またまた今野敏さんの東京湾臨海署安積班シリーズです。
表題を含む短編5話、気合を入れて読書する人には物足りないでしょうけど、通勤快読 ( それも朝は確実に超満員電車 ) の身には、このライト感覚は嬉しいです。
短編集は前置きが長くないから、すぐに入り込めるのとそれでいてシリーズ化されているものは、登場人物それぞれのプロフィールがすでにわかっているからちょうどドラマ感覚で楽しめます。
舞台のお台場の空虚なイメージもよくとらえられています。
派手さもカッコ良さも無い安積班の、あるようでないような普通のチームワークとそれぞれのこれまた割合中途半端な個性がなぜか現実的で読んでいて好感が持てますね。
たまたま今日、警視庁捜査一課の方と話すことがあってどんなイカツイ人かと構えていたらやっぱり普通のオジサンでした(^^;)
その点では横山秀夫さんの小説の刑事はちょっとカッコつけすぎでしょうか。
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道尾秀介さんの作品。
うーん、おおよそ通勤快読というにはほど遠い、不快読な物語でした(^^;)
「このミステリーがすごい!2009年度版(作家別投票)第1位」と本の帯に書いてあって、作家別ってところが引っかかりましたが、とりあえず一位には違いないし、たまたま寄ったその本屋では、エンドにドーンと山積してありましたから余程オススメなのかなって、結局毎度のことながら帯のキャッチコピーにまんまと釣られました。
最初からサイコホラーって書いておいてくれれば、そういう意識で読めたとは思えますが、少なくとも普通のミステリーファンにオススメする感じじゃないですね。
こういう不気味なのが好きな人にはハマる小説かも知れませんが。
絶賛されている巻末の解説を読む限りでは、なるほどと思わないでもないですが、話のまとまり的にももっと整理してほしいし、どんでん返し的な部分を意識しすぎじゃないかなって思います。
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辻村深月さんの小説は初めて読みました。
小学4年生の児童が主人公なのですが、ジュブナイルではないですね。
コアなファンが多い著者だけあって独特の作風を感じます。
先入観なく読んだので、最初は途中から展開が開けないことにちょっとつまずいたのですが、すぐに期待していたものが違うことに気がつきました。
これがこの小説のいいところなんだって(^^;)
ミステリーというジャンルそのものは幅が広すぎるのでときどきこういうことがあります。とても繊細で心の動きも上手く描写されています。
主人公の小学生は特殊な「力」を持っているですが、それが特殊に感じないところも実はこの話の「深い」ところかと感じます。
ちょっと種を明かすと「あなたは○○をしないと、○○になる」言い方はさまざまなバリエーションがあるのですが、相手に伝えたこの言葉が実現することがその「力」です。
誰かに物事を相談したときに普通に言われるような言葉ですね。
「今、勉強しておかないと一生苦労するよ」「今、決断しないとこの先ずっと後悔するよ」みたいに。
だから「超能力」なんて言葉を全く意識せずに、ごく自然にストーリーに没頭させられるところがまた著者の上手いところです。
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