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札幌市情報公開・個人情報保護審査会 答申(情)第14号 固定資産税課税関係文書

2007年11月29日 | 個人に関する情報
答申(情)第14号

諮問(情)第27号

答 申


第1 審査会の結論
特定区分所有家屋(以下「本件家屋」という。)に係る家屋評価調書、非木造家屋評価計算書及び図面(以下これらを「本件対象公文書」という。)に記載された、課税床面積、課税用途、延床面積及び求積表(以下「本件非公開部分」という。)を非公開とした決定について、一部を非公開としたことは妥当であるが、別表1に掲げる部分については公開すべきである。

第2 異議申立人の主張要旨
1 異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、異議申立人が、札幌市情報公開条例(平成11年条例第41号。以下「条例」という。)第6条第1項の規定に基づき、平成18年11月6日に行った「本件家屋の一棟の建物について固定資産税に係る評価をした資料(課税台帳及び図面)」の公開を求める請求(以下「本件請求」という。)に対して、札幌市長(以下「諮問庁」という。)が行った一部公開決定(以下「原決定」という。)のうち、本件非公開部分を非公開とする決定を取り消し、その公開を求めるというものである。

2 異議申立ての理由
原決定は、次のとおり違法不当である。
(1) 建物登記簿において登記床面積が記載されていることから、各部屋の床面積は公にされている情報であると言える。原決定は、建物登記簿に登記された一般に知ることができる情報までも非公開とする誤った判断をしている。さらに原決定は、固定資産課税台帳の縦覧制度をも否定するものである。

(2) 公開を求めているのは、区分登記建物全体に係る情報であり、当該情報から特定の個人を特定できるものではなく、特定の法人の財産に関する情報にも該当しない。また、課税床面積及び延床面積が、建物登記簿の面積と同一のものではない以上、建物登記簿と照合しても各区分所有者の課税床面積を確認できるものではない。

(3) 課税用途と各区分所有者の使用状況が、すべて一致するわけではないことから、課税用途を公開したとしても、個人の権利利益を害するものでないことは明らかである。

(4) 諮問庁は、非公開の理由として地方税法(昭和25年法律第226号。以下、「法」という。)第22条の守秘義務を主張しているが、これは秘密を漏らし、または窃用することを禁止しているのであり、適法手続により公開することまで禁ずるものではない。したがって、本件対象公文書を公開したとしても、法第22条の秘密を漏らす行為には該当しないことから、原決定は守秘義務の内容を取り違えた不当なものである。

(5) 市が行った本件家屋の固定資産の評価には明らかな誤りがあると思われるが、本件非公開部分が公開されなければ、所有者は適正に課税がなされているのか確認することができない。

第3 諮問庁の説明要旨
1 本件対象公文書の性質
(1) 本件非公開部分
異議申立人は、原決定において非公開とした部分のうち、家屋評価調書(一棟総括表)中の課税床面積、非木造家屋評価計算書中の課税床面積、課税用途及び延床面積並びに図面中の求積表の公開を求めている。なお、課税床面積とは、本件対象公文書中の各専有部分の面積に応じて算出した床面積を、延床面積とは、課税床面積を合計した1棟の床面積を指している。

(2) 建物登記簿上の情報と本件非公開部分の相違点
建物登記簿においては、建物の種類(以下「登記種類」という。)や床面積(以下「登記床面積」という。)等が記載されており、これらは公にされている。他方、本件非公開部分は、固定資産の価格を算出するために調査を行って得た課税情報であり、公にされている情報ではなく、以下の点において、建物登記簿上の情報と性質が異なる。

ア 登記床面積と課税床面積の相違
区分所有家屋における専有部分の登記床面積は、内壁で囲まれた部分の水平投影床面積であるが、各専有部分の課税床面積は、壁芯で計算した各専有部分及び共用部分の合計の床面積であることから、これらは同一のものとはならない。
また、区分所有家屋に限らず、増築部分、受水槽室、電気室、塔屋などが登記されていない場合であっても、これらは課税床面積に含まれることから、課税床面積の合計と登記床面積の合計は必ずしも一致するものではない。

