地球族日記

ものかきサーファー浅倉彩の日記

半東京。農ライフ vol18 めぐりゆく言葉たち

2009年11月20日 | お仕事日記
ちょっと前のBRUTUS「美しい言葉」特集、すばらしかったですね。
みなさん見ましたか?

著名人の辞世の言葉が特に秀逸だったんだけど、
中でもとある歌手の
「いっぱい恋もしたし、おいしいものも食べたし、歌も歌ったし、もういいわ」
ということばが最高にカッコよかった。
背景にある、めくるめく物語の存在を感じさせる言葉だ。

こういう言葉は、人の心の奥深くに届いて、
見失いがちな生きる意味や自分の存在の本質に光をあて、
生きる気力を覚醒させる。

ホクレアの内野加奈子ちゃんの
「先の見えない航海に旅立つときに必要なのは、
変えられるものを変える勇気、変えられないものを受け入れる心の静けさ、そして、そのふたつを見分ける知恵」という言葉もすばらしかった。

当然のことながら、言った人の生き様が見合ってなければ、
ことばはとたんに瑞々しさを失う。
そういう意味では、何を言うか、と同じだけ、何をするか、も大切だ。

また、誰かに何かの条件をのませようとか、説得しようとか、感動させようとか、知ってもらおうとか、そういう意図があることばは道具に過ぎない。
世の中にあふれる言葉のほとんどはこれで、その人の核のところから発せられた言葉とは、質的に異なる。

でも、普段の生活で、うまく人とコミュニケーションをとって
生きて行くのには、道具としての言葉を操ることのほうが効果が高かったりもする。
だから、一生のうちで、本当に心にささる言葉を受け取る機会は
そう多くはない。

今、この不確かな世の中で、そういう言葉が、求められている気がする。