布川俊樹著「ジャズ・ギターの金字塔」はジャズをこれからやろうと思っている人には持ってこいのテキストだと思いました。ギタリストばかりでなく他の楽器奏者にも有効な部分はたくさんある。CD2枚つき(カラオケはなし)
一般敵なジャズの理論書では、「各コードに対して有効なスケールを確認してアドリブしていきましょう。」としかかかれていなかった。「これではアドリブできないから、メジャースケールでどうやってアドリブしていくか」という発想からこの教則は書かれている。
私が今、手にしたリニュアール版は2008年のもので、オリジナルは遡ること10年の1998年。当時の教則本のなかでは解りやすく他の教則とは一線を画した作りだったのでしょう。かなり売れたようです。
私がこのての教則本をつい手にしてしまう理由のひとつに、解説などに著者の音楽的趣向や音楽への哲学などが覗けると、作者の作品なりライヴなどが楽しめたり、自分の音楽世界が広がったりすることが挙げられます。その点でも面白かった。
もう一冊同じ布川俊樹さんの著書で「ジャズの壁を超える100のアイデア」こちらも面白かった。質問に答える形で著者の音楽観など楽しめるし、ジョン・スコフィールドとの交流などの話は多くの音楽ファンも夢の実現話として、あるいはジャズをめぐる冒険として共感できる話で楽しめた。もっと書いてほしかったこの話。
質問も音楽的なジャズ理論のはなしから、人生相談まで多岐にわたりいくつか上げてみると、
「音楽の聞こえ方、絶対か相対か?師匠はGメジャースケールはソ、ラ、シ、ドと聞こえるのかド、レ、ミ、ファと聞こえるのか?」
これに対する答えは「アドリブ習得には移動ドが便利。譜面を読む場合は固定ドが便利。洗足学園大学ジャズコースのユキ・アリマサ氏はソルフェージュを教える時全て移動ドだと言っていた。」楽器を弾くには固定ド。メロディーを掴むためには移動ドということか?もう一言”ドーでもいい”とも言っています。」
「アウトするってどういうこと?」
その答え「この音列を使ったらどうか?こういうコードを乗せたらどうか?というようにある程度考えながら実験しつつそれが自分のサウンドとして消化していくこと。そのなかでオー!!ってことがある。」
「循環進行のオレオなどのサビで、D7G7C7F7はどのようにフレージングしたらいんでしょう?ミクソリディアンばかりだとカッコ悪でしょ」
その答え「例えば①D7をⅡ-Ⅴに分ける。②G7のところを裏コードをつかってDb7にすると半音進行になる。③マイナーコンバージョンのアイデアでD7のところをAm7にする」・・・など。
「師匠はあの時ああしておけばよかったと思うことはありますか?人生はコード進行のようだと感じています。」
「人生ドミナントだっていいじゃないですか、次はトニックだ。(トニックマイナーだったりして)」とか言いつつまじめに答えています。
読んで練習したくなる本ですね。明日からやるぞ。