情報公開制度について考える

情報公開審査会の答申などを集めて載せています。

東京都情報公開審査会 答申第447号 裁決書

2009年03月27日 | 訴訟記録
答 申


1 審査会の結論
「裁決書」の一部開示決定において非開示とした部分のうち、別表に掲げる部分については開示すべきであるが、その他の部分については非開示が妥当である。

2 異議申立ての内容
(1)異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、東京都情報公開条例(平成11 年東京都条例第5号。以下「条例」という。)に基づき、異議申立人が行った「平成○年○月○日付で発令された都立学校副校長に対する懲戒免職処分に対する不服申し立てについての東京都人事委員会の裁決書」の開示請求に対し、東京都人事委員会が平成20年8月1日付けで行った一部開示決定について、審査請求人の氏名、学校名、被害者の個人情報以外の開示を求めるというものである。

(2)異議申立ての理由
異議申立人が、異議申立書において主張している異議申立ての主な理由は、次のとおりである。

ア 本件裁決は、「痴漢で免職のはずが『停職』 都立副校長、異例の処分軽減」、「<都人事委員会>痴漢副校長の処分軽減 懲戒免職→停職6ヶ月」など、マスコミにも大きく報道され、広範な都民の関心を呼んでいる事案である。
特に、○○新聞の報道は、開示請求で判明した事実として、請求人の職名、服務事故が発生した日時、場所も報道しており、これらはすでに社会的に流布している情報である。

イ また、東京都教育委員会は、2007 年に「教職員の服務事故について」で本件請求に係わる服務事故について、教職員の氏名・学校名・職名・年齢・性別、処分程度、発令年月日、根拠法令、処分理由を公表している。
しかるに、東京都人事委員会の本件裁決書の一部開示決定は、判定内容と法令根拠、審査請求内容、処分年月日、根拠法令、処分理由、服務事故の状況までを、「他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができる」として非開示としている。

ウ 人事委員会は、東京都情報公開条例7条2号を非開示とする根拠規定としてあげるが、同条同号は、「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」を除外している。
本件裁決に係わって、マスコミが報道している内容、教育委員会が懲戒処分発令時点でプレス発表している内容に照らせば、さらに、本件裁決も、全国人事委員会連合会が毎年度発行している「地方公務員人事判定集」に掲載、公表することが予定されていることに鑑みると、本件非開示部分は、むしろ「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」というべきである。

エ なお、本件裁決をもって、請求人の懲戒免職処分は、停職6ヶ月処分に変更されたのであるが、東京都教育委員会は、2001 年12 月26 日以降、戒告以上の懲戒免職処分については、すべて学校種、職名、性別、処分程度、発令年月日、処分理由について、プレス発表しており、この公表範囲に照らしても、請求人の氏名、学校名以外の情報を非開示とすることには、まったく理由がない。
とりわけ、判定内容(変更した処分内容)まで非開示にすることは、いかなる根拠に基づくものなのか、到底理解しがたい。
「東京都が都政に関し都民に説明する責務を全うするようにし、都民の理解と批判の下に公正で透明な行政を推進し、都民による都政への参加を進めるのに資する」(条例1条)という情報公開制度の趣旨をまったく理解しない東京都人事委員会の姿勢に強く抗議するとともに、氏名、学校名以外の部分の開示を改めて求めるものである。

3 異議申立てに対する実施機関の説明要旨
(略)


4 審査会の判断
(1)審議の経過
審査会は、本件異議申立てについて、以下のように審議した。
年 月 日審 議 経 過
平成20年 9月18日諮問
平成20年10月27日実施機関から理由説明書収受
平成20年11月28日実施機関から説明聴取(第94回第一部会)
平成20年12月18日審議(第95回第一部会)
平成21年 1月29日審議(第96回第一部会)
平成21年 2月25日審議(第97回第一部会)


(2)審査会の判断
審査会は、実施機関及び異議申立人の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。

