泉区生活支援ネットワーク

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障害児の居場所 放課後等デイサービスの今(3)

2018年03月14日 | Weblog
互いに学び業界底上げ
 不足する人材

 放課後等デイサービス事業所の急増に伴い、サービスの質の低下が懸念されるようになった。国は職員の資格要件を厳しくするなど対策に乗り出したが、慢性的な人手不足によりギリギリの人員で運営する事業所が多く、質の向上と職員確保は現場にとって重い課題となっている。
 「子どもにテレビやDVDばかり見せている」 「1日ドライブして終わった」。宮城県のある関係者は、こんな事例を実際に耳にした。
 仙台市内にある事業所の7割が加盟する「放課後ケアネットワーク仙台」代表の熊谷秀典さんは「悪質な業者は一部だが、制度化されて6年と経験が浅く、未熟な部分があるのは否めない。業界全体で質を底上げしないといけない」と危機感を持つ。

争奪戦始まる
 厚生労働省は2017年4月、療育責任者で、必ず配置しなければならない児童発達支援管理者の資格要件に「児童福祉分野で3年以上の経験」を加えた。4月からは、社会福祉士などの資格や教員免許を持つ「児童指導員」の配置を義務付けた。
 職員資格の厳格化が進む一方、現場からは「求人を出しても来ないのに、資格要件が厳しくなったらなおさら来ない」と、悲痛な声が漏れる。宮城県内には、職員を確保できないためにこの3月で事業を休止した所もある。事業所が集中する仙台市内では職員の争奪戦が始まっているという。
 重症心身障害児対象の事業所の場合は、他にもリハビリを担う機能訓練士(理学療法士など)と看護師が必要で、どの事業所も常に募集をかけている状態だ。
 仙台市で「ラズベリー」と 「クランベリー」の2事業所を運営するNPO法人「あいの実」の乾祐子理事長は「機能訓練士は絶対数が不足している。給料が低く医師不在の環境で経験が積めないとなると、若い人には敬遠される」とため息をつく。

プロが尻込み
 看護師も重症心身障害児のケアの経験がないと、尻込みしてしまう人が多い。「たんの吸引をしたことがない。背骨が変形している子にどう触れたらいいか分からない。こわごわと対応する看護師は長続きしないし、保護者も不安になる」と乾理事長。
 提携する小児科医に依頼し、重症心身障害児の特徴や呼吸のリハビリ方法などを学ぷ勉強会を月に1度開く。現で直面する問題に実践方式で取り組み、看護師の不安解消に努める。
 ラズベリーの児童発達支援管理責任者で看護師の岩元優子さんは、重症心身障害児入所施設で10年働いた経験を持つ。「保護者と信頼関係を築き、時には専門職としてアドバイスをする。その子に必要なケアを適切に提供できるようにしたい」と話す。
 放課後ケアネットワーク仙台の熊谷さんは「子どもの内面に寄り添うことが良い療育につながる」と指摘し、「有資格者の配置だけでは質は上がらない。事業所同士、職員同士が研修会などを通してつながり、互いに刺激し合うことが大切だ」と訴える。
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