いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

沢田 研二さん 9条を守りたいのサインを送る/山崎孝

2008-09-14 | ご投稿
沢田 研二さん 9条を守りたいのサインを送る/山崎孝

【還暦に憲法への思いを歌う 沢田研二さん】(2008年9月13日付朝日新聞「ひと」欄)

麗しの国 日本に生まれ 誇りも感じているが/忌わしい時代に 遡るのは賢明じゃない/英霊の涙に変えて 授かった宝だ/この窮状 救うために 声なき声よ集え

 変わらぬ艶のある声。バラード風の歌は自身の作詞だ。毎年ライブツアーを重ね、新作アルバムを出す。還暦を迎えた今年のアルバムの9番目はこの歌だ。題は「我が窮状」。

 耳で聞けば、「このキュウジョウ救うために」となる。

 まぎれもない憲法9条賛歌だ。

 なぜ今?

 「60歳になったら、言いたいことをコソッと言うのもいいかな、と。いま憲法は、改憲の動きの前でまさに『窮状』にあるでしょう。言葉に出さないが9条を守りたいと願っている人たちに、私も同じ願いですよというサインを送りたい」

 平和への関心は昔から強い。ある時、バンド仲間と戦争の話になり、一人が喧嘩にたとえて言った。「攻められたら、守るだろう」

 いや、一対一の喧嘩と、国と国の戦争は違う。そう思い至ったときに「少しプチッとはじけた」。戦争には、望まない人まで巻き込まれる。

 これまでも「9条を守ろう」という文化人らの意見広告やアピールに時々、目立たないように賛同してきた。大声で呼びかける柄じゃない、と笑う。歌はソフトに終わる。

 この窮状 救えるのは静かに通る言葉/我が窮状 守りきりたい 許し合い 信じよう (文・藤森研)

【コメント】ハデハデの衣装を着て、歌をうたっていたという私の印象が強い沢田研二さんからは、私にとって思いが及ばない沢田研二さんの憲法9条賛歌でした。沢田研二さんのファンの方たちに影響を与えると思います。素晴らしいメッセージだと感じます。

沢田研二さんの「我が窮状」は、NHKの番組「SONGS」で歌われます。放送日は9月17日午後11時で、2週連続の放送だそうです。私の好きな高橋真梨子さん出演する「SONGS」を見ていて知り、NHKのHPでも紹介しています。

イラク空自年内撤収についての報道/山崎孝

2008-09-13 | ご投稿
イラク空自年内撤収について、民主的人士に広く取材してその声を多く載せた中日新聞の記事を紹介します
【イラク空自年内撤収 原告団、政府に説明責任求める】(2008年9月12日付中日新聞)
 復興支援の名の下、イラクで活動を続けた航空自衛隊の年内撤収が決まった。「次はどこ、もっと危険なところか」。派遣された小牧基地の隊員たちは、「日の丸」を背負った次の紛争地への派遣を思い、気が休まることはない。派遣差し止め訴訟の原告らは「市民の勝利」と受け止めるものの、政府の説明責任をあいまいにしないよう強く訴えている。
 イラク派遣差し止め訴訟の原告団や識者は「憲法と市民の力が(撤収を)勝ち取った」と受け止め、「政府はイラクでの自衛隊の活動の情報を開示し、検証すべきだ」と、これまでのイラク派遣について政府に説明責任を求めた。
 イラク派遣差し止め訴訟弁護団の川口創弁護士は、今年4月に名古屋高裁が「空輸活動は憲法9条違反」と判断したことにふれ「判決を受けて、多くの市民が政府に対し、即時撤退を求める声をあげたことが、大きく影響を及ぼした」と指摘。
 原告団の池住義憲代表(64)は「平和を願う市民の取り組みの勝利。一刻も早く撤収するべきだ」と話した。
 イラク戦争に反対したため不当に解職されたと主張し、派遣差し止め訴訟に加わった元駐レバノン大使天木直人さん(61)は「撤収すると決定した過程が現段階では不透明で、政局にまぎれて失策をごまかそうとしているように見える」と指摘。その上で「国連決議が失効すると活動継続できないというのが理由なら、かなりの失策だ」と述べた。
 名古屋大の愛敬浩二教授(憲法学)は「名古屋高裁の判決が出た時点で、すぐに撤収すべきだった。今後は、イラク派遣の政府の責任について説明する必要がある」と語った。
◆小牧基地隊員、家族思い複雑
 自衛隊のイラク復興支援で、2003年12月からC130輸送機3機と搭乗員らの派遣を続けている航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)の隊員と家族は、政府が決めた年内の撤収方針を冷静に受け止めながらも「イラクの次はどこに派遣される? もっと危険なところなのか?」。異口同音に、複雑な胸の内を明かした。
 空自にとって、航続距離が長く、多くの物資を積める輸送機はC130しかなく、この機体は小牧基地だけに配備されている。このため、基地は空自の国際貢献活動の最前線となっている。
 これまでに年に1回程度の割合でイラクに派遣された隊員は「1992年のカンボジア国連平和維持活動(PKO)以降、『これでもか、これでもか』って、危ない場所に行くようになった」。「試されるかのようだった」とも。
 米国は、イラクに駐留する米兵を削減、その分をアフガニスタンに振り向けるよう「支援」の軸足を移しつつある。
 そのアフガニスタンでは8月、日本の非政府組織メンバーが現地の武装グループに殺害された。「米国が日本に、自衛隊のアフガン派遣を強く求めたら…」。イラクに複数回派遣された別の隊員は、基地内で最も関心が高い疑問を口にし「空自イラク派遣の終わりは、きっと新しい、何かの始まり。ひょっとすると…」。
 隊員の夫がイラク派遣中という妻は「これまで無事故だから、必ずしも安全とはいえないでしょ。私たちの感覚もまひしてきた」と語った。
 こんな隊員と家族の本音を覆い隠すかのように、基地は「命令を受けて動くだけの組織だから」と、撤収について一切沈黙。報道各社が基地正面で内部を撮影しようとすると、警備担当者は「入らないでください」と繰り返した。

