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リーマン破綻、邦銀など損失2000億円超 他関連ニュース4本

2008-09-17 18:45:39 | Weblog
リーマン破綻、邦銀など損失2000億円超 業績圧迫要因に 2008年9月17日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080916AT2C1601Y16092008.html
 米証券大手リーマン・ブラザースの破綻に伴い、国内金融機関も同社への融資や関連投資の損失処理を迫られている。三井住友フィナンシャルグループは16日、100億円程度の損失が発生する見込みだと発表。みずほ信託銀行も118億円の損失を計上する。他の金融機関も影響額を精査しており、破綻の余波が広がってきた。
 銀行や証券会社、生損保会社など国内金融機関が同日、公表や聞き取りなどによって明らかにしたリーマンへの融資や関連デリバティブ(金融派生商品)取引、株・社債などへの投融資の総額は4400億円超。このうち担保や損失回避のためのヘッジ取引などで保全されていないのは2300億円以上に達する。

みずほ信託が業績下方修正 リーマンで損失118億円 2008年9月16日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080916/fnc0809161531029-n1.htm
 みずほ信託銀行は16日、米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)に伴って118億円の損失が発生する見込みとなったと発表した。平成20年9月中間連結決算の純利益予想をこれまでの210億円から90億円に下方修正した。
 リーマンの破綻で業績予想を下方修正した国内金融機関は初めて。
 みずほ信託は米リーマン向けに貸し出しが100億円あり、社債も約18億円保有。全額が回収不能になると見込んで、全額を損失計上する。
 21年3月期については、11月の中間決算発表時に業績予想を修正し、公表する。

千葉銀はリーマンの発行債券49億円超保有 2008年9月16日 株式新聞
http://news.www.infoseek.co.jp/market/story/kabushikis20080917302204/
 千葉銀行は16日、リーマン・ブラザーズが発行する債券を円建て簿価合計で49億7700万円保有していると発表した。リーマンが15日付で連邦破産法11条を申請したため、保有額を公表した。08年9月中間期、09年3月期業績予想については算定次第、開示するとしている。

紀陽銀行、リーマン社債71億円保有 2008年09月17日 
時事通信 http://news.livedoor.com/article/detail/3821861/
銀行 ニュースリリース
http://company.nikkei.co.jp/sys/redirect_dis.aspr?ano=59ewzq&t=http%3a%2f%2fir.nikkei.co.jp%2firftp%2fdata%2ftdnr1%2ftdnetg3%2f20080916%2f59ewzq%2f140120080916043366.pdf
 紀陽銀行は16日、経営破綻(はたん)した米証券大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの円貨建て債券を71億4900万円保有していると発表した。

英バークレイズ、リーマンの北米投資銀業務の買収発表 2008年9月17日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917AT2M1701E17092008.html
 英銀大手バークレイズは16日、破綻した米リーマン・ブラザーズの北米の投資銀行業務を、計17億5000万ドル(約1800億円)で買収すると発表した。株式、債券の引き受け、売買仲介、調査やM&A(合併・買収)仲介などの事業を取り込み、米国市場での収益力強化を図る。これに合わせ、10億ドルを増資して買収費用に充てる。
 リーマンの投資銀部門の資産と負債を2億5000万ドルで買い取るほか、ニューヨークの本社ビルなどの不動産の取得に15億ドルを支払う。従業員1万人も移籍する。
 買収により、バークレイズは債券関連業務で世界トップクラスの金融機関になる見込み。米国市場でのM&A助言業務、ヘッジファンド向けサービスなどでもシェアが拡大する。




 リーマン・ブラザースが経営破綻して2日が経ちましたが、邦銀の損失は更に膨らみ、みずほ信託銀行が118億円の損失を計上し、9月中間期の純利益予想を210億円から90億円に下方修正し、三井住友FGも100億円程度の損失が発生する見通しなど、その損失総額は2000億円を超える見通しとなってきました。
 ちなみに、リーマンの債権の保有残高ですが、三菱UFJが250億円、住友信託が60億円、新生が最大380億円、中央三井が150億円、三井住友海上が136億円などと大手銀行が中心となっていますが、地方銀行でも、千葉銀行が49億7700万円の社債を保有しています(http://news.www.infoseek.co.jp/market/story/kabushikis20080917302204/)し、経営不振で長年苦しんでいた和歌山県の紀陽銀行も71億4900万円のリーマン社債を保有(http://news.livedoor.com/topics/detail/3821861/)。
 また、債券の話ではありませんが、今年の3月に群馬県の第二地銀である東和銀行とリーマンブラザースが、銀行の不良債権処理を加速するために、東和銀行の子会社となる東和フェニックスに約200億円の不良資産を移管して、リーマンから調達する資金を原資に処理を進めるために、東和銀行の子会社が米リーマンを引き受け先として46億円の優先株を発行するという話が出ていました(http://blog.goo.ne.jp/ibarakiisuzu/e/f82d7a595c82822e31c1db67fe9b3217)が、こちらも提携先のリーマンの破綻で、東和銀行の経営にどんな影響を与えるか…。

