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『古代日本の文字世界』 2000年 大修館 その1

2014年08月25日 | 初期国家・古代遊記

     ▲ 『古代日本の文字世界』 平川南編 2000年4月 大修館 当時2600円+税

大修館創業80周年記念事業として開催されたシンポジウムの 記録集 

1998年11月1日(日)有楽町マリオン・朝日ホールでの 

古代史・考古学・国語学・国文学シンポジウム 「古代日本の文字世界」 の記録に、増補加筆したもの

 以下は目次

 

 

 一方、

この本に関連して、2002年、3月~6月まで、国立歴史民俗博物館のフォーラム・展示で「古代日本 文字の来た道」という展示があり、この展示を記念したフォーラム・記録に増補・加筆したものが

下の本

▲  『古代日本の文字世界』 平川南編 2005年11月 大修館  定価当時2400円+税

今年は2014年だから、フォーラムからはもう10年以上がたち、出版からも9年が経過してしまっている。

どこかで、好感度の高い書評を目にしていたので、古本屋で出たら買おうなんて思っていたのだが、この本、わりと好評であったのか、古書店に出ると、次の給料日のあとで、と思案するうちに、いつも注文数日前に「日本の古本屋」から消えるのだった。それほど高い本ではないが、古書店で1500円位で入手できるのを何度も見ていると、なぜか新刊本屋に注文することができなくなっている自分がいる。重度の貧乏性が災いして、今日まで長い間、入手できずにいたのだった。・・・・自分でも呆れているぞ。しかし、古書店でついに入荷していた古書店を発見、入手!やれやれ。

それにしても時間が経つのは早いな。

国家の形成に文字の果たした役割は大きいと思う。話ことばだけでは、発話の現前性が失われれば、なかなか正確で統一的な情報が、後まで保存できないわけだし、親密な共同性の交通・交流圏外では、ことばの冗長性が増して、明確な情報の共有ができない。

自ずと共同体の文化とその圏域は小さなものでないとあつれきや、抗争を解決できなくなり、一定程度の大きさを超えると、共同体の拡大化に抗する力が働くのかもしれない。

というわけで、初期国家形成の動きには、文字の導入と文字文化の倭国化、交流・交通路(道)の形成、大量運搬手段としての馬の飼育・普及なども大いにからめて論じる必要を感じる。

8月末から9月の読書はこの 『古代日本の文字世界』 平川南編 2000年4月 大修館 と 『古代日本 文字の来た道』 平川南編 2005年4月 大修館 の2冊を読み比べてみるか。

 

以下は大修館のホームページから紹介

『古代日本 文字の来た道』 平川南編 2005年4月 大修館

 韓国での考古学的成果から明らかとなる古代日韓の共通点、そして海を越えた人・文字・ことばの交流の姿。漢字学・言語学・考古学・古代史・文化人類学の第一人者が一堂に会したフォーラムを収録した、「古代史」と「文字の歴史」をダイナミックに結ぶ画期的成果! 
  