ア 本件対象公文書について
本件異議申立てに係る対象公文書は、「平成20年4月21日付け裁決書」(以下「本件対象公文書」という。)である。
地方公務員法(昭和25年法律第261号)49条の2第1項は、地方公務員は、任命権者から懲戒処分等の不利益処分を受けた場合に、人事委員会に対して行政不服審査法(昭和37年法律第160号)による不服申立てをすることができる旨規定しており、同法50 条は、不服申立てを受けた人事委員会は、事案を審査し、裁決を行う旨規定する。裁決書とは、実施機関が行った裁決の内容を書面に記したものである。
本件対象公文書は、東京都教育委員会より不利益処分を受けた東京都の職員(以下「審査請求人」という。)が、東京都人事委員会に対して行った審査請求に対する裁決書である。

イ 本件対象公文書に係る新聞報道等について
異議申立人は、本件対象公文書に係る不利益処分について、平成19年に東京都教育委員会により氏名、処分程度等が公表されており、また、本件対象公文書に係る裁決については、平成20 年に新聞報道がなされ、職名、服務事故が発生した日時及び場所等が報道されている旨主張する。
審査会が調査したところ、申立人の述べるとおり、過去に東京都教育委員会では、当初処分の内容を公表していることが認められ、また、同様に、本件対象公文書に係る裁決(以下「本件裁決」という。)に関しても新聞報道がなされており、当該新聞報道には、開示請求により判明した情報として、職名等のほかにも、当初の処分の内容、処分に至った経緯、実施機関の裁決の内容等が、簡潔に記載されている。

ウ 審査会の審議事項について
実施機関が理由説明書において主張する本件対象公文書における非開示部分及び非開示理由は、前記3(2)のとおりである。
異議申立書の記載によれば、異議申立人は、実施機関が非開示とした部分のうち、「審査請求人の氏名」、「学校名」及び「被害者の個人情報」については開示を求めない旨主張する。
審査会が本件対象公文書を見分したところ、異議申立人が争わないとしている部分は、理由説明書における非開示部分の区分では、「審査請求人の職名及び氏名」のうち氏名の部分、「審査請求人の上司である校長の所属校名及び氏名」のうち所属校名の部分が該当すると認められる。したがって、審査会は、理由説明書による非開示の区分のうち、「審査請求人の氏名」及び「審査請求人の上司である校長の所属校名」の開示非開示の妥当性については、これを審議しない。
また、異議申立人は「被害者の個人情報」の開示は求めない旨申し立てるが、本件対象公文書を審査会が見分したところ、被害者の個人情報に関する部分は、他の記述と一体となって記載されていることが認められ、それらの記述から被害者の個人情報のみを抽出することが困難であるため、審査会は、本件対象公文書を見分した上で、被害者の個人情報を含む個々の情報ごとに開示非開示の判断を行う。
以上により、本件において審査会は、理由説明書による非開示の区分のうち、「審査請求人の職名」「審査請求人の上司である校長の氏名」「審査請求人の代理人の氏名」「裁決書の事件番号」「処分の年月日、内容及び法令根拠」「本件処分に対して人事委員会が行った裁決の内容及び法令根拠」「審査請求した内容」「処分理由」「本件処分の対象となった審査請求人の行為及び当時の状況」「審査請求人の勤務経歴」「服務事故が発生した日時及び場所が識別される記述」、「取調べを受けた警察署名及び日時」「検察官がした行為の内容、日時及び検察庁名」「審査請求人が事情聴取を受けた日付」「審査請求人の発言内容、行為、感情及び心身の状況」「審査請求人の代理人がA女に対してした行為」並びに「審査請求人以外の者の発言内容、行為、年齢及び状況」について審議する。

