他の持分割合であり、「施設建築敷地の共有持分」は、譲受け予定者が譲り受ける予定の敷地の共有持分の割合で、いずれも専用部分の床面積の割合により決まるものである。したがって、譲受け予定者が個人の場合には、これらを公にすると特定個人の資産規模など財産状況が明らかになり、譲受け予定者の氏名等が開示されることから、特定の個人を識別でき、条例7条2号本文に該当すると認められ、これは、不動産登記簿で公示されているものではなく、一般には公にされていないことから、同号ただし書イに該当せず、その内容及び性質から同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
また、譲受け予定者が法人の場合には、これらの情報を開示すると、一般には公にされていない当該法人の財産状況が明らかになり、競争上又は事業運営上の地位を損なうものであることから、条例7条3号本文に該当すると認められ、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。

(カ)「建築施設の部分の価額の概算額」について
建築施設の部分の価額の概算額(以下「概算額」という。)は、都市再開発法により、再開発事業に要する費用の額及び基準日における近傍類似の土地、近傍同種の建築物又は近傍同種の建築物に関する同種の権利の取引価額等を考慮して定める相当の価額を基準として定めなければならないとされている。具体的には、土地買収や建物補償、あるいは調査費、人件費などにかかった費用に、建築工事費用を加え、補助金等を控除した額に、階層ごとの効用比率などを加味して算定されている。また、大橋地区管理処分計画基本方針第12 条において、「生活再建上、増床を必要とする場合には、従前資産の見積額の合計に1千万円を加算した額を限度とする若しくは取得できる面積が従前資産より小さい場合は従前資産の面積の直近の床面積を限度とする又は過小な面積以下のときは過小な面積まで取得が可能である」と定められている。このように概算額は、従前資産の土地価額や床面積から容易に推知できるものではないことから、法令等により公にされている情報とは認められず、譲受け予定者が個人であれば、これを公にすると特定個人の財産状況が明らかになり、譲受け予定者の氏名等が開示されることから、特定の個人を識別でき、条例7条2号本文に該当すると認められ、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。
また、譲受け予定者が法人である場合には、この概算額を開示すると、一般には公にされていない当該法人の財産状況が明らかになり、競争上又は事業運営上の地位を損なうものであることから、条例7条3号本文に該当すると認められ、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。

(キ)「建築施設の部分を譲り受けることとなる者の宅地、借地権若しくは建築物又は施設建築物の一部を賃借りすることとなる者の借家権の目的となっている建築物」の「宅地の所在及び地番、宅地の地目、地積及び持分」、「借地権の目的となっている宅地の所在及び地番並びに借地権の目的となっている宅地の面積」及び「建築物の所在、用途、家屋番号、構造の概要及び延べ面積」についてこれらの情報は、譲受け予定者が従前に所有していた宅地と建築物、借地権の目的となっている宅地及び借家権の目的となっている建築物に関するものである。なお、本件では、譲受け予定者のうち法人のみが借地権の目的となっている宅地を有していることから、「借地権の目的となっている宅地の所在及び地番並びに借地権の目的となっている宅地の面積」については、条例7条3号該当性のみを判断する。
はじめに、譲受け予定者が個人の場合についてみると、「宅地の所在及び地番、宅地の地目、地積及び持分」並びに「建築物の所在、用途、家屋番号、構造の概要及び延べ面積」は、特定個人の財産に関する情報で、譲受け予定者の氏名等が開示されることから、特定の個人を識別でき、条例7条2号本文に該当する。次に同号ただし書該当性を検討すると、これらの情報は、「宅地の地積」を除き不動産登記簿で公示されているものであることから、法令により公にされているものと認められ、同号ただし書イに該当し、開示すべきである。しかし、「宅地の地積」は不動産登記簿で公示されている数値ではなく実測値であり、同号ただし書イに該当せず、その内容及び性質から同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
次に、譲受け予定者が法人の場合についてみると、上記で述べたとおり「宅地の地積」を除いた情報は不動産登記簿で公示されており、これらを公にしたとしても、当該法人の競争上又は事業運営上の地位を損なうとは認められず、条例7条3号本文に該当しないことから開示すべきである。しかし「宅地の地積」については、実測値であり公示されている情報ではなく、これを公にすると当該法人の財産状況が明らかになり、競争上又は事業運営上の地位を損なうことから、条例7条3号本文に該当すると認められ、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。また「借地権の目的となっている宅地の所在及び地番並びに借地権の目的となっている宅地の面積」について検討すると、審査会が本件対象公文書と不動産登記簿を突合したところ、「借地権の目的となっている宅地の所在及び地番」は、不動産登記簿で公示されていることが判明したことから、これを公にしても当該法人の競争上又は事業運営上の地位を損なうとは認められず、条例7条3号本文に該当しないことから、開示すべきである。しかし、「借地権の目的となっている宅地の面積」は、不動産登記簿で公示されている数値ではなく実測値であり、これを公にすると一般には明らかにされていない当該法人の財産状況が判明し、競争上又は事業運営上の地位を損なうことから、条例7条3号本文に該当すると認められ、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。