米紙「アフガン民間人が致命的な対価を支払っている」と報道/山崎孝

2008-09-12 | ご投稿
ブログは後段で、政府の航空自衛隊イラクから撤退の意思表明との関連でもアフガニスタンのことを述べます。

【アフガン大統領:「民間人の犠牲なくさねば」米軍空爆非難】(2008年9月12日の毎日jp 毎日新聞HPより)

【ニューデリー栗田慎一】アフガニスタンのカルザイ大統領は11日、カブールで記者会見し、「(旧支配勢力)タリバン打倒の努力で犯した過ちは、外国軍により多くの市民が犠牲となったことだ」と語った。民間人の犠牲が相次ぐ米軍の空爆を非難したもので、発言は国民の間で高まる政権非難を回避する狙いもある。

 カルザイ氏は「民間人の犠牲を減らすのではなく、完全になくさなければならない」と訴えた。(以上)

◆「しんぶん赤旗」特集記事「9・11テロから7年 いまアフガンは」より抜粋

【タリバン復活 全土の8割に】 米軍などの軍事作戦が強まるなか、武装勢力タリバンが復活しています。米国防総省は六月末の議会への報告で、タリバンが「再編され、回復力のある武装勢力と結託している」と述べていました。タリバンの活動地域は全土の七―八割になっているとみられます。

 タリバン復活を実証した形となったのが、八月十八日、首都カブール五十キロでタリバンの待ち伏せ攻撃を受けて仏軍兵士十人が死亡した事件です。米誌『タイム』はこの事件を武装勢力の攻撃の「新しい段階」と指摘しました。

 アフガンで人道援助のために活動する非政府組織(NGO)の被害は今年一―三月だけで二十九件発生。昨年の総数三十件に近い状況です。こうした治安悪化の中で、八月末、日本の「ペシャワール会」の伊藤和也さんが誘拐され、遺体で発見されました。

 九十人が死亡した事件直後、カルザイ大統領は直ちに米軍に抗議しました。七月初めにも米主導の多国籍軍の空爆で女性や子ども二十二人が死亡した事件を受け、同大統領は「多くの無実の人が爆撃で殺されている」と非難。米軍などの軍事行動がアフガン国民の反発を招くと警告していました。アフガン政府高官は、多数の住民犠牲が「タリバンに宣伝材料を与える」と警告しています。

 アフガン政府はさらに、空爆を「最も強い言葉で糾弾」とした上で、多国籍軍のアフガン駐留期限に関する交渉を求めることを決定しました。

 ヒューマン・ライツ・ウオッチの報告も空爆はアフガン国民の多国籍軍への支持離れを招いていると指摘しています。(中略)

★赤旗の特集記事はアフガン駐留多国籍軍に兵士を派遣している各国のメディアの論調や国内世論を次のように伝えています。

【米国】「米国は、アフガンの民心をつかむたたかいに急速に負けつつある」。米紙ニューヨーク・タイムズ六日付は社説で、米軍が対タリバン・アルカイダとして続ける戦争で「アフガン民間人が致命的な対価を支払っている」と指摘し、憂慮を示しました。