主要目次: はじめに 平川 南

第1部 基調講演
1 人は何のために文字を書いたか ―中国での文字の発生―  阿辻哲次
 「漢字」とは
「漢字」とは何ぞや?/漢字の祖先、甲骨文字
 だれのために文字を書いたか
甲骨の占い/甲骨の読者は神/見えないところに記された/青銅器の金文/神の文字から人の文字へ/政治行政の道具として――不特定多数に向けた文字
 [コラム]漢字の好き嫌い
2 古代朝鮮の文字文化 ―見えてきた文字の架け橋―  李 成市
 中国からの渡来人と漢字
朝鮮半島での漢字の始まり/初期の文字文化を狙ったのは中国系の人々
 高句麗の金石文
高句麗人の文字文化――三つの碑文/文字文化のパイプ役となった高句麗
 新羅の金石文
新羅における初期の文字資料/新羅での試行錯誤――誓記体/木簡から見えてきた新羅と日本の共通性
 [コラム]文体と形態から読む石碑 ―六世紀の新羅碑をめぐって―
 [資料]朝鮮半島の石碑
3 古代の「言葉」から探る文字の道 ―日朝の文法・発音・文字―  犬飼 隆
 孤立語と膠着語
 朝鮮なまりの漢文
語順/送り仮名「之」/補助動詞「賜」
 発音から見た日本語と朝鮮語
開音節と閉音節――日本語は母音で終わる/古代日本の新しい母音「エ」/二種類あった日本の「イ」/「天壽國曼荼羅繍帳銘」の謎
 [コラム]七世紀の万葉仮名 ―平仮名・片仮名の源流―
4 古代日本の文字文化 ―空白の六世紀を考える―   東野治之
 初期の文字資料
文字か記号か/史書に見る日本の文字使用状況/『日本書紀』の暦法/初期の文字資料の評価
 六世紀を考える――仏教の果たした役割
「木を刻み縄を結ぶ」/文字文化の移入は百済経由?/仏教の受容と経典/空白の六世紀/七世紀の資料から文字の浸透度を読み取る/仏教、そして百済の再評価
 [コラム]飛鳥寺の文字瓦をめぐって ―七世紀前半の仏教と文字文化―
5 声と文字と歴史と ―「文字を必要としなかった社会」からの視点  川田順造
 「文字」とは何か?
「文字」と「言葉」は別のもの/声に戻すための「楽譜」
 声の特質・文字の特質
声の特質/文字の特質――遠隔伝達性、反復参照性、個別参照性、そして「立ち止まり」
 二次元指向と文字
文字は「二次元指向」の媒体/歴史意識と時制/視覚の発達
 太鼓で語られる言葉
モシ王国の太鼓言葉/最初のカルチャー・ショック
 モシの建国神話と『古事記』
王国の系譜/範列的に語られる神の物語/連鎖的に語られる人の王の物語/文字の導入と歴史意識の変化
 [コラム]よむ、かく、となえる
第2部 フォーラム
[司会]平川 南
[パネリスト]阿辻哲次/李 成市/犬飼 隆/東野治之/川田順造
1 文字の誕生
文字の始まりは神との対話?/道具としての文字
2 本格的な文字文化の始まり
二~四世紀の日本列島内の文字/大陸連動で始まった本格的文字文化
3 文字の浸透と宗教
空白の六世紀と仏教/道教と文字
4 文字の力

5 文字を学ぶ
出土が相次ぐ『論語』木簡

6 朝鮮半島と日本列島、文字資料を解く
「椋」字をめぐって/石碑文化に見る文字の広がりの違い/日朝で共通、独自の用字「鎰」/城山山城遺跡出土木簡をめぐって

  質疑応答
「朝鮮半島で木簡の出土が急に増えているのはなぜですか?」
「扶余族と韓族の違いは?」
「日本語の発音の少なさを実感します。発音の多い言語について教えてください」
「古代の発音をどのように推測するのか、詳しく教えてください」
「日本における母音“エ”の成立について、詳しく教えてください」
「片仮名が朝鮮語の読みで理解できる、という新聞記事を見かけましたが?」

7 文字研究の広がりとこれから
中国の周辺国に視点を広げる/漢字の導入は恩恵? それとも?/漢字の造語能力/文字文化研究のこれから
あとがき 
  
  【中国】「神」と「人」と「文字」の関係はどのように変化していったのか。人は何のために文字を書いたのか――その根源を考える。
【朝鮮半島】石碑・木簡・古代の発音…。次々明らかになる日韓の共通点。日本の初期文字史のミッシングリンクを解く鍵は、朝鮮半島が握っていた。
【日本】初期の記号的な文字、政治と結びついた文字、仏教と結びついた文字…。日本へのさまざまな文字流入の文脈を捉え直す。
【無文字社会】声と文字、神話と歴史――。「文字を必要としなかった社会」からの視点で、文字を使うことの意味を根源から問う。

 

そういえば、ルソーも「言語起源論」を書いていたな。それも権力の洞察の一環として。灯台もと暗し、思わぬ初期国家形成論の、論じたりない死角があったか。

 

次回に続く

 

 

 

 

 



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