付け焼き刃の覚え書き

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「ブラウン神父の不信」 G・K・チェスタトン

2008-09-29 | ミステリー・推理小説
 まん丸顔に団子っ鼻。帽子とオンボロ傘を身につけた全身黒ずくめの僧服姿といったら、世界の名探偵で何番目かに入るブラウン神父。「賢い人は木の葉をどこに隠すかね?」に始まる会話が有名。
 この巻は呪いとか奇跡とかにまつわるエピソードが目立ちます。人が神を信じないと、愚かな奇跡とか呪いに振り回されるようになるということで、信仰深い神父は目先のトリックに惑わされず真実を見抜きます。危うく自分が奇跡になりかける話もありますが……。

「百万人もの正気な人間が形づくる社会のなかで、それに敵対するたったひとりの狂人がわたしを迫害するとか、死ぬまで追いまわすとかほざく気になったからといって、なにも心を悩ますことはないじゃないか」
 九死に一生を得た考古学者スメール教授の言葉。社会そのものに弾圧される時代に比べたら、いかほどのことがあろうか。世界は自分の味方なのだ。

 それから、密室殺人のエピソードで「黄色い部屋」にちらりと言及されていたりして、既にルルーのミステリは密室トリックの定番となっているわけですね。

【ブラウン神父の不信】【チェスタトン】【黄色い部屋】【名探偵】

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