10.28 ロシア国防省、シリアのイドリブ学校空爆のビデオはモンタージュ映像
ロシア航空宇宙軍の制御手段が、米国の偵察爆撃用無人機がシリアのイドリブ県の、ユニセフが学校への空爆を確認した場所を飛行する様子をキャッチした。リアノーボスチ通信がロシア国防省内の消息筋からの情報として報じた。
ロシア国防省のイーゴリ・コナシェンコフ公式報道官は「10月26日水曜、この地域ではロシア航空宇宙軍の航空機は1機も確認されていない。これは絶対的な事実だ」と発表している。
西側の一連のマスコミで発表された、学校への空爆の様子を写したとされるビデオ映像について、公式報道官は、解析も撮影時刻も異なるビデオを10本以上組み合わせて捏造されたものであることを明らかにした。
また報道官は今日、28日、ロシアの無人機がこの地区の航空写真を撮影したことを明らかにしている。
「ロシアの無人機から撮影された学校の写真を見ると、学校の屋根は一切損壊されておらず、学校に隣接する地区にも空爆の爆発による漏斗状の穴もない。
これら全てが物語っているのは、ユニセフ指導部が
『ホワイトヘルメット(シリアの市民救助隊)』内のペテン師の発する一連のいかさまの犠牲となったということだ。」
コナシェンコフ公式報道官はユニセフの役人に対し、大々的な声明を発表する前に権威ある組織の評判を落とさぬよう自分の情報ソースを確認するよう進言した。
また公式報道官は、米軍の無人機が学校空爆現場を飛行した事が確認された以上、米軍部側にも同様の情報を確認するよう提案した。
これより前、10月27日、ユニセフはシリアのイドリブ市の学校空爆の結果、児童22人、教師6人の合わせて28人が死亡したと発表している。
UNICEF事務局は 露批判に参加
シリア北部のイドリブにある学校が攻撃され、児童22名と教師6名が死亡したと10月26日にUNICEFのアンソニー・レイク事務局長は語った。
アメリカ軍、あるいはアメリカ軍が主導する軍隊はユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビア、シリアを含む世界の国々で子どもを含む無数の人びとを虐殺してきたが、今回は「戦争犯罪」という表現を使うなど、特別扱いしているようだ。
攻撃された教室だとされる写真も流れているのだが、壁に大きな穴が空いているにもかかわらず、机や椅子は整然と並び、瓦礫も少ないように見え、本当に爆撃現場の写真なのかどうか疑問に感じる人もいるだろう。
この攻撃はロシアやシリアによる空爆だったと証拠を示すことなく主張しているのは、例によってロンドンにあるSOHR(シリア人権監視所)。
この「団体」は2006年に創設された当時からひとりで運営され、その背後にはイギリスのMI5、アメリカのCIA、アメリカの情報機関と緊密な関係があり、NSAと密接な関係にあるブーズ・アレン・ハミルトン、またプロパガンダ機関として有名なラジオ・リバティが存在していると指摘されている。つまり米英支配層のプロパガンダ機関。
2011年3月にアメリカをはじめ、イスラエル、サウジアラビア、トルコなど外国のシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒したい勢力が侵略戦争を始めた当初、
ダニー・デイエムなるシリア系イギリス人が「アサド政権による弾圧」を発信、それを西側の有力メディアは垂れ流していたが、この仕組みは2012年3月に破綻する。
「シリア軍の攻撃」を演出する様子を撮した部分を含む映像がインターネット上へ流出、西側メディアの伝えていた「報道」が嘘だということを多くの人が知ってしまったのだ。現在、SOHRと手を組んでいるのは「白ヘル」だ。
イドリブの攻撃に関し、ロシアのビタリー・チュルキン国連大使は西側の主張を否定している。
国連の呼びかけに応じ、18日からロシアやシリアの航空機はイドリブから10キロメートル以内の空域を飛行していないというのだ。
ロシア国防省は問題の日にアメリカのUAV(ドローン)のプレデターが飛行していたと主張、その事実は記録されているとしている。ロシアが上空から撮影した写真によると、学校の屋根に損傷は見られず、爆撃によるクレーターもないようだ。
1991年12月にソ連が消滅、翌年の2月の世界制覇プラン(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)を作成してから、アメリカの支配層は有力メディアに偽情報を広めさせながら軍事侵略を繰り返してきた。
ユーゴスラビアやアフガニスタンは人権、イラクは大量破壊兵器、ウクライナ、リビア、シリアは民主化だが、いずれも侵略を正当化するための口実に使われただけだ。
しかし、アメリカ支配層を中心とする勢力はシリアで躓いた。ロシアが立ちはだかっているのである。
昨年9月30日にロシア軍が空爆を始めてから侵略勢力の手先であるアル・カイダ系武装勢力やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)は劣勢になり、要衝を奪われつつある。
モスル奪還を演出、イラクから9000名程度を援軍としてシリアへ向かわせようとしているが、成功するかどうかは不明。