 イラク侵略は「間違い」と六割がこたえる米世論も、アフガン報復戦争を「正当化」する見方が根強くあります。開戦は「間違いではなかった」が依然として六割(USAトゥデー・ギャラップ社、八月末)に上ります。ただ開戦当初の89%と比べると「正当化」論は減少。当初は9%しかいなかった「間違い」だと主張する人は34%で、過去最高となっています。

【英仏独】アフガンでの戦闘が泥沼化するとともに、派兵国では軍事優先の作戦の見直しや自国部隊の撤退を求める声が強まっています。

 米国に次ぐ八千五百人の部隊をアフガンに派遣している英国。「朝鮮戦争以来の激しい戦闘」―アフガン侵攻以来の英兵死者が百人を突破した六月初め、BBC放送電子版がタリバンと英兵の戦闘をこう表現しました。

 「紛争解決で必要なのは、政治的目標を暴力で達成すべきだと考えている人々を、政治目標は政治によって実現できるとの考えに導くことだ」―ブラウン英国防相は今年三月、英全国紙のインタビューで、タリバンとの対話の可能性を示唆しました。米軍が指揮する軍事作戦の方針とは大きくことなる見解です。

 英国の国民は、米国とともに参戦したイラク戦争には圧倒的に反対する一方で、タリバン政権の打倒や、英兵のアフガン駐留には寛容な態度をとってきました。しかし、その姿勢にも変化が表れています。

 死亡兵士が百人に達した直後のサンデー・タイムズ紙掲載の世論調査では、54%が撤退を支持し、駐留支持はわずか34%でした。

 イラク戦争にはともに反対したフランスとドイツは、アフガンにはNATOが指揮をとる国際治安支援部隊(ISAF)に有力な部隊を派遣しています。しかし国民世論は両国でともに「撤退」が過半数を占めており、政府は戦闘地域への自国部隊の展開を拒否してきました。

 仏平和運動のアリエル・ドニ共同議長はこう指摘します。

「誤爆などで被害を受けるアフガン国民にとって、NATO軍はますます占領軍とみなされています。国民が求める緊急援助や基本的人権の確立などを優先的に行うため、NATO軍の撤退は不可欠です」(以上)

◆【イラク空自年内撤収 政府決定 自衛隊活動終了へ】(2008年9月11日付東京新聞夕刊)

政府は十一日、イラク復興支援特別措置法に基づき、イラクに派遣している航空自衛隊を、年内をめどに撤収させることを決定、高村正彦外相らが発表した。二〇〇六年の陸上自衛隊の撤収後も継続してきた空自の活動が終われば、〇四年に始まった自衛隊のイラクでの活動は完全に終了する。 

高村氏は撤収の理由を記者団に「イラク国内の状況が改善しつつあり、イラク特措法の目的を達成しつつあると認識した」と説明するとともに、空自が参加する多国籍軍の駐留の根拠である国連安保理決議が、年末に期限切れになることも指摘した。

国連決議が失効すると、活動継続にはイラク政府と新たな地位協定を個別に締結することが必要となる。だが、衆院解散が迫って政治情勢が不透明な中、協定締結のめどは立たない。

加えて、名古屋高裁が四月、空自活動に違憲判断を下したことやブッシュ米政権が駐留米軍を八千人削減する方針を打ち出したことも、撤収へ政府を後押ししたとみられる。

イラクでは、空自のC130輸送機三機がクウェートを拠点にバグダッドへ、国連と多国籍軍の兵員、物資を輸送。九月十日現在で輸送回数は計七百六十八回、輸送物資量は計約六百四十トンに上る。(以上)

【コメント】国連と多国籍軍の兵員と記事は伝えていますが、主として米軍兵士です。田巻紘子さんら多くの人が提訴した「自衛隊イラク派兵差し止め訴訟」の判決の中で、航空自衛隊は2006年7月末からバクダッドへ輸送を開始し、週4~5回輸送をしている(アメリカ軍が兵力をバクダットへ集中させるようになって以後、空自のバクダッドへの輸送が開始)。人道支援物資ではなく、武装した多国籍軍の兵士(主にアメリカ兵)を運んでいることを、主として中日新聞報道、政府答弁、政府の情報開示資料に基づき認定しています。(田巻紘子さん講演のレジュメの情報)

9月11日朝日新聞夕刊は、日本政府は航空自衛隊のイラク撤退を《ブッシュ大統領がアフガニスタン重視を掲げ、イラク駐留米軍を来年初めまでに8千人削減方針を打ち出したことを受けて判断した》と報道しています。これは米軍の動向に合わせ名古屋高裁が戦闘地域と認定したバクダットへ輸送機を飛ばし、米軍の兵力削減を見越してイラクからの撤退を決めたことになります。国際貢献の仮面を被った米軍支援であることを如実に物語ります。

