ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

ストリートエドケーターから神父へ

2010年06月18日 | スタッフとオフィス
ゆきよ@まにら

路上の子どもたちの教育を担当するストリートエドケーターのひとりルーランドが、先月アイキャンを去りました。まだ働き始めて半年経っておらず、これからさらに成長していくいい人材と期待していたので残念です。彼が辞めた理由は、神学校に戻るため。いずれ神父になるべく訓練を受ける生活を選びました。



彼はボホール出身でバギオの大学にある神学校で哲学の学位を取った後、マニラ郊外の修道院で訓練を受けていましたが、家族の経済的ニーズに答えるためにコールセンターで働きはじめたといいます。3年間コンピューターを前にした仕事を続け、営業成績は良かったようですが、機械ではなく人間を相手にしたもっと意義のある仕事がしたいと我慢ができなくなり退職。修士課程の短期コースで教育の勉強をした後、アイキャンファミリーに加わりました。面接をした当時は、いつか神父になりたいという夢は持ち続けているが、今はその時期ではなく、路上の子どもたちに仕える仕事をしたいと意欲を語っていました。



何より子どもたちを心から愛し、事前によく準備してセッションを実施していくだけでなく、任された事務作業もテキパキとこなせるデキるスタッフで、同僚たちからも短い間にすぐ信頼を得ていました。ハードだけどやっと心からやりがいを感じる仕事に巡り合えたと言っていた矢先、以前いた神学校からお声がかかりました。「神父になるために戻って来ないか」と。彼は今戻らなければ、もう一生神父になれず一生後悔するかもしれないと、辞職を決めました。額に脂汗をかきながら本当に申し訳なさそうに辞意を表明した彼の様子は、よく印象に残っています。「本当に神父になりたい?」と私が確認すると、「僕は自分がいつか結婚して家庭を持っていることを思い描くことができないんです。いつか神父になりたいと、ずっと思ってきましたから。」(ちなみにカトリックの神父は独身とされています。)



路上のパートナーとしてよく一緒にセッションしていたソーシャルワーカーのジェンからは「私に出会ったのにまだ神父になりたいってどういういうこと?!やめときなさい!」とか、同じストリートエドケーターのノトからは「そのお気に入りの長髪を神学校に戻ったら切らないといけないんだぞ。やめとけよ。」と言われながらも、ルーランドはまた神学校に戻って行きました。「何より子どもたちと別れてしまったのがさみしい」と、その後スタッフたちにメールを送ってきていたそうです。メールや携帯を使うのも制限される生活に入った彼は、きっと静かに神様と毎日向き合いながら、アイキャンの子どもたちのことを想って、いつもお祈りしてくれていることと思います。まだ神父になるまでに何年かの訓練があるそうです。神父はフィリピン社会では、人々から尊敬を受ける高い地位にあります。きっと彼は大衆に愛され社会のために大きく貢献する神父になることでしょう。そう願っています。

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