「業際」を超え・「域際」を超え・「世代の際」を超えて!

理論を貫いて実践に生き! 実践を通して理論を究め! 前へ前へと進もう!

テレビドラマ「官僚たちの夏」と繊維・アパレル産業

2009年07月18日 | アパレル放談
城山三郎の小説「通産省官僚たちの夏」の再ドラマ化され、TBS(MBS)系で
日曜日の9時から三回目の放映されます。
戦後の高度成長経済を牽引した、若手通産官僚たちのドラマです。
多くの方が御覧になっておられると思います。
最近の政治の世界では、官僚に対するに対する非難が集中していますが、「戦後の復興や高度成長の担い手」であったことも否定できません。
官僚主導の政治の善悪は別として、戦後の経済発展を知る上でも興味深いドラマです。
TBSの番宣をするわけではありませんが、番組予告によりますと、19日放映の内容は、戦後の「日米繊維貿易摩擦」に関する内容です。
戦後「1$(360円)ブラウス」でアメリカの繊維市場を席巻し、貿易摩擦を引き起こし、日本政府が「繊維産業を守るか、鉄鋼や電気、自動車などにシフトする事によって日本全体の危機を守るか」を政界と通産官僚の二派に分かれての、確執を描いています。
結局、対米自主規制を受け入れて、「鉄鋼や電気、自動車、工作機械などの近代的な産業」に大きく方向展開しました。
それ以降、1960年代のLTA(綿製品)、70年代のMFA(綿製品から、毛織、化学製品に関する取り決め)へと進み、日本の繊維産業が、輸出から内需に向かっていく歴史の始まりです。
私が1968年にイトキン㈱に入社し、アパレル(婦人既製服製造卸)の職に就いた時代です。
石川、福井などの合繊や浜松、泉州、西脇などの繊維輸出で栄えた産地が、変化していく時代を原体験しています。
繊維産業が「川上中心から川中、川下」へと変化していった時代です。
その後、日米貿易摩擦は、繊維から電気、自動車と移り変わって、「貿易摩擦から経済摩擦」となり、1980年末の「日米構造協議」1990年代の「日米包括経済協議」となり、「金融や市場の自由化」が始まり、日本の産業構造変化が始まりました。
「金融の自由化の功罪」は広く議論されていますが、「市場の規制緩和、自由化」は、大店法の改正」となり、今日のオーバーストアーの要因にもなりました。
流通市場の緩和の功罪については諸説あり、歴史家の検証を待つことにして、新しい産業が誕生する起爆剤になったことも否定できません。
百貨店の危機?もアウトレットやメガブランドなどとも大きく影響していることは否定できません。
このように見てみると、ビジネスにも、直近の最新情報も重要ですが、歴史観に基づいた判断も重要であると再認識しています。
今週の「官僚たちの夏」が期待した中身かは詳しく分かりませんが、楽しみにしています。
皆さんにも是非お勧めします。