 それなのに、リーマンの社債を地方銀行も多く所有していることを知らなかったのか、与謝野経済財政担当大臣が、よりによって(リーマン・ブラザーズの経営破綻に関して)『日本にももちろん影響はあるが、ハチが刺した程度。』(http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917AT3S1700N17092008.html)などと、実に無責任な発言をしてくれたわけで…(怒!!!
 まあ、千葉銀行は地銀上位行で財務体質も健全なので、50億円が焦げ付いても直ちに経営危機に陥ることはないと確信していますが、和歌山の紀陽銀行の場合、5月に発表された2008年3月期の純利益が133億円(http://company.nikkei.co.jp/news/news.aspx?scode=8415&NewsItemID=20080515NKL0375&type=2)だったので、もし全額焦げ付けば、年間純利益の半分がぶっ飛んでしまう計算に…。これでも与謝野氏は、『ハチが刺した程度』などと大法螺を吹いていられるでしょうか…。
 与謝野氏も一応は総裁候補の1人なんですから、発言はもっと慎重にお願いしたいものですね…。
 ちなみに、17日の株式市場では、紀陽HDは前日比25円安い153円(下落率15.53%)、東和銀行は1円安の91円、千葉銀行は4円安の532円で終了しています。

 一方、リーマンの救済相手として名前の挙がっていた英バークレイズですが、破綻した北米の投資銀行業務を、計17億5000万ドル(約1800億円)で買収すると発表。まあ、いろいろと奇麗事を言っていますが、『だったら、最初から全部買い取れよ!』と突っ込みの1つも入れたくなりますし、美味しいところ取りもいいところですね…(呆れ

民主、国民新が合併へ 郵政民営化見直しで合意

2008-09-17 18:34:32 | Weblog
民主、国民新が合併へ 郵政民営化見直しで合意 2008年9月16日
朝日夕刊 http://www.asahi.com/politics/update/0916/TKY200809160120.html
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080916AT3S1600516092008.html
毎日夕刊 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080916k0000e010064000c.html
 民主、国民新両党が16日、解散・総選挙前の合併に向け最終調整に入った。小沢代表が同日、綿貫代表と国会内で会談し、国民新党が主張してきた郵政民営化見直しを民主党が受け入れることで合意。これを受けて国民新党は、合併に向け党内協議を進める方針で、22日にも合併で合意する見通し。事実上の吸収合併になる。
 両党合併は、総選挙で野党票の分散を懸念する民主党が水面下で打診し、国民新党内で調整が続いていた。小沢氏は15日の記者会見で「一つになるということも選択肢。綿貫さんと話してみたい」と語っていた。
 国民新党内には、総選挙後の政界再編をにらみ、自民党との連携も視野に入れた第三極路線論も根強かったが、総選挙では小政党の苦戦は避けられず、合併受け入れが大勢を占めた。
 16日の党首会談では、国民新党が主張している日本郵政の株式売却凍結など郵政事業の抜本的見直しで合意。その席上では、小沢氏から合併話は持ち出されなかったが、国民新党は16日午後、議員総会などで対応を協議する。郵政民営化見直しで政策合意したことで、合併のハードルは下がったとみられる。
 国民新党は、郵政民営化に反対し自民党を離党した議員らで05年8月に結成。当初は自民、民主両党のどちらにもくみしない中立的な立場だったが、国民新党が「一丁目一番地」とする郵政民営化見直しに民主党が理解を示したため、民主党寄りに転換。07年10月から参院では民主党と統一会派を組んでいる。



