泉区生活支援ネットワーク

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視覚障害者 豆腐作り挑む 仙台・就労支援施設が事業参入

2022年04月12日 | 施設情報
(「河北新報」令和4年4月12日(火)づけ)
 視覚障害のある人を対象にした就労継続支援B型事業所「希望の星」{仙台市太白区)が、豆腐の製造事業を始めた。視覚障害者の支援施設が食品加工に乗り出すのは珍しい。施設は利用者の声を聞いて作業を工夫し、新規事業に挑んだ。

 新事業に参加する利用者は3人。豆腐を計量したり、密封する機械のセットをしたりする。水槽で冷やされた商品の取り出しや、器具の洗浄なども行う。

 豆腐洗浄は,昨年10月に事業所を太白区松が丘に移転したのがきっかけだった。賃借した民家に豆腐製造機があり、新しい仕事を試すことになった。かつ
て豆腐店を営んでいた家主の男性の強い勧めもあった。

 施設職員は当初、異物混入に厳しい食品製造業に参入するか迷った。食品加工に興味を持った利用者と対話を重ねると、「音声式のはかりがあれば計量の仕事はできる」といった提案があり、利用者との仕事の分担が可能と分かった。異物混入の懸念も職員らがチェックすることで解消した。

 民家にあった豆腐製造機は、水を加え、加熱することなどで豆乳になる「大豆パウダーを使用する独特の機械だった。豆腐の原料となる豆乳を作る過程でおからをほとんど出さず、大豆の栄養を豊富にに取り入れることができる。

 大豆から加工する必要がないため一定程度手間を省けるが、商品の試作では2種類ある国産大豆パウダーのブレンド割合、豆乳の温度調整などで職員らは試行錯誤を繰り返した。一時は事業の断念も考えたという。

 施設の千田裕子管理者は「福祉施設による製品販売会では食品の人気が高く、挑戦したいという思いが強かった」と振り返る。新型コロナウイルス禍でマッサージなど既存事業の売り上げが大幅に減っており、施設としても新たな事業開拓の必要に迫られていた。

 今年1月、味が比較的安定して販売を開始できるようになった。濃厚な味わいや香りの良さが評判となり、最近では製造する99丁が1日で完売している。

 全盲に近い斎藤滋さん(62)は「かつて設備関係の仕事をしていたので、豆腐製造機の使い方をイメージできる」と話す。強度の弱視の荒木一広さん(65)は「水が冷たく大変だけど、おいしいという感想を聞くのがやりがい」と笑顔。全盲の三品晃さん(58)も「見えなくても豆腐作りに携われて、小さな幸せを感じる」と言う。

 毎週木曜日に製造し、事業所で販売する。絹ごしで、一丁300円。予約もできる。連絡先は希望の星022(228)5060(水土日曜、祝日休み)。
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