イ 登記種類と課税用途の相違
登記種類は、不動産登記法(平成16年法律第123号)により登記することとされている建物の種類を指す。他方、課税用途は、固定資産の価格を算出するにあたって、家屋に使用される資材の数量や経年により減価する割合により分類し、主たる構造及び用途に応じて適用するものであり、登記種類にかかわらず、現実の使用状況も考慮する。このことから、登記種類と課税用途は必ずしも一致するものではない。

2 条例第7条第1号本文該当性
(1) 個人所有部分について
区分所有家屋の課税床面積は、専有部分の登記床面積に、法定共用部分の登記床面積を当該専有部分の登記床面積割合によりあん分した床面積を加えて算出していることから、課税床面積及び延床面積を建物登記簿と照合することにより、各区分所有者の課税床面積を知ること又は類推することができる。
また、建物図面中の求積表については、これを公開することにより課税床面積および延床面積を算出することができる。
課税用途については、公開することにより、各区分所有者の使用状況を知ることができる。
以上のことから、本件非公開部分は各区分所有者の情報であり、区分所有者が個人の場合にあっては、本件非公開情報はすべて個人に関する情報と認められることから、条例第7条第1号本文に該当する。

(2) 法人所有部分について
課税床面積、延床面積及び求積表は、公開することによって、法人所有部分の登記床面積と課税床面積の割合を他の個人所有者の登記床面積に乗じて個人所有者の課税床面積を知ること又は類推することができる。
また、区分所有家屋において同一タイプの専有部分を法人と個人がそれぞれ所有する場合など、法人所有資産と個人所有資産が同一の場合、法人所有部分を公開することにより、本件家屋のパンフレットなど他の情報から個人所有部分についても明らかとなる。
以上のことから、これらの情報は、その性質から個人及び法人それぞれ固有の情報として分離することができない情報であり、区分所有者が法人の場合にあっても、条例第7条第1号本文に該当する。

3 条例第7条第1号ただし書該当性
本件非公開部分は、上記1(2)のとおり、公にされている情報ではないことから、条例第7条第1号ただし書アに該当しない。また、同号イ及びウにも該当しない。

4 条例第7条第2号該当性
本件非公開部分のような個別具体の課税情報は、調査によって初めてわかる法人の内部管理情報であり、公にされている情報ではない。当該情報を公開した場合、売買又は賃貸借契約等の取引を行う際に有利な交渉を進められなくなる等、法人の事業運営上の地位が損なわれると認められる。このことから、本件非公開部分は、所有者が法人の場合、条例第7条第2号アに該当する。
また、本件非公開部分は、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するために公にすることが必要であると認められる情報」とは認められないことから同号ただし書には該当しない。

5 条例第7条第6号該当性
法第22条において規定する秘密とは、一般に知られていない事実であって、当人が他人に知られないことについて客観的に相当の利益を有すると認められる事実とされている。
本件の場合、課税の対象となる資産が取引等により個人にも法人にも移転する可能性があることから、所有者が個人である場合と法人である場合の両方を考慮し、いずれかの場合において、当該相当の利益を有すると認められる場合には、法第22条に規定する秘密に該当する。
本件非公開部分は、上記2から4までで述べたとおり、一般に知られていない課税に関する情報であり、また、本人が他人に知られないことについて相当の利益を有するため、法第22条に規定する秘密に該当する。したがって、条例第7条第6号に該当し、非公開とすべきである。
なお、法第382条及び第382条の3では、固定資産課税台帳の閲覧及び台帳記載事項に係る証明について定めているが、台帳の閲覧や記載事項の証明を求めることができる者、閲覧や記載事項の証明を求めることのできる範囲等について制約を設けており、これらの制約に反する閲覧及び記載事項の証明の請求は認められないこととされている。このことは、課税に係る情報については、原則として法第22条に規定する「秘密」に当り、非公開とすべきものとしていることを示すものである。

6 本件非公開部分のうち公開が妥当であると判断した部分
本件非公開部分のうち、非木造家屋評価計算書中、特定法人が所有する部分における課税用途については、以下の理由から公開することが妥当である。

(1) 当該部分については、その用途の性質が一般に公にされることを予定しているものであり、これを公開することにより、当該法人の権利等を害するとは認められないことから、条例第7条第2号に該当しない。
(2) また、上記物件を将来第三者(個人、法人のいずれも含む。)が取得した場合、新取得者の使用状況に応じておのずと課税用途が定まるのであり、条例第7条第6号にも該当しない。

