村上春樹さんの小説、1Q84のBook3の文庫版、最後の5と6を読みました。
読み終えてからちょっと日にちがたってしまったのでホットな感想ではないですが、以下、ストーリーに関することを書いてますので、これから読もうという方はご注意ください。
Book1の前後編、Book2の前後編と読んできて、Book3、最後でグッと盛り上がってきましたがエンディングはちょっと微妙な感想。
文庫本にして6冊引っ張ったわりにはあっさりしすぎ ?
勝手な注文で言えばもうちょっと壮大なエンディングがあっても良かったかなって思えます。
でもスケールの大きな面白い作品であったことは間違いないですね。
結局この小説、非常に長い物語を読ませるためもあるのですが、ジャンル的にもいろんな要素が交じり合ってます。
青豆と天吾の複雑なラブストーリー、それから呼び方は的確ではないけど、リトルピープルが出てきて空気さなぎを作るファンタジー、そしてタマル、牛河の動きもリアルなミステリーってところでしょうか。
そんな風に読んでいると確かに主人公の青豆と天吾は、20年ぶり? に二人の意に沿ってめぐり合い結ばれて、ラブストーリー的にはある意味ハッピーエンドではあるのですが、ファンタジー的なところはともかくとして、全編にかかわるミステリー的にはいったいどうなんだろう、これからってところでプッツリ切れてしまった感もあります。
脱出した先が1984年なのか、またさらに別のパラレルワールドなのかは明らかにされていません。
ともかくその世界には、カルト教団さきがけはあるのでしょうか、タマルは、ふかえりは、小松は、安達クミは、どうなんでしょう。
1Q84の世界に居る限り、日本中、たとえ海外に逃亡しようとも青豆はカルト教団に追われ続けるけれど、脱出してしまえば同じ都心に居てももう追われることもないような気がします。
ただ1Q84でタマルに殺されなければならなかった牛河はちょっとかわいそう。
そして長いストーリーで積もったしがらみを別のワールドに脱出することで全部終わらせた感じもありますね。
1Q84から脱出したのだから終わりは終わりってところかも知れません。
そしてこのあと二人がどうなるかは、読者の想像に任せられています。
あっさりしすぎと思ったエンディングも、やはり計算しつくされたものなんでしょうか。
うーん、さすがと言えばさすがです。
ずぼらと言うのか、いつもレビューは組み立てとか考えずに無くなんとなく書き始めて途中で読み返しながら、画面上で前後入れ替えたりもしてます。
でもって「オチ」も考えてないんですが、だいたいは書いてるうちにオチが浮かんでくるっていういい加減さです。
ただ、今回はなかなかオチなくて書きかけのまましばらく漂ってました(^^;)
作家ってのはまた次元の違う話ですが、ブログを読んでるとなんとなくきすけぐみさんなら物書きになれそうな気がします。
私も読んでみたいなと思いながら、読み始めたとして、いつ読み終えられるのだろうと手が出ずにいます。
何より拝察することが、これだけのインプレッションを書くのにどれくらいの時間とエネルギーが必要だろうということです。読み手はすぐですけれど、書くのには手間がかかる。頭の整理ができないといけない。そして最後には、これで公開するぞという覚悟も必要。読み終えてから日にちがたつのも無理からぬこと。
では論をもう一歩進めて、仕事とはいえ、作家の苦労も見えます(私は作家にはなれないなぁ)。
お疲れ様でした。一仕事終わったお気持ちでしょう。