のんびりかな打ち日記  ini's blog

NikonD7100やSonyRX100M3で撮影した画像と日々の出来事を“ かな入力 ”でのんびり綴るブログです。

破線のマリス

2008-04-03 22:05:56 | 通勤快読



野沢尚さんの江戸川乱歩賞受賞作品です。

この作品は福井晴敏さんのデビュー作「川の深さは」を読んだときに、その解説で江戸川乱歩賞を最後まで「破線のマリス」と争って破れたって書いてあったので、機会があったらぜひ読みたいと思っていました。
確かにいずれ劣らぬ作品ですが、どちらも新人離れしていることだけは間違いないです。

「破線のマリス」はTVの脚本家がその内幕を描いた小説ということで、内容のリアルさはさすがです。
ストーリー的には途中までの内容に比べて後半から結末までが、勢いだけにまかせている部分もありますが、スリリングな展開で一気に読み終えました。

特に自信に満ちたような主人公の女性が憑かれたように序所に壊れていくあたりは、まさにミステリー、サスペンス、そして軽いホラー番組を見ているような感覚にもなりますね。
その意味ではTVドラマ的な組み立てなのかも知れませんし、さすがは脚本家ってところでしょうか。
主人公を追いつめた盗撮犯の設定にはさすがに無理もありますが、小説デビュー作を通じて自分が長く身をおいたTVという巨大メディアの実像と虚像、情報操作や“やらせ”など、著者がまず書きたかったことが盛り込まれた作品ではないでしょうか。