7 結 論
上記6の部分を除いた部分については、条例第7条第1号、第2号又は第6号に該当するため、非公開とした原決定を維持すべきである。

第4 審査会の判断
1 本件対象公文書
本件対象公文書は、本件家屋の固定資産税算出のために作成された家屋評価調書(一棟総括表)、非木造家屋評価計算書及び図面である。
非木造家屋評価計算書は、家屋の各部分の評点項目ごとに部分別標準評点数を算出した文書であり、これを家屋評価調書(一棟総括表)において集計・総括し、再建築費評点数等から一棟の固定資産評価額を算出している。本件家屋は、同一建物内に課税用途の異なる部分が並存する区分所有家屋であることから、非木造家屋評価計算書は、それぞれの用途に従って、特定の法人が所有する部分(以下「法人部分」という。)、共同住宅部分(以下「住宅部分」という。)及び区分所有者全員の共用に供される部分(以下「全体共用部分」という。)に区分して作成されている。

2 本件非公開部分
(1) 課税床面積及び延床面積
家屋評価調書(一棟総括表)には、一棟の課税床面積合計のほか、各階の課税床面積合計が記載されている。また、本件家屋には法人部分に増築があったことから、増築後の一棟の課税床面積合計についても掲載されている。
非木造家屋評価計算書中には、一棟全体の課税床面積の合計である延床面積が掲載されているほか、法人部分、住宅部分、全体共用部分の各々において課税床面積合計と各階の課税床面積合計が記載されている。
図面中の求積表は、課税床面積を所有区分や使用実態により細分化した項目を一覧表に整理したものであり、3階部分、ペントハウス部分及び一棟の建物全体について作成されている。

(2) 課税用途
本件非公開部分である課税用途は、住宅部分及び全体共用部分に係る非木造家屋評価計算書に記載されたものである。
法人部分に係る非木造家屋評価計算書の課税用途についても、原決定において諮問庁は条例第7条第2号に該当するとして非公開としていたが、本件異議申立てを受け、再検討を行った結果、性質上、一般に公にされることを予定しているものであることから公開が妥当であると判断を変更している。
異議申立人は、本件対象公文書中、原決定において非公開とされた本件非公開部分についてのみを異議申立ての対象とし、その公開を求めるとしていることから、原決定における本件非公開部分の非公開情報該当性について以下、検討する。

3 条例第7条第1号本文該当性
(1) 課税床面積及び延床面積
諮問庁は、延床面積が判明すると、各区分所有者の専有部分(以下「区分所有部分」という。)の課税床面積が明らかとなることから、条例第7条第1号本文に該当すると主張しているので、まず諮問庁の主張を整理し、その上でそれぞれの延床面積について該当性を検討する。

ア 延床面積と個別の課税床面積
(ア) 一般に、登記済の区分所有建物における区分所有部分は、登記簿によってその所有者がだれであるかを識別できる一方、課税床面積は登記簿によっても公にされていない。したがって、区分所有部分の課税床面積は、識別可能な特定の個人の財産に関する情報であるとともに、一般に公にされていない情報であり、条例第7条第1号に該当するものとして非公開とすべきである。
ところで、諮問庁が非公開を主張する課税床面積は、個々の区分所有部分ごとの課税床面積ではなく、一棟の建物全体若しくは各階単位又は一棟の建物のうち法人部分若しくは住宅部分に係る全体若しくは各階単位の延床面積である。

(イ) 延床面積は、各区分所有部分の課税床面積とは異なり、それ自体は特定の個人を識別できる情報ではない。
それにもかかわらず諮問庁が延床面積を条例第7条第1号により非公開と主張する理由は、区分所有部分ごとの課税床面積は、登記床面積と比例する関係にあることから、延床面積を公開すると、登記簿と照合することにより、区分所有部分ごとの課税床面積を算出することができるから、というものである。
仮に諮問庁の説明するとおり、延床面積と登記床面積をもとに各区分所有部分の課税床面積を算出することができるのであれば、延床面積自体が個人に関する情報ではないとしても、登記床面積は法令の規定により公にされている情報であることから、延床面積を公開することは、区分所有者個人に属する区分所有部分の課税床面積を公開することと実質的に同じことになる。
したがって、そのような場合は、諮問庁の主張のとおり、延床面積そのものが、条例第7条第1号に該当すると解すべきこととなる。