 一方、野党の動きですが、民主党と国民新党とが、解散&総選挙に入る前に合併に向けて最終調整にはいったようで、綿貫代表も前向きとされることから、こちらは国民新党派の一部慎重派が同意すれば、すんなり民主党に合流となりそうな展開になってきました。
 まあ、国民新党は元々は中立派だったとはいえ、アンチ小泉&郵政民営化反対派で固まっている派閥のようなものですし、民主党を離党して改革クラブを作った大江康弘・渡辺秀央両議員より、余程民主党の一員っぽく、かっては選挙協力までしていましたし、仮に国民新党のまま戦い続けても、現実問題として衆参あわせても10名に足らない勢力(7名)では、アピールするどころか二大政党に埋もれて消滅しかねないだけに、政権を奪える可能性が高くなった今の時期に民主党に入るという選択を行うというのも、至極妥当な判断ではないかと思います。

麻生氏が「岡崎だったからいいけど…」発言&与謝野氏が「(リーマン破綻について)ハチが刺した程度」発言

2008-09-17 18:30:30 | Weblog
愛知県豪雨で「岡崎だったからいいけど…」 麻生氏発言に岡崎市が抗議 2008年9月16日 
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080916/dst0809161350002-n1.htm
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080916-OYT1T00572.htm?
毎日夕刊 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080917k0000m040099000c.html
 愛知県岡崎市と同市議会は16日、JR名古屋駅前で14日に行われた自民党総裁選の街頭演説で、麻生太郎幹事長が8月の愛知県の豪雨被害に関し、不適切な発言があったとして、麻生氏に「配慮のない発言は極めて遺憾」とする抗議文を送付した。
 岡崎市によると、麻生氏は演説の中で、豪雨被害について「安城や岡崎だったからいいけど、名古屋で同じことが起きたらこの辺、全部洪水よ」と発言した。
 岡崎市などは抗議文で、同市内では2人が死亡、約3000棟の家屋が床上と床下に浸水する被害が出ており、「災害からの復興活動を続ける岡崎市と岡崎市民を深く傷つける発言」だとしている。

小池氏は重要閣僚、石原氏は党要職に…麻生氏構想 2008年9月14日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080913-OYT1T00840.htm
 自民党総裁選で優位に立つ麻生太郎幹事長は、次期首相に就任した場合、総裁選を争う小池百合子・元防衛相ら4候補すべてを閣僚か党役員に起用する意向を固めた。
 麻生氏周辺が13日、明らかにした。小池氏は重要閣僚での処遇、石原伸晃・元政調会長は幹事長など党の要職での処遇を検討している。与謝野馨経済財政相は再任か他の閣僚への横滑り、石破茂・前防衛相は閣僚への起用が有力だ。
 麻生氏は総裁選で、国会議員票の過半数を固めている。地方票も優位に立っているとみられ、新総裁に選ばれるのは確実な情勢となっている。
 麻生氏に近い議員らによると、同氏は「総裁の座を堂々と争い、結果が定まれば、新総裁のもとで一致団結するのが党の良き伝統だ」とし、挙党体制を築くため、4氏を閣僚や党の要職に起用する考えだという。
 麻生氏は総裁選の勢いを維持して衆院選を戦う狙いから、「10月3日衆院解散―10月26日衆院選」という早い日程を念頭に置いている。総裁選を戦った小池氏らを起用するのも、引き続き衆院選の遊説やテレビ出演などに党の「顔」として臨ませるためだ。この観点から、特に清新さをアピールできる小池、石原両氏の処遇を重視している。
 また、民主党では小沢代表が無投票で3選されながら、小沢氏への批判がくすぶっており、麻生氏はこうした民主党との「体質」の違いを示すことも狙っているとみられる。
 これに関連し、麻生氏に近い安倍前首相は13日、新潟県十日町市で記者団に、小池氏ら他候補の処遇について、「それぞれ才能のある人なので、(要職で)働いてもらった方がいい」と語った。

リーマン破綻の影響、与謝野氏「ハチが刺した程度」 2008年9月17日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917AT3S1700N17092008.html
 自民党総裁選に立候補している5人の候補者は17日午前、島根県出雲市で街頭演説した。与謝野馨経済財政担当相は米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻に関して、「日本にももちろん影響はあるが、ハチが刺した程度。これで日本の金融機関が痛むことは絶対にない。沈着冷静な行動が求められる」と述べ、日本経済への影響は限定的との見方を示した。
 与謝野氏は同時に「日本は世界経済の一員であり、世界に積極的に貢献していく。政府も日銀も力の限り努力しなければならない。これが5人の共通認識だ」と指摘した。小池百合子元防衛相も「金融の世界で大きな地震が米国発で起きた。対岸の火事として見てはいられない」と、日米欧の国際協調の必要を訴えた。
 麻生太郎幹事長は「リーマンのこともあったが、日本経済は全治3年と言ってきた。どうみても優先順位からいえば景気対策だ」と持論である景気重視論を展開した。




