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情報公開審査会の答申などを集めて載せています。

千葉県情報公開審査会 答申第279号 旅行先で提出した全ての書類等

2008年08月21日 | 行政文書該当性/文書の特定/理由付記
諮問第369号

答申第279号


第1 審査会の結論
千葉県知事(以下「実施機関」という。)は、提言書に係る供覧文書の鑑について、改めて開示決定等をすべきである。

第2 異議申立人の主張要旨
1 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、実施機関が平成19年3月26日付け健福第732号の2で行った行政文書開示決定(以下「本件決定」という。)の取消しを求めるというものである。

2 異議申立ての理由
異議申立ての理由は、おおむね次のとおりである。
異議申立人は健康福祉部の幹部及び地域振興担当部長らの山武地域医療問題について、重大な県の意向を地元首長等関係者に伝えるために行われた旅行に係るものの内、当該旅行で旅行先に提出した文書の決裁書を含めて求めたものである。
決裁書が開示されなかった。当該文書の重要性にかんがみて決裁書の不存在は考えられず、異議申立人らは、決裁書が隠蔽されていると判断する。
 
第3 実施機関の説明要旨
実施機関の説明は、おおむね次のとおりである。

1 本件決定について
本件決定に係る旅行に際して、参考文書として、「山武地域医療センターの考えられる展開パターン(医療センターの中長期イメージ)」及び「東総地域で検討されている公立病院の連携体制の提言書(東総地域の医療連携体制の確立に向けて)」(以下「本件文書」という。)を持参し、山武市長に提供を行った。これら、旅行先に提出した文書については、すべて開示を行っているところである。

2 異議申立人の主張について
異議申立人は、当該旅行で旅行先に提出した文書の決裁書が隠蔽されていると判断する旨主張する。しかしながら、旅行先の提出書類については、口頭により上司の了解を得ているものであり、開示請求に係る行政文書についてはすべて開示しているところである。異議申立人は決裁書が隠蔽されていると主張するが、この主張には根拠がないものである。  

第4 審査会の判断
当審査会は、異議申立人の主張及び実施機関の説明並びに本件文書をもとに審査した結果、以下のように判断する。

1 本件請求及び本件異議申立てについて
異議申立人は、平成19年2月22日付けで「2007年1月24日に○○○○地域振興担当部長、及び健康福祉部長以下数名の職員が、山武地域の医療問題にかかわって当該地域自治体首長を含む職員と面談するために旅行したことに関する次の情報(旅先で合流した場合も含む)2.旅行先で提出した全ての情報(決裁を受けたものであればそれを含む)」について行政文書開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
これに対し、実施機関が本件決定を行ったところ、平成19年5月24日付けで異議申立てがされたものである。

2 本件決定について
(1) 本件文書について
本件文書の内容は、以下のとおりである。

ア 「山武長生(九十九里)救急・地域医療センター構想(中長期のイメージ1)」(以下「本件文書1」という。)
イ 「山武長生(九十九里)救急・地域医療センター構想(中長期のイメージ2)」(以下「本件文書2」という。)
ウ 「山武長生(九十九里)救急・地域医療センター構想(中長期のイメージ3)」(以下「本件文書3」という。)
エ 「山武地域医療センターにおける医療機能(基本計画案修正案)」(以下「本件文書4」という。)
オ 平成19年1月東総地域医療連携協議会の提言書(以下「本件文書5」という。)

このうち、本件文書1から本件文書4は、山武長生(九十九里)救急・地域医療センター構想のイメージが図等により記載されているものである。
また、本件文書5は「東総地域の医療連携体制の確立に向けて」とあり、1、現状と課題、2、東総地域の医療連携体制の構築及び3、医療連携体制の構築に向けた具体的な手続きの各項目から構成されている。東総地域医療連携協議会は、銚子市、匝瑳市、旭市及び東庄町の3市1町で構成され、東総地域における医療連携等を円滑に推進するために設置されたものであるが、本件文書5は、当該協議会でとりまとめられた提言書である。

(2) 本件文書の特定について
本件請求に対し、異議申立人は決裁書が開示されなかった、当該文書の重要性にかんがみて決裁書の不存在は考えられないと主張する。これに対し、実施機関は、本件請求に係る行政文書は、すべて開示していると説明していることから、以下、本件文書以外の本件請求に係る行政文書の存否について検討する。

ア 実施機関は、口頭により上司の了解を得ていたものであるから、本件文書に係る決裁書は存在しないと説明する。
また、本件文書1から本件文書4は、本件請求に係る出張のために作成されたものではなく、実施機関内部での説明資料であること、本件文書5は、東総地域医療連携協議会が作成した行政文書であるため、決裁書は存在しないとのことであった。
イ しかしながら、開示請求書の「開示請求に係る行政文書の件名又は内容」欄に「(決裁を受けたものであればそれを含む)」とあり、異議申立書には「旅行先に提出した文書の決裁書を含めて求めたものである。」と記載されていることから異議申立人は、「旅行先で提出した全ての情報」について、決裁書を含めた行政文書の開示を求めているものと考えられる。
ウ そこで、当審査会は、実施機関に対し改めて本件文書に係る決裁書の存否について確認を求めたところ、本件文書1から本件文書4については、決裁書の存在は確認できなかったものの、本件文書5については、供覧した文書が確認された。当該文書は、東総地域医療連携協議会の提言書が公表され実施機関で収受した際、提言書に押印欄等を設けた供覧文書の鑑を添付し、実施機関内部で供覧したものであり、当該文書は提言書と一体をなすものと認められる。
エ したがって、本件文書5は、供覧した文書のうち、提言書のみを特定し開示したものであるから、実施機関は、供覧文書の鑑について、改めて開示決定等をすべきである。

3 結論
以上のとおり、実施機関は、本件文書5に係る供覧文書の鑑について、改めて開示決定等をすべきである。

第5 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別紙
審査会の処理経過
年月日処理内容
19年12月 5日諮問書の受理
20年 2月 8日実施機関の理由説明書の受理
20年 5月27日審議
実施機関から口頭理由説明の聴取
20年 6月24日審議
20年 7月29日審議


(参考)
千葉県情報公開審査会第1部会委員
氏名職業等備考
大田洋介城西国際大学非常勤講師部会長
大友道明弁護士
瀧上信光千葉商科大学政策情報学部長部会長職務代理者
横山清美環境パートナーシップちばアドバイザー

(五十音順:平成20年7月29日現在)


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