エ 条例7条2号該当性について
条例7条2号本文は、「個人に関する情報で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」を非開示情報として規定しており、同号ただし書において、「イ 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」、「ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要と認められる情報」、「ハ 当該個人が公務員等…である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」のいずれかに該当する情報については、同号本文に該当するものであっても開示しなければならない旨規定している。
審査会が本件対象公文書を見分したところ、本件対象公文書には全体にわたり、特定個人に関する情報が記載されていることが認められ、本件非開示部分はいずれも個人に関する情報であると認められる。以下、非開示部分をその内容から見て、下記の(ア)から(ク)までに区分した上で、それぞれにつき、条例7条2号本文及びただし書の該当性を検討する。

(ア)「審査請求人の職名」について
審査会が本件対象公文書を見分したところ、「審査請求人の職名」とは、審査請求人の具体的な勤務先及び役職であり、特定の個人を識別することができる情報であると認められる。したがって、当該情報は、条例7条2号本文に該当する。
前記イで述べたように、本件裁決に係る内容は既に公にされていることが認められ、平成19年の東京都教育委員会の公表及び平成20年の新聞報道では、審査請求人の職名に関する部分について記載されていることが認められる。
しかしながら、条例3条が個人に関する情報はみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならないと規定していることに鑑みれば、本件対象公文書のような身分取扱いに関する情報という極めて機微な情報に関しては、過去のある時点において公表がなされた事実のみをもって、直ちに「公にされている情報」と言うことはできないというべきである。したがって、「審査請求人の職名」は、慣行として公にされている情報とみることはできず、条例7条2号ただし書イには該当しない。
また、本件対象公文書は、不利益処分に関する情報という、身分取扱いに関する情報であると認められ、同号ただし書ハには該当せず、その内容及び性質からすれば同号ただし書ロにも該当しない。
したがって、「審査請求人の職名」を非開示とした実施機関の決定は妥当である。

(イ)「審査請求人の上司である校長の氏名」及び「審査請求人の代理人の氏名」について
氏名は、特定の個人を識別することができる情報そのものであり、条例7条2号本文に該当する。
審査請求人の上司である校長の氏名と当時の職員名簿等とを照合することにより、審査請求人の所属校名が明らかとなるが、前記イで述べた平成20年の新聞報道には、所属校名についての記載はみられない。平成19年の東京都教育委員会の公表には、所属校名についての記載がみられるものの、前記(ア)で述べたと同様の理由により、これを慣行として公にされている情報とみることはできない。また、審査請求人の代理人に関する情報は、平成20年の新聞報道及び平成19年の東京都教育委員会の公表ともに記載がない。したがって、これらの情報は、条例7条2号ただし書イに該当しない。
また、その内容及び性質からすれば同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
したがって、「審査請求人の上司である校長の氏名」及び「審査請求人の代理人の氏名」を非開示とした決定は妥当である。

(ウ)「処分の年月日」について
当該非開示部分には、東京都教育委員会による当初処分のなされた年月日が記載されており、実施機関は、処分年月日と他の情報とを照合することにより、特定の個人を識別することができる旨主張する。
処分年月日から直ちに特定の個人を識別することはできないが、前記イで述べた平成19年の東京都教育委員会の公表には処分年月日と併せて氏名が記載されており、これと処分年月日とを照合することにより、特定の個人を識別することができるものと認められ、「処分の年月日」は条例7条2号本文に該当する。
次に、同号ただし書該当性について検討すれば、「処分の年月日」は、過去に公にされているものではあるが、前記(ア)で述べたとおり、本件の事情のもとでは、同号ただし書に該当するものとは認められない。
したがって、「処分の年月日」を非開示とした実施機関の決定は妥当である。

(エ)「服務事故が発生した日時」「取調べを受けた日時」「検察官がした行為の日時」及び「審査請求人が事情聴取を受けた日付」について
実施機関は、これら「服務事故が発生した日時」等の情報と他の情報とを照合することにより、特定の個人を識別することができる旨主張する。
しかしながら、これらの日時等の情報は、公にしたとしても、そこから直ちに特定の個人を識別することができないことはもとより、これらの日時等と照合することにより特定の個人を識別することができる情報が何人も容易に入手できるものとは認められず、条例7条2号に該当しない。
したがって、「服務事故が発生した日時」「取調べを受けた日時」「検察官がした行為の日時」及び「審査請求人が事情聴取を受けた日付」は開示すべきである。