(ク)「宅地、借地権又は建築物の見積額の部分」について
これらの情報は、譲受け予定者が従前に所有していた宅地及び建築物並びに借地権の目的となっている宅地及び借家権の目的となっている建築物の見積額とそれらの合計額である。なお、本件では、譲受け予定者のうち法人のみが借地権の目的となっている宅地を有していることから、借地権の見積額については、条例7条3号該当性のみを判断する。
はじめに、譲受け予定者が個人の場合についてみると、宅地の見積額は、特定個人の財産に関する情報であり、譲受け予定者の氏名等が開示されることから、特定の個人を識別でき、条例7条2号本文に該当する。次に同号ただし書該当性について検討すると、第二種再開発事業における用地の取得は、任意買収を原則としているが、任意買収が困難な場合には土地収用法の収用手続きによる土地取得が認められていることから、地価公示法9条が適用になり、当該土地の取得価格を定めるときは、公示価格を規準としなければならないとされている。すなわち、本件における宅地の見積額は、近傍類似地の取引事例価格を基にして公示価格等との均衡を図りながら鑑定評価格等を参考に決定されているものであることから、売買当事者間の自由な価格交渉により決定されるものではなく、一般人であればおおよその見当をつけることができる一定の範囲の客観的な価格であると言える。したがって、宅地の見積額は、慣行として公にされることが予定されているものと言うことができ、条例7条2号ただし書イに該当し、開示すべきである。また、建築物の見積額についてみると、これは、建物の構造や内装などのグレード、工作物、動産、植栽などの状況を専門のコンサルタントに委託した調査結果を基に個別に算定されているもので、公にされることが予定されている情報とは認められない。したがって、建築物の見積額は、特定個人の財産状況に関する情報であり、譲受け予定者の氏名等が開示されることから、特定の個人を識別でき、条例7条2号本文に該当すると認められ、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。さらに、宅地、借地権及び建築物の見積額の計についてみると、個人の譲受け予定者で借地権の目的となっている土地を有している者はいないため、この計を公にすると、上記で非開示と判断した建築物の見積額が明らかになることから、条例7条2号本文に該当し、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。
次に、譲受け予定者が法人の場合についてみると、上記のとおり宅地の見積額は公にされることが予定されているものであり、これを開示したとしても、当該法人の競争上又は事業運営上の地位を損なうとは認められず、条例7条3号本文に該当しないことから開示すべきである。また、借地権の見積額は、地主と借地人との合意による額を基準とした取分の割合により決まる額であり、公にされることが予定されている情報とは認められない。したがって、これを開示すると、借地権者との取分に係る当該法人の内部管理情報が明らかになり、競争上又は事業運営上の地位を損なうと認められ、条例7条3本文に該当し、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。
建築物の見積額は、専門家による調査結果を基に損失補償基準に従い算定した適正な価格であることから、これを開示したとしても、当該法人の競争上又は事業運営上の地位が損なわれるとは認められないことから、条例7条3号本文には該当せず、開示すべきである。
宅地、借地権及び建築物の見積額の計は、借地権の対象となっている宅地を有している法人については、これを公にすると上記で非開示妥当と判断した借地権の見積額を明らかにしてしまうことから、条例7条3号本文に該当し、その内容及び性質から同号ただし書のいずれにも該当しない。しかし、借地権の目的となっている土地を有していない法人については、上記のとおり宅地と建築物の見積額を開示すべきと判断しており、さらに法人が当該土地を有しているか否かは既に開示されていることからすると、この計を公にしたとしても、開示となる情報の合計が明らかになるのみであることから、条例7条3号本文に該当せず、開示すべきである。