 現役閣僚の失言といえば、大田農相が連発し続けていた印象があまりにも強かったため、麻生氏も失言の多い政治家だったことをついつい忘れていたのですが、昨年7月の『アルツハイマーの人でもわかる』発言、今年8月の民主党をナチスドイツに例える不適切発言に続いて、今度は『(8月の愛知県豪雨について)安城や岡崎だったからいいけど、名古屋で同じことが起きたらこの辺、全部洪水よ』などと、またもや国民にケンカを売るような大問題発言をしていたことが発覚しました。
 まあ、この発言の真意も、おそらくは『岡崎市や安城市に降り注いだ豪雨と同じ分量の雨が、もし名古屋市に降り注いでいたら名古屋市の都市機能は完全麻痺していた』といったことを言いたかったのだとは思いますが、だからといって、特定の地域を名指しで見下すような発言は、総理大臣候補としてはさすがにどうかと思いますし、あの豪雨被害のテレビ映像を一度でも見たことがある方ならば、とてもこのような無神経な発言は出来ないと思うのですが、そういう意味では、いくら庶民感覚をアピールしていても、所詮お偉いさん特有の、上からしか物事を見ていない政治家の1人なんだな…などと感じてしまいました。

 まあ、この失言があったところで、総裁選で既に過半数の票を固めたとされる麻生氏の当選は揺るがないでしょうし、ご当人も『自身が総理大臣になったら小池氏は重要閣僚で処遇、石原伸晃・元政調会長は幹事長など党の要職での処遇、与謝野馨経済財政相は再任か他の閣僚への横滑り、石破茂・前防衛相は閣僚への起用』を検討している などと、まるでもう自分が総理大臣になったかのような口ぶりですし、自民党だって今更軌道修正も出来ないと思いますが、さすがに今回の問題発言では、岡崎市や安城市の市民及びその周辺住民は勿論のこと、近年豪雨被害を受けた全ての人を敵に回しかねない、とんでもない大問題発言ですし、謝罪したからといって済む問題ではないでしょうし、野党はこの発言を次の衆議院選挙で必ず問題にしてくるはず!
 せっかく総裁選で自民党が注目を集め始めたというのに、今度はその総裁の最有力候補が、自陣営にオウンゴールを決めるなんて、ホントこの『チーム自民党』は一体何を考えているんでしょうね…(困惑

 また、こちらは失言とは若干ニュアンスが異なるとは思いますが、財政再建派の与謝野氏が『(リーマン・ブラザーズの経営破綻に関して)日本にももちろん影響はあるが、ハチが刺した程度』などと、こちらも、まるで金融関係者にケンカを売るかのような、物議をかもしかねない発言をやらかしてくれたようで…。
 まあ、与謝野氏の場合、財政再建派の筆頭ということもあり、財政投入につながる動きは芽のうちに摘みたかったのでしょうし、金融市場に落ち着きを促す発言をしたかった意図はわからないわけでもありませんが、だからといって、自分の国で発生したわけでもない大手証券会社の経営破綻の影響を、まだどれだけ不良債権が出てくるか全貌が判明した段階でもないのに『ハチが刺した程度』などと簡単に言い切ってしまうのは、これもどうなんでしょう…。

 もし私が民主党など野党の政治家の立場なら、ここぞとばかり『麻生さんは「安城や岡崎だったからいいけど」などと地方差別を平気でする政治家だし、対抗の与謝野氏も金融情勢が全く読めていない政治家。皆さんはこんな方々に政権を託して本当によいのですか?』と徹底的に自民党陣営を叩きますが、どうも最近の政治家というのは、与党の政治家も含めて随分口が軽くなったものだと思います…(溜息

日経平均反発、終値140円高の1万1749円 AIG救済を好感

2008-09-17 15:27:11 | Weblog
日経平均反発、終値140円高の1万1749円 AIG救済を好感 2008年9月17日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917NT001Y20217092008.html
 17日の東京株式市場で日経平均株価は反発した。大引けは前日比140円7銭(1.21%)高の1万1749円79銭。16日の米株式相場が反発した流れを引き継ぎ、前日下げの目立ったキヤノンなど電機株に買い戻しが入った。経営危機に陥った米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が米政府管理下に置かれると決まったことも、株価指数先物への買い戻しにつながり、現物株全般を底上げした。ただ、世界景気減速への警戒感から積極的な買いは限られ、日経平均は前日の急落分(605円)の約2割を戻すにとどまった。東証1部の売買代金は概算2兆3151億円(速報ベース)。