9月12日の朝日新聞の記事は、イラクから航空自衛隊を撤退させることと関連して、《イラクから自衛隊が完全撤退した上に、インド洋での海自の活動が頓挫すれば「国際社会で日本の孤立はさけられない」(外務省幹部)という理屈で、イラクから空自撤退を「給油継続の究極のPR(防衛省幹部)にする構えだ。」と報道しています。

外務省幹部の言うようにインド洋での海自の給油活動をやめた場合、国際社会で日本は孤立するでしょうか。国際社会とは各国政府の意見ではなく、各国の国民の声と考えるべきです。

本日のブログの前段で紹介したように、USAトゥデー・ギャラップ社の8月末の調査では、アフガン戦争支持は、開戦当初の89%と比べると「正当化」論は減少。当初は9%しかいなかった「間違い」だと主張する人は34%で、過去最高となっています。

英国のサンデー・タイムズ紙掲載の世論調査では、54%が撤退を支持し、駐留支持はわずか34%でした。ドイツとフランスの国民世論は、両国ともに「撤退」が過半数を占めております。両国政府は戦闘の激しいアフガン南部に自国部隊の展開を渋ったため、米国からNATO軍の存在意義の有無さえを問われ、批判されています。要するに増派をめぐって内輪もめさえ起きました。

政府の決定でアフガニスタンに軍隊を派遣している国内世論さえこうなのに、イスラム諸国やアフガンに軍隊を派遣していない国々から日本が批判され孤立する筈がありません。根拠のない主張です。

米紙ニューヨーク・タイムズ6日付社説は、米軍が対タリバン・アルカイダと続ける戦争で「アフガン民間人が致命的な対価を支払っている」と指摘し、憂慮を示しました。これは多国籍軍の行使する軍事力でアフガン民衆は痛みつけられ、多国籍軍に報復するテロ組織に共感を抱かせる要因となります。アフガンの武装抵抗組織と言っても一様ではなく、ペシャワール会の活動を理解するグループもいます。アフガニスタンの民心を掴むには、日本は無料の給油活動を行なう費用をアフガニスタンの民生に本当に役立つ内容の支援に投入すれば良いのです。

米国の「正義の剣」は多くの無垢の人たちの血にまみれた/山崎孝

2008-09-11 | ご投稿
本日9月11日で、米国での9・11同時多発テロ事件が起こってから7年目を迎えました。米国はこの事件以降、軍事力による「テロとの戦い」という世界的な命題設定を勝ち取り、国際的には承認された国家を「ならず者」と言うレッテルを貼り、国際法で決められた民族自決権を無視して、他国の政権を軍事力で打倒することを正当化しようとし或いはしてきました。

9・11同時多発テロ事件以降、日本の政権党は米国の軍事行動に加担するために、国際貢献のためには軍事的貢献が必要とする政治宣伝を強めてきました。そして集団的自衛権行使が可能な憲法改定を現実の政治課題にのせました。

今、行なわれている自民党総裁選の候補の一人石破茂氏は、安倍前首相の課題を引き継ぎ、憲法解釈の変更による海外での武力行使可能を目論む自衛隊海外派遣恒久法の制定を政権公約に掲げています。イラクやアフガニスタンでの米軍や多国籍軍の住民を犠牲にした戦いを肯定しています。

9・11同時多発テロ事件が起こった暫くの間は、テロリストとの戦いの必要はイスラム諸国を含めまとまった形のような国際的な雰囲気がありました。しかし、この雰囲気を打ち壊して仕舞いかねない米国のアフガニスタンでのテロリストとの戦い方がありました。このことに懸念した2001年10月当時の私の文章をお読み下さい。

朝日新聞「声」欄 2001年10月12日掲載文 【誤爆が続けば米国から離反】

米国のアフガニスタンに対するテロ報復軍事作戦が罪のない一般の人々を巻き込み、犠牲者を出している。10月9日の夕刊には、空爆で手足を損傷した少年の姿が掲載され、10日の朝刊には首都カブールで地雷の撤去に携わる非政府組織(NGO)の事務所が爆破され、アフガン人4人が死んだと報道がされた。

 米国はNGOの職員の犠牲は米国の攻撃によるものかタリバーンの砲撃によるものか不明との態度だが、いずれにしても米国の攻撃がきっかけになったことは確実だ。タリバーンの側は少なくとも20人の市民が死亡したと発表している。

「世界の警察」を任じる米国は、86年にリビア、91年の湾岸戦争でイラク、98年に米大使館爆破事件でスーダンとアフガニスタン、99年にはコソボ紛争のユーゴスラビアで、それぞれ武力行使した。しかし、誤爆は避けられず、目立ったところでは病院、外国大使館さえ爆破して多数の犠牲者を出した。