ここにきて西側が神経を尖らせているのは重航空巡洋艦(空母)クズネツォフ提督を中心とする艦隊。
10月15日にセベロモルスクを出港、北海で3日間にわたる演習を実施した後、地中海のシリア沖へ向かっている。
途中、北アフリカにあるスペインの港で給油することになっていたが、スペインは難色を示し始め、ロシアは給油を取り消した。アメリカ支配層の圧力があったということだろう。イドリブの攻撃を使った反ロシア宣伝とリンクしている可能性もある。
ちなみに、イドリブでの攻撃をいち早く批判したレイクの現在の肩書きはUNICEF事務局長だが、アメリカの外交官という経歴も持つ。
元国務省政策企画本部長であり、元国家安全保障担当大統領補佐官なのだ。アメリカの国際戦略に深く関与してきたということである。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201610280000/
罠にはまるロシア
1. アメリカによって巧妙に仕組まれた国連報告は、アレッポにおける戦争犯罪で、シリアとロシアを非難している。
国連人権委員会は“独自の”調査を開始することを投票で決めた。
この調査の目的は、ロシアとプーチンを戦犯として起訴し、“違反とされるものに対し、責任者に裁きを受けさせる”ことにある。
更に“状況は、即刻、国際刑事裁判所で審理されるべきである。
この紛争の当事者全員が、彼らは、彼らが、全て、選択的保護無しに、無差別におこなった国際犯罪の責任を問われることになるのを承知すべきだ。”アメリカ政府は、国連予算の一番多くを支払っており、ISISをアレッポに送り込んだのはアメリカ政府だったのを、国連が見過ごすだろうことに留意されたい。
明らかに、アメリカ政府も国連も、プーチンを国際刑事裁判所に引きずり出すことはできまいが、戦犯だという告発は、プーチンが外国を旅行するのを阻止し、彼の外交努力を抑制することで、アメリカ政府の狙いに役立つのだ。
この周到にお膳立てされた行為の狙いは、そのプロパガンダ価値にある。
アメリカ政府の多くの懸念の中には、アメリカ政府が彼らを引きずりこもうとしているロシアとの紛争で不安になった一部の東欧諸国が、NATOを、非参加声明で脅かそうとすることがある。
もしロシアが戦犯の烙印を押されれば、愚かにも軽率にNATOに加盟した国々が、その結果から抜け出すのは、一層困難になる。
2. アメリカ政府は、ポーランドで、極右の法と正義党を権力の座につけるのに成功した。
こうしたアメリカ政府の代理人連中は、飛行機事故によるカチンスキー大統領死亡問題を再び蒸し返し、墜落はポーランドの政治指導部を損なうことを狙った、ロシアによるテロ攻撃だという、とっぴな主張をしている。https://www.rt.com/news/363726-polish-plane-crash-conspiracy-tusk/
説得力がある、逆のことを示す膨大な証拠にもかかわらず、アメリカ政府の悪魔化キャンペーンによって描き出されるロシアの恐ろしい姿のおかげで、法と正義党の主張が人々をひきつけることが可能なのだ。
意図している結果は、ロシアとロシア政府を更に傷つけ、孤立化させることだ。
3. ネオコン戦争屋に指名された代弁者として、ヒラリーは、アメリカ政府に、シリアに飛行禁止空域を設定させたがっている。
飛行禁止空域を設定すれば、アメリカ政府としては、ISIS陣地に対する、シリアとロシアの空爆を防ぐ取り組みが必要になる。
シリアもロシアも、リビアで、カダフィに対してしたように、シリア政府を打倒するために、アメリカ政府が送り込んだ勢力との戦いで、シリアの自国領空使用を否定するような、いかなる企みも受け入れるまいことは十分明らかに見える。ロシアとシリアが降伏しない限りは、ヒラリーの飛行禁止空域は、ロシアとアメリカ間の軍事衝突という結果を招こう。
飛行禁止空域提案を推進するため、“化学兵器使用”策略が再登場した。
シリア空軍は、、シリア国民に化学兵器を投下するという罪をおかしているというでっち上げ報告が出現している。
10月22日、インディアン・エクスプレスが報じたが、10月21日、国連の合同調査機構が、クミナスに対する化学兵器攻撃は“シリア・アラブ国軍ヘリコプターが、高高度から装置を落下し、それが地面にぶつかり、住民を襲った有毒物質を放出したことで引き起こされた”ことを国連安全保障理事会に知らせた。
報告は、調査した化学兵器攻撃のうち三件はシリアが行ったもので、一件は「イスラム国」によるものだと結論づけている。http://indianexpress.com/article/world/un-says-syrian-army-used-chemical-weapons-in-qmenas-village-in-2015-3096558/
クミナスへの攻撃とされるものの一年前、2014年に、ロシアが兵器を確保し、シリアから移動して化学兵器問題を解決しているので、報告にはほとんど信憑性はない。http://www.wsj.com/articles/removal-of-chemical-weapons-from-syria-is-completed-1403529356 ところが、アメリカ政府による15年間にわたるイスラム教諸国に対する攻撃では、いかなる時も、事実は全く何の役も演じておらず、アメリカ政府によるロシアの悪魔化においても、事実は確かに全く何の役割も演じていない。
