いせ九条の会

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ビラ配布に国家権力が介入することの本質を考える/山崎孝

2008-09-25 | ご投稿
2005年9月に国家公務員が警視庁官舎の集合ポストに勤務外でビラを配布していて、最初は住居不法侵入で警察に検束され、公務員の身分が分かると国家公務員法にも問われ、そして検察に起訴されていた裁判の判決が東京地裁でありました。東京地裁は起訴されていた元公務員の方に、公務員の中立性を犯したとして有罪にし、罰金10万円を課しました。

日本政府が米国の戦争に協力するに伴い、東京の立川や葛飾区、世田谷区などで、ビラ配布に対して警察が介入し検察が起訴する事件が起こっており、社会は今回の裁判の、公務員の政治的中立性の問題だけを考えるだけではいけないと思い新聞に投稿しました。幸いにもこの文章が編集者の目に止まり掲載して貰えましたのでお読み下さい。

2008年9月25日付け朝日新聞「声」欄掲載文【勤務外の行為問題視は疑問】

 2005年に、警視庁官舎の集合ポストに政党機関紙の号外を配布したとして、19日、国家公務員法違反の罪で元公務員が東京地裁で有罪判決を受けた。

 東京地裁は「公務員の政治的中立性を損なうおそれのある行為を禁止することは、必要やむを得ない範囲で憲法上許される」と判断し、公務員の政党ビラ配布はこの範囲に入るとした。

私は公務員の政治活動を禁止する範囲は、公務員の地位を利用して政治活動を行なった場合のみにすべきだと考える。起訴されていた公務員は勤務外でビラ配布をしていた。この行為は社会に潜在的にある公務員の信用とか権威とかの影響力を行使して政治活動をしていたのではない。高級官僚が在職中のキャリアを掲げて選挙に立候補する方がよほど公務員であった地位を利用しているのではないか。

 日本がアフガンやイラク戦争に協力するに伴い、ビラ配布に対する警察・検察の介入事件が何件か起きている。国民はこのことに注意を向けるべきだ。歴史は政治活動への介入事件の本質は、国家の意志に国民を従わせることであったことを教えている。