(オ)「服務事故が発生した場所が識別される記述」「取調べを受けた警察署名」及び「検察庁名」について
これらの非開示部分には、場所に関する記述が記載されている。このうち、「服務事故が発生した場所が識別される記述」及び「取調べを受けた警察署名」は、審査請求人の住所、通勤経路等をある程度予測することが可能な情報であり、また、本件対象公文書中の他の記述と照合することにより、住所等を特定できる可能性がより高まるものであると認められ、条例7条2号本文に該当する。
しかしながら、「検察庁名」に関しては、各検察庁及び同支部の管轄範囲は相当に広く、これを公にしたとしても、特定の個人を識別することはできないものと認められ、同号本文には該当しない。
上記のとおり、「服務事故が発生した場所が識別される記述」及び「取調べを受けた警察署名」については条例7条2号本文に該当すると認められるため、同号ただし書の該当性について検討すると、「取調べを受けた警察署名」については、前記イの新聞報道等には記載がないため、条例7条2号ただし書イに該当せず、また、その内容及び性質からすれば同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
「服務事故が発生した場所が識別される記述」については、平成19年の東京都教育委員会の公表及び平成20年の新聞報道において公にされているものではあるが、前記(ア)で述べたとおり、本件の事情のもとでは、同号ただし書のいずれにも該当するものとは認められない。
したがって、「服務事故が発生した場所が識別される記述」及び「取調べを受けた警察署名」を非開示とした実施機関の決定は妥当であるが、「検察庁名」は開示すべきである。

(カ)「審査請求人の勤務経歴」について
当該非開示部分には、審査請求人の過去の勤務先及び異動した年月日が記載されている。これらの情報は過去の職員名簿等と照合することにより、特定の個人を識別することができる情報であると認められ、条例7条2号本文に該当する。
また、当該情報は、審査請求人を特定することができる情報であるから、前記(ア)で述べたと同様に、本件の事情のもとでは、同号ただし書のいずれにも該当するものとは認められない。
したがって、「審査請求人の勤務経歴」を非開示とした実施機関の決定は妥当である。