 「正義の剣」が次第に血に染まったものになっていけば、世界の人々はどう思うだろう。とくにイスラム圏の人々を離反させない方策を堅持して、テロ組織との戦いを行なってほしい。

2008年版防衛白書 海外で戦争できる装備の強化を狙う/山崎孝

2008-09-10 | ご投稿
【08年版防衛白書 派兵強化は平和の流れに逆行】(2008年9月6日付「しんぶん赤旗」主張)
 防衛省は二〇〇八年版「防衛白書」を公表しました。一九七〇年いらい三十四回目となります。
 今回の白書の特徴は、海外派兵の「実績」をふまえ、国際紛争に対して「実効的に対応できる防衛力も必要」と強調していることです。イラクやインド洋など海外での軍事活動をいっそう強化する構えです。日本を海外で戦争できる国にする動きの強まりであり、警戒が必要です。
「実効的対応」の意味 白書は、インド洋で自衛隊が米艦船などに行っている給油支援を、「わが国に相応(ふさわ)しい貢献」「資源の多くを中東地域に依存するわが国の国益にも資する」とのべています。
 自衛隊の給油支援活動は、攻撃とテロの悪循環のもとで民間人の犠牲を激増させているアメリカのアフガニスタン「報復」戦争の一部です。新テロ特措法の延長に日本国民が反対し、延長法案が廃案となる可能性も強まっているのに、防衛省が延長を前提に、給油支援が必要というのは問題です。
 国際テロ、大量破壊兵器や弾道ミサイルなどの拡散・移転などの「新たな脅威や多様な事態へ実効的に対応できる防衛力も必要」と一歩踏み込んだ言い方をしていることは、さらに重大です。
 米軍兵士や軍事物資を空輸している空自のC130輸送機は、地対空ミサイルを避けるためのフレア(おとりの熱源体)を発射しながら、戦場であるバグダッド空港を離着陸しています。防衛省が来年度概算要求で、フレアを装備したCH47輸送ヘリ四機を調達するとともに、保有しているCH47に防弾板を装着するのも、全土が戦場化しているアフガニスタン本土への派兵を想定してのことです。白書は、こうした海外で戦争できる能力の強化を狙っています。
 自衛隊のイラク派兵差し止め訴訟で名古屋高裁は、空自が米軍兵士と軍事物資を戦場であるバグダッドに空輸するのは、憲法にもイラク特措法にも違反するとの判決を言い渡しました(四月)。白書は確定判決になった名古屋高裁判決を黙殺していますが、白書が狙っている方向は、憲法違反の状態をさらに強めることになります。
 白書は、日米両政府が合意した「世界の中の日米同盟」(〇三年の日米首脳会談)や「世界とアジアのための日米同盟」(〇六年の日米首脳会談)をもちだし、米先制攻撃戦略にもとづく戦争の支援強化を正当化する論拠にしています。日米同盟を侵略的に強化・拡大し、自衛隊が海外の戦場での軍事活動を強化するのは、紛争を戦争ではなく平和的・外交的手段で解決するという平和の流れに反します。
世界の変化を見よ 白書は、世界の平和のとりくみ、とりわけ、日本も加盟した「紛争の平和的手段による解決」などの原則をもち、ユーラシア大陸全体にも広がってきている東南アジア友好協力条約(七六年)を無視しています。北朝鮮をめぐる六カ国協議の動きや中国との「戦略的互恵関係」の約束があるのを無視して、両国の軍事動向を「今後も注目する」というのも道理がありません。これではまともな国際関係ができるはずはありません。
 政府はアメリカいいなりの軍事力中心主義をやめて、世界とアジアの平和の流れに合流すべきです。(以上)

【コメント】防衛省は自らの存在感を高める観点で、アジアや中東の情勢を解釈し、軍事力強化の必要を主張、この情報を国民に宣伝しています。

それも専守防衛ではなく、在日米軍再編を機会として、大型で高性能の輸送給油機や高速輸送船などを導入する方向を打ち出してきましたが、2008年版は実際に行なわれているイラクでの「テロとの戦い」をモデルに海外で効果的に戦える装備を重視しています。

その日の生活に大変困窮する国民が多く生まれている状況の中でも、かようなことに国民の税金を使おうとしているのです。国民はこのことに目を向けなければと思います。総選挙選挙が近いと言われます。選挙目当てのばら撒き政策に幻惑されて、与党の進めてきた数々の悪政・政治の本質を見失わないようにしなければと思います。

