語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


花蓮という町へ 〜 台湾の旅①

2017年01月24日 | 旅で出会った花々

二度目の台湾。
一応「冬」と言われる季節で、
15〜20℃くらいの、過ごしやすい気温が続いていた。
ただし比較的 雨が多く、太陽が出なければ肌寒いこともある。

ある曇天の1日、ローカル線に乗って、
東海岸の日帰り旅(台北拠点)に出かけた。

乗り物はなんでも大好き。
流れる景色を眺めているのが旅の楽しみ。
春節の少し前で、平日を選んだので、
列車は空いていて、ゆったり寛ぐことができた。






素朴な田舎の風景、
街の中の、ハッとする色彩、

左は海、右は山野。




3時間ほどで、「花蓮」という街に着いた。
花蓮(ホワァ リエン) . . . 美しく芳しい名前。



花蓮駅から、ローカルバスに乗る。
海のそばを通るけれど、まずは山へ。
太魯閣(タイルウガヲ)という渓谷を目指す。

海を離れるとすぐに山道に入る。
山が海岸に迫っていて、壁のような断崖が突然、目の前に現れた。

険しい山々は、大昔、珊瑚礁の海底が隆起したものだそうだ。




激しい標高差には、度肝を抜かれます。

そして、こんな断崖を削って道を作ったとは、
人間のはかりしれない野望にも驚きますが、
ここの石質は、なんと大理石だそうで。
さらに翡翠(ひすい)や猫目石なども採れるのだとか。
宝の山だったのですね。





手元のガイドブックによると、
国共内戦の後、国民党政権が、
大陸から連れてきた兵士などを動員し、
この山道を、驚くべき短期間で開通させた。
その時、多くの殉職者を出し、
霊を祀ったのが、写真の中国宮殿様式のお寺だそうです。

このお寺の建設時に殉職者は出なかったのだろうか . . .




バスの終点、太魯閣を散策。
台湾原住民の一つ、タロコ族が住んでいる場所らしい。
普段は民族衣装を着ていないだろうから、
判別はできなかった。

野生のブーゲンビリアがあちらこちらに。






そして、梅が満開。
あたりに春の香りを漂わせている。




そうかと思うと、
ポインセチアも鮮やかに咲きほこり。



熱帯〜亜熱帯では、
野生の、巨大な枝ぶりのポインセチア、よく見かけるけれど、
梅との饗宴は、不思議な光景に映った。






さらに、キク科ヒマワリ属のキクイモと思われる花。
日本では、夏の花です。


珍しい椿。
これはお寺の庭で栽培されているもの。




様々なシダ類。



我が家の家紋、カタバミ。





と、花に誘い込まれ、道草をしすぎたようで、
いつの間にか、山道で、ぽつねん。
すっかり道に迷ってしまった。

太陽が出てたら、なんとなく方向はわかったのだが、
空には厚い雲。
静かな車道に出て、トンネルを抜け、とぼとぼ歩いていると、
一台の車が通りかかり、ご年配の男女の顔が見えたので、
手を上げて、助けを求めた。
つまりヒッチハイク。

優しいご夫婦は、こころよく帰り道のバス停まで乗せて行ってくださり、
無事、山から戻ることができた。


さて、まだ帰りの電車までに時間があるので、
今度は海へ。



「七星譚(チーシンタン)」という、美しい海岸。
山から下りてきたところがここの海。



肌寒いのに、ココナツジュースを売っているおばさん。
無事、生還できて高揚していたので、つい買ってしまったが、
案の定、体が冷えてしまった。


でも 少し歩いたら、温まった。

この海岸には、丸くて綺麗な石がびっしり敷きつめられている。
それもそのはず、あの大理石の美しい山肌から流れてくるのだから。
しばし、夢中で石拾い。


犬も楽しそう。






雲が生まれて、流れていく光景を
時間を忘れて眺めていた。

何時も見たことのないものと出会わせてくれる。
大自然のいとなみは、なんて神秘的で美しいのだろう。








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池田千鶴子 グランドハープ演奏会 みずみずしい緑とともに

2015年04月22日 | 作品展、コンサートなどのイベント

池田千鶴子 グランドハープ演奏会

2015年 5月24日(日)

昼の部 15:00~16:30 / 夜の部 19:30~21:00

各回予約制 料金 2,700円

会場/花のアトリエ こすもす 1階、植物の中で

 