4. ダイアナ・ジョンストンは、ヒラリーは、ロシア政権転覆を目指しており、大統領の座を、この目的のために利用するだろうと結論づけた。
http://www.globalresearch.ca/hillary-clintons-strategic-ambition-in-a-nutshell-regime-change-in-russia-putin-is-an-obstacle/5552264
これ以上に無謀で無責任な狙いを想像するのは不可能だ。
ロシア政府幹部の多くが、アメリカ政府によるロシア挑発と悪魔化で、核大国間の信頼はほぼゼロに近づいており、ロシアは、ロシア領土上では、決して戦わないつもりだと述べている。
セルゲイ・カラガノフは、ドイツのニュース誌デア・シュピーゲルに、もしアメリカとNATOが、核大国ロシアに対する挑発から侵略へと動けば、彼らは罰を受けるだろうと述べた。http://www.spiegel.de/international/world/interview-with-putin-foreign-policy-advisor-sergey-karaganov-a-1102629.html
多くの愚かな人々は、勝者などあり得ないのだから、核戦争など起こりえないと思いこんでいる。ところが、アメリカ核兵器を、報復手段から先制攻撃機能へと格上げしたアメリカの戦争計画者連中は、核戦争では勝利できないということには明らかに不同意なのだ。
もし核戦争が、勝者なきものだと考えられているなら、この兵器に奇襲攻撃の役割を与える戦争ドクトリンなど無意味だ。
ロシアは、アメリカ政府が、アメリカとロシア間の状況を、冷戦中より危険なものにしたことを理解ししており、懸念している。
ウラジーミル・プーチン自身、欧米は自分の警告に耳を傾けないと述べている。
戦争を避ける取り組みとして、プーチンは、外交でできる限りの力を振り絞っている。彼は、守られることはあるまいと知っているに違いない協定をアメリカ政府と結んだ。
彼にとって教訓になる余りに多くのことが起きてきた。
彼が北京オリンピックに出席していた時に、アメリカ政府は、ジョージアによる南オセチア侵略をあおり、彼がソチ・オリンピックに出席していた時に、ウクライナで、アメリカ政府のクーデターを起こし、アメリカ政府は、ミンスク合意を放棄し、アメリカ政府は、シリア停戦合意につけこみ、アメリカ政府は、NATOをロシア国境に向けては動かさないという約束を破り、アメリカ政府は、弾道弾迎撃ミサイル制限条約を脱退し、MH-17や、ハッキングされたヒラリーの電子メールで、ロシア非難を画策している、などなど。
明らかに、アメリカ政府は、シリアに対するロシアの軍事的、外交的支援を、世界世論で、戦争犯罪のかどで、ロシアを有罪にするのに利用するつもりだ。
シリアにおけるロシアのためらいが、アメリカ政府が、連中のISIS傭兵の敗北から立ち直り、現場での敗北に対する説明を置き換えるのを可能にさせてしまったのだ。
シリアにおけるロシアの対ISIS空爆は、アメリカ政府を不意打ちし、アメリカ政府が支援するISIS部隊を素早追い詰めく、戦争の流れを完全に逆転させた。ロシアが仕事をやりとげていれば、アメリカ政府が一息入れられる前に、シリアから敵対的な勢力は一掃されていただろう。
そうではなく、ロシア・エリート内の汎大西洋統合主義者分子からの圧力を受け、任務は完遂したと宣言し、仕事の完成をシリア軍に任せ、ロシア政府は撤退した。
この戦略的失敗で、アメリカ政府が、ISISに破壊された武器弾薬を補給し、より多くの傭兵をかき集めるのを可能にしたのみならず、より重要なことに、ロシアとアサドを破滅させる計画を考え出すことを可能にしたのだ。
ロシア政府が、早期撤退が過ちであったことに気がつき、紛争に再度参入した頃には、ワシントンは、もしダマスカスが“解放”できないのであれば、シリアを分断して、それにより、アサドに圧力をかけ続けることに決めていたのだ。
ところが、ロシア政府は、アメリカ政府が、ISISを再武装させ、ロシアに対するプロパガンダの武器として利用する停戦合意によって、勝利を先のばしにし続けている。
シリアにおける軍事紛争の結果がどうであれ、ロシアは、国連人権委員会によってではないにせよ、欧米マスコミによる戦犯有罪判決と、そして、もしヒラリーがアメリカ大統領になれば、シリアにおける飛行禁止空域に直面する。
たとえそれが半属国化となることを意味しようとも、これは、ロシアが欧米に受け入れてもらえるようにしようと固く決意している、アメリカを崇拝する、非現実的な汎大西洋統合主義者に耳を傾けたことに対し、プーチンが支払う膨大な代償だ。
もし核戦争になれば、ロシアの汎大西洋統合主義者も、アメリカ人ネオコンと、その責任を共有することになる。そして我々全員が、こうしたごく少数の戦争を要求するネオコンと、アメリカ政府との宥和を求める汎大西洋統合主義者が生み出す大惨事という代償を払うことになる。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-a917.html