「世界」10月号の編集後記の情報で労働経済白書によれば、2001年度の企業の労働分配率は75・1%であったが、2006年度は10億円以上規模の大企業は53・3%まで下がる。逆に株主配当率は上昇し2001年度の5%程度から2006年度は20・2%に上昇しています。この一例を見ても、政府与党の新自由主義経済政策が誰のために政治を行ってきたかは歴然としています。私たちは憲法9条の理念と共に25条の理念は如何にと選挙で問いかけなければと思います。

正真正銘の人間が人間を殺傷しない道徳を守る立場/山崎孝

2008-09-08 | ご投稿
私は9月7日に開催したいせ九条の会主催の公開学集会「イラク派兵は なぜ違憲か」に参加しました。

講師の田巻紘子弁護士は、名古屋高裁判決の意義を

(1)航空自衛隊がイラク・バグダッドへ武装したアメリカ兵を空輸する行為を憲法9条1項違反と判断したこと。

日本国憲法ができてから、自衛隊が具体的に行っている活動について、憲法9条1項違反という判断が出されたのは初めてだと指摘して、今までの裁判の、砂川基地訴訟は、アメリカ軍駐留の要請は憲法9条2項違反。長沼ナイキ訴訟は、自衛隊は憲法9条2項違反と判決であったと説明しました。

裁判所が「自衛隊が具体的に行っている活動について、憲法9条1項違反という判断」したのは、池住義憲さんや田巻紘子さんらが、法廷で事実を述べ証拠書類でもって証明し、裁判所がこれを認定した結果でした。このことを田巻紘子さん講演で詳細に説明しました。

そして2番目として(2)「平和のうちに生存する権利」(平和的生存権)を憲法上の権利と認め、裁判を起こす根拠にもなる判断を示したことを指摘して、「少数者が、国家の戦争に「NO」という権利(抵抗権的権利)を認めたと説明しました。

池住義憲さんや田巻紘子さんら多くの人が提訴した「自衛隊イラク派兵差し止め訴訟」の目的を田巻紘子さんは、

(1)平和的生存権が侵害されている、として、国に対して自衛隊イラク派兵の差止め、派兵の違憲確認、慰謝料を求めた。

(2)イラクの実態と日本の加害。こんなことに加担を強制されるのはおかしい。強いられたくない、加害者になる立場を拒否するためと述べています。

私は「強いられたくない、加害者としての立場」について考えます。人間の道徳や良心で最も大切なことは、「人間は人間を殺傷してはならない」です。

この道徳を”真実”にするためには、自らがこの道徳を守ることは無論のこと、かような行為をする組織・国家の側に身を置かないことだと思います。しかし、普通の能力の日本人としては、日本国に身を置かないわけにはいけません。しかし、政府がかようなことを行なう政策や、政府がかような国を支持したり、支援する政策を拒否することは出来ます。

現在の日米同盟の関係で言えば、米国のアフガン戦争、イラク戦争を支援する日本政府の政策にNOを突きつけることです。この立場でこそ「人間は人間を殺傷してはならない」道徳を正真正銘のものにすることが出来る。憲法前文と9条を守り活かす立場こそ、この道徳の正真正銘にする立場だと思います。

雇用の実情を土台にしていない麻生氏の構想/山崎孝

2008-09-07 | ご投稿
【派遣法抜本見直しを 各地弁護士会が声明】(2008年9月4日付「しんぶん赤旗」)

 臨時国会での改正が焦点となる労働者派遣法について、各地の弁護士会が抜本的な見直しを求める会長声明を発表しています。

 埼玉弁護士会の海老原夕美会長は、雇用不安と低賃金の派遣労働者の実態は憲法二五条の生存権などを侵害していると強調。日雇い派遣の原則禁止などを掲げた厚労省研究会報告では不十分であり、登録型派遣の禁止や均等待遇など抜本的な見直しが必要だと強調しています。

 東京弁護士会の山本剛嗣会長は、雇用は直接雇用が原則であり、派遣労働は例外的な就労形態にもかかわらず規制緩和によって増大し、グッドウィルのような違法派遣が横行していると指摘。日雇い派遣の原則禁止にとどまらず、抜本的な見直しを行うよう求めています。

 また、日本弁護士連合会の宮崎誠会長は、直接雇用の原則に対する例外として許容されたのが派遣労働だと指摘し、日雇い派遣の禁止などにとどまらない抜本的改正を早急に行うよう求めています。(以上)

【厚生年金保険料:「企業分を5年程度免除」…自民・麻生氏】(毎日JPより)

 自民党の麻生太郎幹事長は5日、名古屋市で講演し、厚生年金保険料の企業負担分を5年程度免除し、高齢者やフリーター100万人の雇用を創出する構想を明らかにした。約5.5兆円の積立残高がある厚生年金基金を活用し、企業負担分を肩代わりするという。麻生氏は「高齢者らはもらう側から税金を払う側になる」と語った。この構想について厚生労働省幹部は「厚生年金の現状を分かっていない発言で実現は考えにくい」と批判した。(以上)

