のんびりかな打ち日記  ini's blog

NikonD7100やSonyRX100M3で撮影した画像と日々の出来事を“ かな入力 ”でのんびり綴るブログです。

こちらの事情

2009-12-14 23:53:45 | 通勤快読


先日読んだ森 浩美さんの『家族の言い訳』の続編です。
続編と言っても全部違う話の短編集ですから、どちらのどの話から読んでも問題ありません。
前回の『家族の言い訳』が、なんとなくいい感じと言う感想でしたが、今回もやっぱりいいです。
正直、浪花節的な面もあります。お涙頂戴というか関西で言うなら「吉本新喜劇」じゃなくて「松竹新喜劇」的とも言えます。
実際、涙腺の弱くなった私は一話目の「晴天の万国旗」からウルウルしてました(^^;)
設定が私の様なちょっと疲れた40代サラリーマンにピッタリなんですよね。

あとがきで、著者ご本人がどの話も問題は解決していないけど、最後に"光"を残したと書かれています。
そしてそれは"救い"と言い換えてもいいとも言われています。
まさにこれがこの小説のいいところです。すっきり解決すれば、ハッピーエンドなんでしょうけど、そうじゃないからこそ共感できるし、真実味があるんでしょう。
だからこそ最後のわずかな"救い"が、本当に心を癒すのだと思います。

作詞家であり作家でもある著者ですが、普通の人々の普通の生活の中の家族の情景の捉え方が非常に上手いと感じます。




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夢見る黄金地球儀

2009-12-10 21:27:10 | 通勤快読


「チーム・バチスタの栄光」の海堂尊さんの作品。
著者の作品は文庫になるとほとんど読んでいますが、これは珍しく医学ものじゃない作品です。
記憶にも新しいふるさと創生1億円なんて、日本全国に金がばらまかれたときがありました。この物語はその1億円で桜宮市が作った黄金の地球儀をかっぱらう話です。
面白いと言えば面白いのですが、つまらないと言えばつまらない(^^;)
著者の作品の私の印象は最初にデビュー、チーム・バチスタを読んだときのインパクトから残念ながら少しずつトーンダウンしています。
その意味で今回の作品はイマイチかイマサンぐらいです。もちろん私にとっての話です。それでも気楽に読める娯楽作品という点ではマルかも知れません。

家族の言い訳

2009-11-22 14:06:51 | 通勤快読

小説のレビューを書くのは、なんか久しぶりです。
ストレスが溜まり過ぎると、通勤電車の中で本を読む気にもならないんですよね。

これはもともと作詞家の方が書かれた短編小説集なのですが、なんとなくいい感じです。なんとなくいいっていう感想がピッタリ。
作り過ぎや出来過ぎた話じゃなくてありがちな家族の姿とかやりとりがすんなり入ってくるので消化しやすい小説です。
8編あって、それぞれは短くてある意味、解決してはいないんだけど、それがまたいいって思わせるのが上手いと思いますね。
ハッピーエンドじゃないけど不思議とちょっとほのぼのする小説です。



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重力ピエロ

2009-09-19 01:11:41 | 通勤快読

ちょっと今さらって感じで読んだ伊坂幸太郎さんの作品です。

ある意味で著者の代表作なのかなって思って読みましたがイマイチ拍子抜けでした。
家族の設定などは複雑でストーリー的にも途中まではとても良かったのですが、大事なところでズレを感じてしまったので、その後はせっかくのクライマックスまでちょっと白けて読んでしまってせっかくのウイットに富んだ会話もくどく感じてしまったのが残念でした。
絶賛するレビューが多いのはちょっと意外かな。



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終末のフール

2009-07-25 08:25:28 | 通勤快読

伊坂幸太郎さんの作品、著者の作品は同じ短編の「死神の精度」と「グラスホッパー」を読んだだけですが、同じくちょっと変わった角度の世界観がいいですね。

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃の仙台の団地「ヒルズタウン」の住民たちのそれぞれの生活が短編となって8つの物語で構成されています。

この宣告五年後というのがミソというかポイントです。
地球滅亡がさけられないとなって大混乱が続き、そろそろ混乱疲れ?の小康状態での設定です。
もちろんまた衝突直前になってくれば再度大混乱に陥るかも知れないのだけれど、とにかくその「つかの間」の平穏?状態におけるそれぞれの生活がとても興味深く描かれています。

大混乱の模様としては、世界中で暴動、略奪が大規模に発生、自暴自棄になる人間が増え殺人や自殺が相次いだとされています。
現実的に考えることもナンセンスかも知れませんが、この小説の設定の「五年後の状態」ってのが有り得るのかってちょっと考えてしまいます。
おそらく惑星が衝突するって言われてもまずは半信半疑ですから、いきなり大混乱ってのはなくて、しばらくは普通の生活を続けてしまうでしょうね。
それからだんだん真剣に考えだして、会社に行かなくなる人が増えてくる。電車やバスが動かなくなって会社に行くにもいけなくなる。治安がだんだん乱れてくる。
そして自己や家族の防衛意識が強くなってまず水や食料の確保を考え出すんでしょうか。
そもそも電力会社、ガス会社、水道局が機能しなくなるなどライフラインがストップすると一気に混乱に陥るでしょうね。
そしてやはり恐いのは情報の錯綜と遮断だと思います。
人間の理性や秩序はどこまで持ちこたえるんでしょう。

そんな中から小康状態になって、生きる意味をもう一度考えるそれぞれの家族とそれを通じて、もし自分ならって考えさせられるところが面白い小説です。




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