ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

「夢があるなら、がんばりなさい」

2012年08月30日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

この日、路上の子どもジョマール君(仮名、15歳)が施設に移りました。
施設は、マニラから2時間のブラカン州にあります。

【施設の様子】

ジョマールの母親は、薬物使用で逮捕されて刑務所にいます。父親は、別の人と一緒になり子どもが生まれ、前妻との間のジョマールたち兄弟の面倒は、祖母が見ていました。しかし、祖母は高齢で、少しの年金はあるものの、体力的にも金銭的にも、兄弟たちの面倒を見切れなくなっていました。昨年、アイキャンでは、高校1年生のジョマールの通学補助をしました。しかし、アイキャンの通学補助も限度があり、全ての出費を提供できるわけではありません。時々金銭的は補助をしていた父親ですが、近頃はめっきりなくなり、子どもたちへの責任を全て放棄している様子です。その状況のなか、さらに立ち退きの問題が出てきました。ジョマールの住む場所一帯に、今度デパートが立てられることになり、家を明け渡さなければならなくなりました。再定住地先は、モンタルバンと呼ばれるマニラから2時間ほどの場所です。そのモンタルバンに移ることになれば、アイキャンの事業地からも遠くなり、対応ができなくなります。


【施設に移る出発の日の朝。ジョマールの家は、右下に見える木でできたバラック。右端:ジョマール祖母、右から2番目:ジョマール、写真中央:ジョマールの弟、左から2番目:ジョマール叔母】


【ジョマールの弟は、路上で物乞いをして得たコインで、遊んでいます】

ジョマールは、路上で仕事もしていたことがあり、路上の友達も多くいます。しかし、今までタバコやシンナーなどには手を出さず、自分を保ってきました。学校でも、先生に「頭のいい子」と褒められるくらい勉強もがんばってきました。

ジョマールは、考えました。自分の人生をこれからどうしていくのか?
そして、決めました。勉強が続けられる施設に移ると。

「夢があるなら、がんばりなさい」おばあちゃんが背中を押してくれました。
たくさんの友達にさよならを言ってきました。
みんなと離れ離れになっても、勉強を続けるんだって堅く決心して施設に来たけれど、やっぱり泣いてしまいました。可愛がってくれたおばあちゃんへの思い、残してきたまだ幼い兄弟たちのこと、父親への怒り、いろんな思いがあふれてしまったのだと思います。


【2年前にジョマールと同じ地域から施設に移った子(右)と久しぶりの再会です】


【施設まで送ってくれた祖母、叔母とジョマール。体の弱っている祖母ですが、ジョマールのためにと、片道2時間の旅に耐えてくれました】

彼の人生の新たなスタートに、静かにエールを送りたいと思います。次会う時は、笑顔のジョマールに会えますように。

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