いせ九条の会

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イラク空自年内撤収についての報道/山崎孝

2008-09-13 | ご投稿
イラク空自年内撤収について、民主的人士に広く取材してその声を多く載せた中日新聞の記事を紹介します
【イラク空自年内撤収 原告団、政府に説明責任求める】(2008年9月12日付中日新聞)
 復興支援の名の下、イラクで活動を続けた航空自衛隊の年内撤収が決まった。「次はどこ、もっと危険なところか」。派遣された小牧基地の隊員たちは、「日の丸」を背負った次の紛争地への派遣を思い、気が休まることはない。派遣差し止め訴訟の原告らは「市民の勝利」と受け止めるものの、政府の説明責任をあいまいにしないよう強く訴えている。
 イラク派遣差し止め訴訟の原告団や識者は「憲法と市民の力が(撤収を)勝ち取った」と受け止め、「政府はイラクでの自衛隊の活動の情報を開示し、検証すべきだ」と、これまでのイラク派遣について政府に説明責任を求めた。
 イラク派遣差し止め訴訟弁護団の川口創弁護士は、今年4月に名古屋高裁が「空輸活動は憲法9条違反」と判断したことにふれ「判決を受けて、多くの市民が政府に対し、即時撤退を求める声をあげたことが、大きく影響を及ぼした」と指摘。
 原告団の池住義憲代表(64)は「平和を願う市民の取り組みの勝利。一刻も早く撤収するべきだ」と話した。
 イラク戦争に反対したため不当に解職されたと主張し、派遣差し止め訴訟に加わった元駐レバノン大使天木直人さん(61)は「撤収すると決定した過程が現段階では不透明で、政局にまぎれて失策をごまかそうとしているように見える」と指摘。その上で「国連決議が失効すると活動継続できないというのが理由なら、かなりの失策だ」と述べた。
 名古屋大の愛敬浩二教授(憲法学)は「名古屋高裁の判決が出た時点で、すぐに撤収すべきだった。今後は、イラク派遣の政府の責任について説明する必要がある」と語った。
◆小牧基地隊員、家族思い複雑
 自衛隊のイラク復興支援で、2003年12月からC130輸送機3機と搭乗員らの派遣を続けている航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)の隊員と家族は、政府が決めた年内の撤収方針を冷静に受け止めながらも「イラクの次はどこに派遣される? もっと危険なところなのか?」。異口同音に、複雑な胸の内を明かした。
 空自にとって、航続距離が長く、多くの物資を積める輸送機はC130しかなく、この機体は小牧基地だけに配備されている。このため、基地は空自の国際貢献活動の最前線となっている。
 これまでに年に1回程度の割合でイラクに派遣された隊員は「1992年のカンボジア国連平和維持活動(PKO)以降、『これでもか、これでもか』って、危ない場所に行くようになった」。「試されるかのようだった」とも。
 米国は、イラクに駐留する米兵を削減、その分をアフガニスタンに振り向けるよう「支援」の軸足を移しつつある。
 そのアフガニスタンでは8月、日本の非政府組織メンバーが現地の武装グループに殺害された。「米国が日本に、自衛隊のアフガン派遣を強く求めたら…」。イラクに複数回派遣された別の隊員は、基地内で最も関心が高い疑問を口にし「空自イラク派遣の終わりは、きっと新しい、何かの始まり。ひょっとすると…」。
 隊員の夫がイラク派遣中という妻は「これまで無事故だから、必ずしも安全とはいえないでしょ。私たちの感覚もまひしてきた」と語った。
 こんな隊員と家族の本音を覆い隠すかのように、基地は「命令を受けて動くだけの組織だから」と、撤収について一切沈黙。報道各社が基地正面で内部を撮影しようとすると、警備担当者は「入らないでください」と繰り返した。