(キ)「裁決書の事件番号」「処分の内容及び法令根拠」「本件処分に対して人事委員会が行った裁決の内容及び法令根拠」「審査請求した内容」「処分理由」「本件処分の対象となった審査請求人の行為及び当時の状況」並びに「検察官がした行為の内容」について
実施機関の説明によれば、「裁決書の事件番号」は、実施機関が毎年度発行する事業概要において「審査請求した内容」等とともに掲載されており、「裁決書の事件番号」と当該事業概要とを照合することにより、「審査請求した内容」が明らかになるとのことである。そして、「処分の内容及び法令根拠」「本件処分に対して人事委員会が行った裁決の内容及び法令根拠」「審査請求した内容」「処分理由」「本件処分の対象となった審査請求人の行為及び当時の状況」並びに「検察官がした行為の内容」(以下、これらを併せて「本件裁決の内容に係る情報」という。)と他の情報とを照合することにより、特定の個人を識別することができる旨主張する。
審査会が本件対象公文書を見分したところ、「本件裁決の内容に係る情報」は、本件裁決の結論部分、前提事実、判断の理由等の、本件裁決の中心をなす部分が記載された部分であり、これらの情報は、本件裁決の内容を読み取るには不可欠な部分である。
この点について実施機関は、上記のとおり主張するが、「本件裁決の内容に係る情報」を公にしたとしても、当該情報は、職名や勤務経歴等の個人を明確に識別することができる情報とは異なり、単に行為や判断を記述したものであるから、それら明確に個人を識別することができる情報を非開示とすれば、他の情報と照合したとしても、特定の個人を識別することが容易にできるものとは認められない。
しかしながら、「本件裁決の内容に係る情報」は、本件対象公文書に係る非違行為に関する事項を詳細に記載したものであり、審査請求人本人の名誉や人格に係わる情報で、通常、他人に知られたくないと認めるにつき相当の理由がある情報であると認められる。したがって、「本件裁決の内容に係る情報」は、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより審査請求人本人の権利利益を害するおそれがある情報であると認められ、条例7条2号本文に該当する。
次に、同号ただし書該当性について検討すれば、本件裁決の概要は、前記イで述べたとおり新聞等によりその概要が報道されるなど、公共の関心事となっており、本件対象公文書が人事委員会による裁決という行政の準司法的機能に係る公文書であること等の事情に鑑みれば、これらの情報を公にすることによって得られる公益は大きいものである。本件裁決に関しては地方公務員法50 条後段の規定に基づき公開で口頭審理が行われていることをも勘案すると、場所や勤務先等の特定の個人を識別することができる情報を非開示とすれば、本件裁決の中心的な内容が記載されている「本件裁決の内容に係る情報」は、公にすることが予定されている情報であるというべきであって、条例7条2号ただし書イに該当する情報であると認められる。
さらに、「審査請求した内容」を含む「本件裁決の内容に係る情報」が条例7条2号ただし書イに該当する情報であるので、事業概要に「審査請求した内容」と併せて記載されている「裁決書の事件番号」も同号ただし書イに該当するものと認められる。
したがって、「裁決書の事件番号」「処分の内容及び法令根拠」「本件処分に対して人事委員会が行った裁決の内容及び法令根拠」「審査請求した内容」「処分理由」「本件処分の対象となった審査請求人の行為及び当時の状況」並びに「検察官がした行為の内容」は開示すべきである。

(ク)「審査請求人の発言内容、行為、感情及び心身の状況」「審査請求人の代理人がA女に対してした行為」並びに「審査請求人以外の者の発言内容、行為、年齢及び状況」について
実施機関は、これらの非開示部分に記載された情報について、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより個人の権利利益を害するおそれがある旨主張する。
このうち、審査請求人の代理人が「A女」に対して渡した具体的な金額及び「A女」の年齢、属性等に関する情報は、特定の個人を識別することはできないが、通常、他人に知られたくない情報であると認められ、条例7条2号本文に該当する。
しかしながら、審査会が本件対象公文書を見分したところ、金額及び年齢等以外の情報は、断片的な記述や、単語を記載したものであると認められる。また、その内容も、直ちに特定の個人を識別することができないものであることはもとより、通常他人に知られたくない情報が記載されているとしても、個人が特定されないよう配慮する限り、個人の権利利益に支障を及ぼすおそれはないものと認められる。したがって、上記非開示情報のうち、具体的な金額及びA女の年齢等以外の情報は、条例7条2号本文に該当しない。
以上のとおり、具体的な金額及び「A女」の年齢等については条例7条2号本文に該当すると認められるため、以下、同号ただし書の該当性について検討する。
審査会が調査したところ、これらの事柄の詳細について、前記イの新聞報道等において報道された事実は認められず、また、その公益性の高さから公にすることが予定されている情報であると認めるべき事情も見受けられないので、これらの情報は同号ただし書イに該当するものとは認められない。また、その内容及び性質からすれば、同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
したがって、「審査請求人の発言内容、行為、感情及び心身の状況」「審査請求人の代理人がA女に対してした行為」並びに「審査請求人以外の者の発言内容、行為、年齢及び状況」のうち、具体的な金額及び年齢等を非開示とした実施機関の決定は妥当であるが、その他の部分については開示すべきである。

よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員)
西谷 剛、浅田 登美子、神橋 一彦、隅田 憲平

別表 開示すべき部分
(略)


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