イ 一棟の建物の課税床面積合計及び各階の課税床面積合計
本件家屋について諮問庁に確認したところによると、本件家屋は、課税用途の異なる住宅部分と法人部分が並存しており、未登記部分を含む共用部分を各区分所有部分へ配分するに当たり、共用部分の使用目的等に考慮して、その一部を法人部分又は住宅部分のいずれか一方にのみ配分しているため、共用部分を加えた各専有部分に係る課税床面積が、対応する登記床面積に比例していないことが判明した。
そのため、本件家屋においては、一棟の建物の課税床面積と各専有部分の登記床面積をもとに各区分所有部分の課税床面積を算出することはできず、このことは、当審査会で実際に計算を試みることにより確認された。
したがって、本件家屋において、一棟の建物の課税床面積合計を公開しても、上記ア(イ)に述べた考え方は成立しないので、条例第7条第1号には該当しない。
また、一棟の建物の各階の課税床面積合計も、これを公開しても各区分所有部分に対する課税床面積を算出することはできないと認められるので、同様に条例第7条第1号には該当しない。

ウ 住宅部分の課税床面積合計及び各階の課税床面積合計
本件家屋について諮問庁に確認したところによると、本件家屋は住宅部分に限れば、各区分所有部分の課税床面積は、それぞれの登記床面積に比例するような方法により計算している。
そこで、当審査会において、住宅部分の課税床面積合計と各専有部分の登記床面積をもとに計算を試みたところ、各区分所有部分に対する課税床面積を算出できることが認められた。
よって、住宅部分の課税床面積合計は、上記ア(イ)の考え方により、条例第7条第1号に該当すると認められる。
また、住宅部分の課税床面積の内訳として記載された各階の課税床面積合計は、内訳という性質上、その一部でも公開することは住宅部分の課税床面積を公開しないことと相容れない結果となるので、同様に非公開とすべきである。

エ 法人部分の課税床面積合計及び各階の課税床面積合計
本件家屋に関しては、上記イのとおり、法人部分と住宅部分との課税床面積の割合が専有部分の登記床面積の割合に比例していないことが判明していることから、法人部分の課税床面積合計と各専有部分の登記床面積のみから直接に各区分所有部分の課税床面積を算出することはできない。
しかし、上記イのとおり一棟の建物の課税床面積合計は条例第7条第1号に該当しないと解すべきことから、これを公開することを前提に、さらに法人部分の課税床面積合計を公開することとした場合、一棟の建物の課税床面積合計から法人部分の課税床面積合計を差し引くことにより、上記ウにより非公開とすべきものとした住宅部分の課税床面積が導かれ、その結果、上記ウに指摘したと同様に、各区分所有部分の課税床面積を算出することができる。
したがって、本件請求においては、法人部分の課税床面積合計もまた、ア(イ)に述べたと実質的に同じ考え方により、条例第7条第1号に該当すると考えられる。同様に、法人部分の課税床面積合計の内訳として記載された各階の課税床面積合計は、内訳という性質上、その一部でも公開することは法人部分の課税床面積を公開しないことと相容れない結果となるので、同様に非公開とすべきである。

オ 求積表
求積表の個別の項目と数値は、すでに公になっている登記床面積とは別の、調査によってはじめてわかる課税情報であり、床面積を算出するための具体的な根拠となるものである。これらの数値を公にすると、住宅部分等の課税床面積が明らかになり、上記ウのとおり各区分所有部分の課税床面積を算出することができる。したがって、当該情報は、条例第7条第1号に該当すると認められる。
ただし、各階の課税床面積の合計は、上記イにおける各階の課税床面積と同じであり、すでに条例第7条第1号には該当しないという判断をしていることから、公開するのが妥当である。

