二度目の台湾。
一応「冬」と言われる季節で、
15〜20℃くらいの、過ごしやすい気温が続いていた。
ただし比較的 雨が多く、太陽が出なければ肌寒いこともある。
ある曇天の1日、ローカル線に乗って、
東海岸の日帰り旅(台北拠点)に出かけた。
乗り物はなんでも大好き。
流れる景色を眺めているのが旅の楽しみ。
春節の少し前で、平日を選んだので、
列車は空いていて、ゆったり寛ぐことができた。
素朴な田舎の風景、
街の中の、ハッとする色彩、
左は海、右は山野。
3時間ほどで、「花蓮」という街に着いた。
花蓮(ホワァ リエン) . . . 美しく芳しい名前。
花蓮駅から、ローカルバスに乗る。
海のそばを通るけれど、まずは山へ。
太魯閣(タイルウガヲ)という渓谷を目指す。
海を離れるとすぐに山道に入る。
山が海岸に迫っていて、壁のような断崖が突然、目の前に現れた。
険しい山々は、大昔、珊瑚礁の海底が隆起したものだそうだ。
激しい標高差には、度肝を抜かれます。
そして、こんな断崖を削って道を作ったとは、
人間のはかりしれない野望にも驚きますが、
ここの石質は、なんと大理石だそうで。
さらに翡翠(ひすい)や猫目石なども採れるのだとか。
宝の山だったのですね。
手元のガイドブックによると、
国共内戦の後、国民党政権が、
大陸から連れてきた兵士などを動員し、
この山道を、驚くべき短期間で開通させた。
その時、多くの殉職者を出し、
霊を祀ったのが、写真の中国宮殿様式のお寺だそうです。
このお寺の建設時に殉職者は出なかったのだろうか . . .
バスの終点、太魯閣を散策。
台湾原住民の一つ、タロコ族が住んでいる場所らしい。
普段は民族衣装を着ていないだろうから、
判別はできなかった。
野生のブーゲンビリアがあちらこちらに。
そして、梅が満開。
あたりに春の香りを漂わせている。
そうかと思うと、
ポインセチアも鮮やかに咲きほこり。
熱帯〜亜熱帯では、
野生の、巨大な枝ぶりのポインセチア、よく見かけるけれど、
梅との饗宴は、不思議な光景に映った。
さらに、キク科ヒマワリ属のキクイモと思われる花。
日本では、夏の花です。
珍しい椿。
これはお寺の庭で栽培されているもの。
様々なシダ類。
我が家の家紋、カタバミ。
と、花に誘い込まれ、道草をしすぎたようで、
いつの間にか、山道で、ぽつねん。
すっかり道に迷ってしまった。
太陽が出てたら、なんとなく方向はわかったのだが、
空には厚い雲。
静かな車道に出て、トンネルを抜け、とぼとぼ歩いていると、
一台の車が通りかかり、ご年配の男女の顔が見えたので、
手を上げて、助けを求めた。
つまりヒッチハイク。
優しいご夫婦は、こころよく帰り道のバス停まで乗せて行ってくださり、
無事、山から戻ることができた。
さて、まだ帰りの電車までに時間があるので、
今度は海へ。
「七星譚(チーシンタン)」という、美しい海岸。
山から下りてきたところがここの海。
肌寒いのに、ココナツジュースを売っているおばさん。
無事、生還できて高揚していたので、つい買ってしまったが、
案の定、体が冷えてしまった。
でも 少し歩いたら、温まった。
この海岸には、丸くて綺麗な石がびっしり敷きつめられている。
それもそのはず、あの大理石の美しい山肌から流れてくるのだから。
しばし、夢中で石拾い。
犬も楽しそう。
雲が生まれて、流れていく光景を
時間を忘れて眺めていた。
何時も見たことのないものと出会わせてくれる。
大自然のいとなみは、なんて神秘的で美しいのだろう。