台湾に渡った日本の神々---今なお残る神社の遺構と遺物

日本統治時代に数多くの神社が建立されました。これらの神社を探索し神社遺跡を紹介するものです
by 金子展也

高雄州 海豊産土社

2011-11-11 23:36:19 | Weblog

鎮座日:大正9年(1920)3月3日  祭神:天照皇大神、倉稲魂神、猿田彦命、大宮能賣命、安徳天皇、建禮門院、二位局、建御雷神、經津主神、鹽土神、大国魂命、大己貴命、少彦名命、能久親王、大和武尊、外二柱  例祭日:3月3日  社格:社
鎮座地:屏東郡海豊546番地                            
現住所:屏東市海豊街---海豊街91巷20の前

海豊産土社があった所を尋ねていた時、偶然にこの土地に住む李清水さんに会うことができた。李さんは日本統治時代には小学校の教員をやっておられたとのことである。李清水さんの案内で海豊産土神社が建立された場所に行った。場所は海豊街91巷20の前の空地で、訪問時は何も無い雑木林であった。李清水さんによると、海豊街一体は台湾製糖株式会社阿緱製糖所の土地であり、海豊産土社は台湾製糖株式会社阿緱製糖所宿舎内に建立された企業神社であったという。

海豊産土社ほど祭神が多い神社は台湾にはなかった。何故これだけの祭神が祀られたのか、また祭神と台湾製糖会社阿緱製糖所の関係は何であるかが非常に興味のあるところである。この神社の祭神を大別すると、次の通りになる。
① 皇室の皇祖神としての天照大神
② 台湾の神社に祀られた標準的な大国魂命、大己貴命、少彦名命の三神一座と能久親王
③ 安徳天皇、建禮門院、二位局を祀る福岡県久留米水天宮系の祭神
④ 倉稲魂神、猿田彦命、大宮能賣命を祀る稲荷系の祭神
⑤ 鹽土神は鹽土老翁神(しおつちおきなのかみ)のことであり、漁業や製塩の技術を伝えた神としても有名である。また、海路を司ったとされており、出産は潮の干満に関係していることから、その満潮時の無事安産を祈って、潮路の神から安産守護神ともされている。鹽土神を祀る神社として宮城県釜石の塩竈神社や滋賀県伊香郡西荒井町の塩津神社がある。
⑥ 日本武尊が祀られている神社は台湾ではここ一社だけである。日本武尊を祀る神社として福井県敦賀市の気比神宮と滋賀県大津市の建部神社がある。これらの祭神から海豊産土社は滋賀県と福岡県で漁業または製塩に関係があった土地ではないかと想像される。


水田の奥が神社の鎮座した場所であった
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