↑おいらん淵。写真では小さく見えるが、実際はかなり大きく深い。不気味な色の岩はハイアロクラスタイトという溶岩(500万年前に海底火山の噴火で出来たもの)なのだそうだ。
南区川沿の豊平川沿いに「藻南公園」は広がっている。立派な公園遊具はもちろんのこと、炊事場所も存在する比較的大きな公園だ。公園内は子供たちの笑い声であふれているが、奥へ進み、柵を乗り越えて豊平川に出てみると、雰囲気は一変する。普段見慣れている豊平川沿いとはまったく違い、不気味な色の岩でごつごつしている奇妙な光景。人気はなく、住宅街の公園から一歩入っただけでこんなにも変わるものかと驚く。そして川沿いを数分進み、たどり着くのが「おいらん淵」と呼ばれている、マニアの間では結構有名な心霊スポットだ。
どことなくおどろおどろしさが漂うこの名前は、明治の末に、1人のおいらんが札幌での生活に耐えられなくなり、華やかな衣装を着たままこの場所に身投げをしたという伝説に由来する。奇しくも、山梨県にある本州最恐の心霊スポット(多分・・・いや、絶対!)と同名であるが、山梨の方は残酷で悲惨極まりない歴史が語り伝えられているのに対し、藻南公園の方はなんとも悲しげなこのお話が公園内の説明板にひっそりと残るのみである。
おいらんはこの深い淵に沈んでいったのだろうか・・・。
※2007年7月、2008年3月、2009年9月取材