お申込みは、☎072−222−8720 または

    メール cosmos.izumi@gmail.com

工藤和彦 うつわ展の関連イベントとして、

池田さんの演奏会、今回で3回めとなります。

その演奏会に来られた方はみな体験していることなのですが、

まわりを囲む花々が、一緒になってよろこぶのです。

秋のコンサートでは、演奏が終わってふと見ると、

コスモスが、みんな池田さんの方を向いていました。

桜の時は、音を立てて花が咲きました。

人のみならず、植物たちも、

池田さんが奏でる音楽に魅了されてしまうのです。

その音色は、美しいせせらぎのようでもあり

キラキラとした木漏れ日のようでもあり

やわらかい衣をまとった感触のようでもあり

美しさと心地よさ、この上ない幸福感に満ちた音楽なのです。

 

(2012年 秋の演奏会より)

 

池田千鶴子さんは、ハープを携え、何十年にわたって、

世界中の紛争地域や災害にみまわれた町を訪れ、

演奏してこられました。

現在は、国連の評議員もなさっており、

人権問題などにも取り組んでいらっしゃいます。

その秘めた強さが奥底にあるからこそ、

心の深いところに響く、美しい音楽がつむがれるのでしょう。

池田さんのあたたかいトークとともに、

極上の音楽を体感していただきたいと思います。

今回は、初夏のみずみずしい緑をたっぷりと。

生命力あふれる季節のコンサート、お楽しみ下さい。

 

池田千鶴子さんプロフィール http://chizuko.org/profile/

 

 

 

 


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工藤和彦 うつわ展  2015 新緑まぶしいころ

2015年04月21日 | 作品展、コンサートなどのイベント

緑したたる季節、陶芸家・工藤和彦さんの作品展を行います。

工藤さんは、北海道の大自然の中で制作をされています。

その土は、2億年をさかのぼるシベリア大陸の記憶、

みずから土を掘り、自生する木で灰釉を作ります。

食の器、花の器、大自然とつながる うつわです。

常に進化しつづける工藤さん、新作をお楽しみに。

(花/角島 泉)


また、多くのご要望にお応えして、

ハープ奏者・池田千鶴子さんの演奏会を

うつわ展に合わせて開催します。

演奏会場(1階)を、森に仕立てて、お待ちしております

 

 

工藤和彦 うつわ展

  花のアトリエ こすもす

2015年5月22日(金)~5月31日(日)
 午前11時 ~ 午後7時(5/28(木)休み)

✾池田千鶴子 グランドハープ演奏会
 5月24日(日)昼の部 3時~ /
         夜の部 7時半~(入替え制)

 1階会場、植物の中で
 
 演奏会は予約制になります。
 料金 2,700 円

(写真は、2014春の花の中での演奏会)

 工藤和彦 http://kazuhiko-kudo.com 
池田千鶴子 http://chizuko.org

    花のアトリエ こすもす
      金沢市安江町5-14 
  Tel 076-222-8720

 


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2015年03月26日 | 作品展、コンサートなどのイベント

 

敬愛するキルト作家・秦泉寺由子さんディレクションの作品展に
花で共演させていただくことになりました。
ガラス作家の荒川尚也さんの美しい器に、お料理と花。
比叡山の中腹の、光がいっぱいのジンゼンジ・ギャラリーで
3月27日(金)~4月5日(日)まで開催です。
(私は27日に在廊しています)

秦泉寺さんは、すべてのキルト作品が
英米のキルト美術館や博物館に
永久所蔵として納められてから数年、
キッチンハウス・ジンゼンジを設立され、
お料理の探求を続けていらっしゃいます。
年に一度、春の訪れとともに開催される作品展は、
すばらしい作家さんのうつわからインスピレーションを得た
お料理やお菓子が盛りつけられ、五感すべてで美を楽しみ、
春を満喫するという趣向で行われます。
京都や琵琶湖の周りの桜を楽しみながら
会場へ遊びにいらしてください。
京都または大津から車やバスで20分ほどです。

秦泉寺由子さんホームページ

http://www.yoshikoquilt.com


イベント情報
http://yoshikoquilt.sakura.ne.jp/blog/?p=1795

 

 

 

 


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桜にまつわるお能「吉野天人」「西行桜」について

2015年03月06日 | 作品展、コンサートなどのイベント

お能には、花や木の精が人間の姿になって現れる曲が

たくさんあるようです。美しい空想ですね。

人が人を愛するように、花や木にも深い愛情が、

むしろさらに畏敬の念をもって、植物を見てきた

東洋人の思想が、お能に反映されているように感じます。

4月に開催するお能の会では、

桜の季節に合わせて、桜の精、桜を守る天人の曲を選んでいただきました。

そのあらすじをまとめてみました。

また、今回一緒に企画をすすめてくだった

シテ方の下平克宏さん、ワキ方の殿田謙吉さんは

各地の大舞台でご活躍のすばらしい能楽師さんです。

合わせてプロフィールをご紹介します。

 