【コメント】東京弁護士会の山本剛嗣会長が指摘するように、雇用は直接雇用が原則であり、派遣労働は例外的な就労形態にもかかわらず、規制緩和によって派遣雇用が常態化し増大している中で、麻生氏は《厚生年金保険料の企業負担分を5年程度免除し、高齢者やフリーター100万人の雇用を創出する構想を明らかに》しました。この構想は直接雇用を大きく減らしている企業にとって、今まで負担してきた正規社員の厚生年金保険料の負担分が5年間免除されれば大きな利益に繋がるでしょう。企業は今まででもその時に必要な労働力は人材派遣会社を通じて確保していていますから、雇用創出には繋がらないことは明らかです。

国連特別報告官 ISAFの作戦を批判/山崎孝

2008-09-06 | ご投稿
【民間人犠牲増大 対アフガン戦術転換を 国連特別報告官 NATO軍に要求】(2008年9月2日付「しんぶん赤旗」)
 【ロンドン=岡崎衆史】米英軍などによるアフガニスタンの民間人殺害が重大な問題となる中、国連の特別報告官が、アフガンに展開する北大西洋条約機構(NATO)軍の現地司令官に対して、戦術の転換を求めていたことが明らかになりました。英紙オブザーバー八月三十一日付が報じました。
 英紙によると、国連特別報告官のフィリップ・オールストン氏は「アフガンでの(連合軍の)努力は、まさに庶民の支持が不可欠というところにまで達している」と指摘。にもかかわらず「連合軍が多くの民間人を殺害しながら、何の責任も問われていないとアフガン国民が強く認識しているため、その努力が大きく損なわれている」との見方を表明しました。
 その上で、民間人死傷者の問題への対処や透明性の確保などについて、「NATOの側に全く認識が欠けている」と強調。NATOに、多数のアフガン人を犠牲にする現在の戦術の転換を求めたといいます。
 報告官はまた、民間人犠牲の増大にNATO軍の交戦規定の変更があるとして、開示を要求。しかしNATO高官がこれを妨害していると批判しました。
 さらに、アフガン政府の関知しないところで外国の情報部隊による夜間作戦が行われ、住居襲撃などが起きていることに懸念を表明。同作戦で男性兵士が女性の寝室にも踏み込むため、アフガン人が「外国軍が女性をレイプしている」とみていると指摘しました。
 オブザーバー紙は米空軍の情報として、今年六、七月にアフガンに投下された爆弾は二百七十二トンで、これは、二〇〇六年に同国に投下された全爆弾に匹敵すると報道。また、外国軍の軍事作戦で今年死亡したアフガン民間人は五百人以上と伝えるなど、米軍などによるアフガン人の無差別な殺害が拡大していることを示唆しました。
【国連特別報告官とは】 国連人権理事会が指定する特別の国・地域の状況やテーマに関して、事実を調査・認定するために専門知識・技能を持った人が任命され、調査、監視、助言を行い、報告書を提出します。

国連が重要と考えるのは非軍事的な貢献/山崎孝

2008-09-05 | ご投稿
(2008年9月4日NHKのニュースより)各国の首脳や外相による国連総会の一般討論が今月23日からニューヨークの国連本部で始まるのを前に、パン・ギムン事務総長は、世界の貧困と格差の問題を主要な議題にするとしたうえで、各国の指導者に、具体的な解決策を持ち寄るよう呼びかけました。

国連総会では、今月23日から来月1日まで、各国の首脳や外相による一般討論が行われ、25日には、事務総長の主催で「ミレニアム開発目標」をテーマにした首脳級の特別会合が予定されています。ミレニアム開発目標は、貧困人口の半減や初等教育の完全普及、それに援助の増額など、各国が格差の解消を目指して2000年の国連サミットで約束した8つの目標のことで、ことしは、2015年とされる達成期限の折り返しの年です。4日、記者会見したパン事務総長は、総会で、ミレニアム開発目標で定めた貧困と格差の問題を主要議題にするとしたうえで、「いくつかの前進が見られるが、約束を守るための各国の努力は依然、不十分だ」と指摘しました。そして、「指導者に、目標達成に向けた具体的な計画と提案を持ち寄ってもらいたい」と述べ、援助の増額など各国に、これまで以上の取り組みを呼びかけました。