カ 条例第7条第1号ただし書ア該当性
異議申立人は、原決定において、登記簿に登記され、一般に知ることができる情報までも非公開とする誤った判断がなされていると主張しているが、本件非公開部分を見分したところ、登記簿に登記された数値は掲載されていなかった。
さらに異議申立人は、原決定が、固定資産課税台帳の縦覧制度をも否定するものであると主張しているが、固定資産税の縦覧制度は、他の固定資産の評価額との比較を通じて自分の固定資産の評価額が適正かどうかを判断できるように、1ヶ月程度の期間を区切り、同一区内に同種の固定資産を持つ納税者に限り縦覧ができるというものであり、縦覧できる対象者や期間を限定している。
すなわち、この縦覧制度は、本来非公開としている課税情報を、課税の適正さに対する納税者の信頼を確保する必要があるとの政策的観点から、時期及び対象者を限定して例外的に縦覧を認めたものと考えられる。
したがって、本件非公開部分が、法令若しくは他の条例の規定により慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報とは認められないことから、条例第7条第1 号ただし書アには該当しない。

(2) 課税用途
課税用途は、非木造家屋評価計算書に掲載されている各区分であり、住宅部分及び共用部分の課税用途については非公開を維持すべきものとしている。

ア 住宅部分の課税用途は、区分所有者個人に関する情報としての性質を有することは確かであるが、本件請求に対し、課税用途欄のすぐ上の欄の「区分所有60戸 札幌アスレチックマンション」の記載を原決定において公開していること、区分所有建物について通常付される名称を用途として記載しているにすぎないこと、及び本件家屋の用途は外観上からも明らかであることから、既に公知の情報といって差し支えなく、条例第7 条第1 号アに該当し公開とすべきである。
イ 共用部分の課税用途は、各区分所有者個人に共通する個人に関する情報という要素はあるとしても、当該課税用途欄の記載内容は、課税用途を異にする法人部分及び住宅部分を合わせた全体の共用部分であることを示す趣旨に過ぎないと認められる。
そして、法人部分の課税用途について、諮問庁は原決定を変更し公開相当と判断していること、及び、住宅部分の課税用途も上記アにより公開相当と判断されることからすれば、共用部分の課税用途のみ非公開とすべき理由はない。
よって、条例第7条第1号アに該当し公開とすべきである。

4 条例第7条第6号該当性
諮問庁は、第6号該当も主張しているので、一棟の建物の課税床面積(合計・各階)及び住宅部分・共用部分の課税用途が、第6号に該当するかどうか検討する。
法第22条の秘密とは「一般に知られていない事実であって、本人が他人に知られないことについて客観的に相当の利益を有する事実」をいう。
一棟の建物の課税床面積(合計・各階)については、3(1)イで検討したとおり、本件家屋の場合、これを公にしても特定の個人又は法人の所有する区分所有部分の課税床面積が明らかになるものではないから、「本人が他人に知られないことについて客観的に相当の利益」が認められる余地はない。
また、課税用途については、3(2)で検討したとおり、本件家屋において用途は非公知性が希薄であるのみならず、その記載内容が他人に知られることによる不利益もほとんど想定し難い。
よって法第22条の秘密に当たるとはいえない。

5 条例第7条第2号該当性
法人部分の課税床面積につき諮問庁は第2号該当も主張するが、既に第1号該当により非公開相当と判断したので、当審査会として、この主張について判断するまでもない。

6 結論
以上、3~5により、第1のとおり結論する。

7 審議経過
次表のとおり。

年 月 日審 査 経 過
平成19年7月19日諮問書及び諮問庁の一部公開理由説明書を受理
平成19年7月20日異議申立人に諮問庁の一部公開理由説明書を送付するとともに意見書の提出を要請
平成19年8月9日
(第40回審査会)
事案の概要説明
平成19年8月28日
(第41回審査会)
異議申立人からの意見聴取及び諮問庁からの事情聴取
平成19年9月11日
(第42回審査会)
審 議
平成19年9月25日
(第43回審査会)
審 議
平成19年11月29日答 申


別表1
文書公開すべき部分
家屋評価調書(一棟総括表)・ 一棟の課税床面積合計
・ 一棟における各階の課税床面積合計
非木造家屋評価計算書・ 一棟の課税床面積合計
・ 一棟における各階の課税床面積合計
・ 延床面積
・ 課税用途
図面・ 一棟における各階の課税床面積合計


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