【 曲(演目)】

両日とも昼の部は「吉野天人(よしのてんにん)」

夜の部は「西行桜(さいぎょうざくら)」です。

 

「吉野天人」

(シテ  下平克宏  写真提供  前島吉裕) 

 

毎春、色々な場所の桜を見ることにしている都の男が、

今年は吉野の桜を見ようと思い立ち、仲間たちとともに吉野山に入ります。

するとそこへ高貴な姿をした女性が現れます。

このような所になぜ女性が?と不審に思った男が女に尋ねると、女は

「私はこの辺りに住む者で、

 一日中 花を友として暮らしているのです。」

と答えます。

そして都人と共に花を眺めます。

しかし女がいつまでも帰ろうとしないので、男が尋ねると、女は

「実は私は天人で、花にひかれて来たのです。

 今夜ここに旅居して信心なさるならば、

 古の五節の舞をお見せしましょう。」

と言い、女は消え失せます。

やがて夜になり、どこからともなく音楽が聞こえ、

辺りにはなんともいえない良い香りが立ちこめます。

するとそこへ天人が現れ、桜の花に戯れ舞を舞っていましたが、

また花の雲に乗ってどこかへ消え去っていくのでした。

 

前シテ:里女 /後シテ:天人  . . .  下平 克宏(観世流)

ワキ:都人  . . . . . . . . . . . . . . .  殿田 謙吉(下掛宝生流)

地 謡  . . . . . . . . . . . . . . . . . . 大槻 祟充(観世流)

笛  . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 江野 泉 (森田流)

 

 

「西行桜」 夜の部(ろうそく能)

(シテ 藤波重満  写真提供 前島吉裕)

 

嵯峨の奥に住まいする西行の庵には、桜の名木がありました。

修行の障りになるのをおそれて、

今年の春は花見客の訪問を受け付けまいと決心しますが、

都の者たちから乞われるとしぶしぶ見物を許します。

都人たちは、今を盛りと咲く桜を愛でて花見に興じます。

その様子を見て西行は、花の散るのを静かに眺めて心を澄まそうとしたのに

俗世の人々に妨げられたのは桜のせいであると歌に詠みます。

夜になり、花の下でまどろんでいる西行のもとへ

老人が現れ、桜に罪はないとさとします。

そして自分はこの老木の桜の精であると名乗り、

物言わぬ草や木もこうした道理を教えさとすことで

今度は悟りえた西行に導かれて、

仏の知遇を得ることになるのだと喜びます。

老木の精は、都周辺の桜の名所を案内して西行を楽しませ、

やがて夜明けとともに姿を消します。

西行が目覚めると辺り一面に

雪のように花が散り敷いているのでした。

 

シテ:桜の精  . . . . . . . . 下平 克宏(観世流)

ワキ:西行法師 . . . . . .  殿田 謙吉(下掛宝生流)

地 謡  . . . . . . . . . . . .  大槻 祟充(観世流)

笛   . . . . . . . . . . . . . . 江野 泉 (森田流)

 

**********************

【 能楽師 プロフィール 】

 

下平 克宏(しもだいら かつひろ)

観世流 シテ方

群馬県高崎市出身 1958年生


学習院大学入学後、サークル(観世会部)にて能と出会う。

藤波重満師(観世流職分、東京芸術大学名誉教授、

重要無形文化財総合指定保持者)の許へ内弟子として入門。

東京芸術大学音楽学部邦楽科能楽専攻に入学。

同校卒業後、邦楽科助手を歴任。

昭和63年独立。

平成元年4月に独立披露能を主催し、「羽衣」を勤める。

平成3年「石橋」、平成5年「乱」、

平成7年「道成寺」をそれぞれ自身主催の記念会で披く。

平成10年 自身記念会にて「井筒」

平成15年 自身記念会にて「道成寺」赤頭を披く。

平成20年に演能の会特別公演にて「安宅」瀧流之伝を披く。

平成21年オーストリア・ルーマニア海外公演に参加。

現在、演能の会を主宰し、東京を中心に演能活動を行う。

シテ方観世流準職分

(社)能楽協会会員

(社)観世会会員

正派音楽院講師

上毛芸術奨励賞特別賞受賞

ぐんま観光特使


. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 

 

殿田 謙吉(とのだ けんきち)

 

下掛(しもがかり)宝生流 ワキ方

石川県金沢市出身 1959年生

東京都練馬区在住

殿田保輔(やすすけ)の長男

宗家 人間国宝の宝生 閑及び父に師事

東京芸術大学 音楽学部邦楽科能楽専攻卒業  

公益社団法人 能楽協会 東京支部常議員

日本能楽会会員

重要無形文化財総合指定保持者

いしかわ観光特使

石川県金沢市出身 1959年生

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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