国連によりますと、世界で一日1ドル以下の収入で暮らす、きわめて貧しい人は10億人以上に上り、最も豊かな人たちと貧しい人たちの間の格差も拡大し続けています。

ノーム・チョムスキー氏の言動/山崎孝

2008-09-04 | ご投稿
8月30日夜、NHK『未来への提言~世界のキーパーソンが語る』は、米国の言語学者・思想家でマサチューセッツ工科大学教授のノーム・チョムスキー氏(79)が同大学宮川繁教授のインタビューに答える番組を録画したものを私は見ました。その情報に基づいてノーム・チョムスキー氏の言動を紹介します。

ノーム・チョムスキー氏はベトナム反戦運動で、大学教授の職を失う可能性もあったにもかかわらず、国防総省前の座り込みの抗議行動に参加して逮捕されたりしています。

それゆえ「闘う知識人」として、一貫して米の外交政策は「武力ではなく法の力」によるべきだと訴えています。

私は「大江健三郎往復書簡」という本の中でノーム・チョムスキー氏と大江健三郎氏の往復書簡を記した章を読んでいて両氏を尊敬していました。

宮川教授の「同時多発テロでアメリカは変わったか」という質問について次のように答えました。(要旨)
アメリカは内向きの国で、フランスがどこにあるか、アフリカがどこにあるか知らないアメリカ人が多い。これまで一度も自国を攻撃されなかったが、そのアメリカが「同時多発テロ」の攻撃を受け、二つの面で変わった。一つは、愛国心が高まったこと。二つ目は、内向きだった国民の心が開かれたことで、何故アメリカは攻撃をされたのかを考えるようになった人たちも現われた。

チョムスキー氏は、「同時多発テロ」以降、私への講演の依頼が急激に増えたことも述べています。

さらに、アメリカは単独行動主義の国になった。国連の決議なしにイラクを攻撃した。アメリカは「テロとの戦い」を掲げながら自らがテロを行っており、これは帝国主義的犯罪であると述べています。

米国市民はイラク戦争を始まる前から反戦運動が組織した。ベトナム戦争の時は多くの米国兵の戦死したときに起きている、と述べました。

宮川教授の「メディア」についてどう思うかとの質問に対し、次のように答えました。

本来は、権力を監視すべきメディアがその責任を果たしていない。その原因の一つは、広告主への依存があり、もう一つはメディア関連資本の集中にある。たとえばいま行われている大統領選挙にしても、重要な政策課題についての討論はせず、お祭り騒ぎをしているに過ぎない。前回大統領選挙でブッシュの政策を知っていたのは有権者の1割に過ぎなかった。メディアによって選挙を無意味にする方法が作られている。

米国の教育方針について、自分の少年時代に受けた教育を例にあげつつ、現在の教育について「テストにパスするために勉強をする」、つまり「おちこぼれゼロ」教育を批判し、子どもの探検心を伸ばしてやるよう教育を改めるべきだという。

番組は、宮川教授がマサチューセッツ工科大学で実施している「オープンコースウェアセンター」について紹介された。1800の講義情報をインターネットで無料公開し、世界中から200万件を超えるアクセスがあり、さまざまな階層の人々が受講している。これを手本に世界で190校が、日本でも19の大学が情報を公開していることを伝えました。

この開かれた大学にふれて、チョムスキー氏は、「教育は商品であってはならない」と語ります。子どもたちに、メディアの言うことを鵜呑みすることなく、自らが考える力を身につけて欲しいと願っていると述べています。

番組のナレーションは、チョムスキーさんは真の民主主義の実現は、私たち市民一人一人の行動にかかっていると訴え続けているとと話しました。

私が最も印象に残ったチョムスキー氏の言葉は、氏の講演を聞いて一人の青年が次のように質問しました。

米国はイラクがある程度安定してから撤退すべきではないか。そうする責任がある。

チョムスキー氏 そうですね、一旦他国に侵攻すれば占領を継続すべきでしたね。言いかえれば、ナチスはヨーロッパに止まり、ヨーロッパを占領すれば良かった。ロシア軍がアフガニスタンに止まるべきだった。サダム・フセインはクウェートに止まるべきだったということになります。

でもこうしたやり方は間違っています。自らを鏡に写してみてください。自分の国が侵略され占領されることを納得できますか。他に人の立つ基準を自分にも当てはめなければ誠実とは言えません。

番組のナレーションは、自分に当てはめられない基準を他人に押し付けるべきではない。国家の間でもこの原則を無視すると世界のモラルは、たちまちに崩壊してしまうと、チョムスキーさんは訴え続けていると警鐘を鳴らしていると述べました。

日中・太平洋戦争は日本の自存自衛のためであったと主張する人たちは、チョムスキー氏のこの言葉を理解しなければならないと思いました。

中国の思想家孔子は「己のほっせざることを、人に施すなかれ」という格言を残しています。孔子が現代に生きていたら、ノーム・チョムスキー氏と同様の言葉を述べると思います。