(ケ)「別紙配置設計図の氏名又は名称」について
これらの情報は、譲受け予定者が譲り受ける資産の平面図に、譲受け予定者の氏名等が記載されており、譲受け予定者のうち誰がどの階の資産を譲り受けることがわかるものである。この氏名又は名称は、前記エ(ア)で述べたとおり、公にされている情報と認められるが、別紙配置設計図では「階」が明らかになっていることから、氏名又は名称を公にすると、前記エ(エ)で非開示と判断した譲受け予定者が譲り受ける資産の「階」が明らかになる。したがって、別紙配置設計図の氏名又は名称は、これらを公にすると、条例7条2号及び同条3号該当の非開示情報である「階」を明らかにしてしまうことから、非開示が妥当である。

オ 異議申立人の主張について
異議申立人は、異議申立書において、実施機関が非開示とした情報について、最高裁平成17年10月11日判決(同15年(行ヒ)295号、296号)の説示により、非開示情報に該当しないことは明らかであり、また同判例から逸脱していたとしても公表することがもともと予定されていた情報であると主張する。また、意見書において、建築施設の部分を譲り受ける者の氏名・住所、建築施設物の一部の専有部分の階・番号・床面積、従前資産に係る宅地の住所・地番等については、不動産登記簿に記載されている、若しくは記載されることを前提とした情報であると主張する。
これらの点についてみると、前記エで述べたとおり、審査会が開示すべきと判断した情報については、その主張を採用することができるが、それ以外の非開示情報については公にされる予定の情報であるとは認められないことから、異議申立人の主張は採用できない。また異議申立人は、開示請求に係る情報が、通常他人に知られたくないというだけでは足りず、当該情報が開示されることによって当該法人等の競争上の地位その他正当な利益が害されるものを要すると解するべきであり、また、そのことが客観的に明らかでなければならないと主張する。しかし、審査会が非開示妥当と判断した情報のうち法人に関するものは、前記エのとおり、通常他人に知られたくない情報であることのみならず、当該情報が開示されることにより当該法人の競争上の地位又は事業運営上の地位を損なうと認められる情報であり、したがって、条例7条3号に該当する非開示情報であることは明らかであることから、異議申立人の主張は採用できない。この他、異議申立人は、上記2(2)のとおり縷々主張しているが、当審査会の判断を左右するものではない。
よって「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
西谷 剛、浅田 登美子、神橋 一彦、隅田 憲平

別表 開示すべき部分
本件対象公文書名開示すべき部分
東京都市計画事業大橋地区第二種市街地再開発事業管理処分計画
・「譲受け希望の申出をした者で建築施設の部分を譲り受けることとなるものの氏名」
・「建築施設の部分を譲り受けることとなる者の氏名又は名称」
・「建築施設の部分を譲り受けることとなる者の住所」のうち不動産登記簿に登記されている住所
・「建築施設の部分を譲り受けることとなる者の宅地、借地権若しくは建築物又は施設建築物の一部を賃借りすることとなる者の借家権の目的となっている建築物」の「宅地の所在及び地番、宅地の地目及び持分」及び「建築物の所在、用途、家屋番号、構造の概要及び延べ面積」
・「宅地の見積額」
・「建築施設の部分を譲り受けることとなる者」が法人の場合の「借地権の目的となっている宅地の所在及び地番」及び「建築物の見積額」
・「建築施設の部分を譲り受けることとなる者」が借地権の目的となっている宅地を有していない法人の場合の「宅地、借地権又は建築物の見積額の計」



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