一風斎の趣味的生活/もっと活字を!

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〈メリマック号〉と〈モニター号〉のこと

2006-05-01 11:20:46 | Essay
〈メリマック号〉 は、「ハンプトン・ローズの海戦」に先だって行なわれた海戦で、
北軍の戦艦〈カンバーランド号〉"Cumberland" を沈没させた。

南北戦争の海戦で、何と言っても有名なのは、「ハンプトン・ローズ(Hampton Roads)の海戦」での、南軍の甲鉄艦〈メリマック号〉と北軍の甲鉄艦〈モニター号〉との活躍であろう。
*以下の記述は、外山三郎『近代西欧海戦史』(原書房) を参考にした。

〈メリマック号〉は、蒸気フリゲート艦という艦種で、喫水線下から舷側にかけて105mmの鉄製装甲板を取り付けているし、例のラム(衝角)も艦首に備えてある。
 排水量 4,000トン
 速力  7~9ノット
だが、搭載火力は強力で、艦の前後に180mm砲を1門ずつ、両舷に4門ずつ、計10門というもの。

これに対する〈モニター号〉は、排水量987トンと小ぶりではあるが、28mm砲2門を搭載した砲塔の装甲は200mmで、しかも砲塔旋回、弾薬供給などに蒸気機関を使うという、最新鋭の装甲艦(発射速度が速いので、単位時間当りの弾数を多く撃てる)。
速力も9ノットと足が速いのも特徴である。

この2艦が相見えたのは、1862年3月9日のこと。
互いの距離1,800mで、ほぼ同時に火蓋を切った。
しかし、砲戦では命中弾が出ず、肉迫接近戦となった。
〈メリマック号〉はラムを使った「衝角突撃法」をとったが、これは失敗。また、〈モニター号〉も装甲の厚さを生かして艦をぶつけようとしたが、これも成果を見ない。

このようにして、5時間にわたる装甲艦どうしの対戦は、さしたる戦果を挙げることなく終ってしまう。
ただ、両艦の艦長は、
「砲弾は装甲を貫き難い」
ことを戦訓として残した。

この戦訓は、1866年7月、オーストリア対イタリアの「リッサの海戦」でも確認されることになる(「普墺戦争」の一部)。