 う~ん。なんとなく予感はしていたのですが、午前中はAIG救済のニュースを好感して241円の上昇となった日経平均も、午後は伸び悩んだようで、結局前日比140円と前日の下落幅の2割しか戻すことが出来ませんでした。
 まあ、AIGを救済したところで、他にも経営が不安定な金融機関は、ワシントン・ミューチュアルを筆頭に、小さい地方銀行も含めればかなりありますし、AIG以外にも複数の外国の保険会社が財務内容を悪化させているだけに、値動きが慎重になってしまうのも致し方ないのかな…と思わなくもないのですが、それでも為替相場は対ドルで2円以上戻し、対ユーロでも3円近く戻しているのに、輸出株も回復の伸びが鈍いなんて、この値戻しの鈍さは一体何なんでしょう…。

 ちなみに、15時時点での為替レートは、対ドル円は前日比2円48銭円安の106円19―22銭、対ユーロ円は前日比3円02銭円安の150.72-150.75銭で推移しています。

AIGは結局救済、17日の日経平均午前終値は241円の上昇→11850円

2008-09-17 12:57:42 | Weblog
AIG救済へ9兆円融資 FRBが発表 2008年9月17日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917AT3K1700917092008.html
 米連邦準備理事会(FRB)は16日、経営難に陥っている米保険最大手、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に対し、ニューヨーク連邦準備銀行が850億ドル(約9兆円)を上限に融資することを承認した、と発表した。
 融資枠の設定は2年間。AIGの全資産を担保に融資する。米政府がAIGの79.9%の株式を取得。普通株と優先株の配当の支払いを拒否する権利を持つ。
 AIGは事実上、政府の管理下で再建を図ることになる。
 FRBは声明で「AIGの破綻は金融市場の不安定さを増し、経済活動を弱める可能性が高い」と指摘。AIG向けの融資は、米政府と納税者の利益を保護する条件を備えていると説明した。

日経平均反発、午前終値241円高 AIG救済を好感 2008年9月17日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917AT2D1700G17092008.html
 17日の東京株式市場は日経平均株価が反発した。前日に米株が上昇した流れを受け、銀行株など幅広い銘柄が買い戻された。午前の取引時間中に米連邦準備理事会(FRB)が米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)へ融資することを正式発表したのも好感され、日経平均の上げ幅は一時、250円を超えた。
 日経平均の午前の終値は前日比241円06銭(2.08%)高い1万1850円78銭。東京証券取引所第一部の午前の売買代金は概算で1兆599億円。



 で、一時前日比74%の下落率を記録し、1株1ドル25セントまで下落するなど、『今日中に資金投入が間に合わなければ、経営破綻も真剣に心配されていた』米保険最大手のAIGですが、民間主導でAIG救済のために700億―750億ドルの民間融資枠を創設するプランはやはり総スカンを食らったようで、結局17日の日本時間午前10時過ぎに、AIGの79.9%の株式を取得することを条件に、ニューヨーク連邦準備銀行が850億ドル(約9兆円)を上限に融資することを承認したと発表しました。
 まあ、AIGは世界最大手の保険会社ですし、万が一にもハードランディングなどした日には、世界中の資金供給の流れが詰まってしまうリスクがあり、また保険契約者に与える動揺もあまりにも大きく(なんでも、アリコジャパンの支社には保険契約を心配する電話が殺到していたそうです。なんでAIGの肩書きのついたAIGエジソン生命やAIGスター生命じゃなくアリコジャパンにより注目が集まったのか?…という疑問もあるんですけどね…)、もし法的整理の道を選んでいたら、問題はアメリカだけでは済まなかったでしょうし、これ以上の金融混乱を防ぐ意味でも私は正しい判断だったと思います。

 それにしても、今回のAIG救済で、ますます公的資金を投入するかどうかの判断基準がわかりにくくなってしまいましたね…。
 AIGは救済が決まりましたが、S&L最大手のワシントンミューチュアルは、モルガン・スタンレーが救済するかどうか次第でしょうし、もしこの救済話がまとまらなかった時には、ワシントンミューチュアルに公的資金を投入するかどうかは正直かなり微妙だと思いますが、その処理次第では、再び株価の下落材料にもなりかねませんし、AIG救済だけでアメリカの株価が安定すると楽観することなど、とてもそんな気にはなれないのが私の正直な印象です。

 一方の、17日の日経平均は、やはり前日に600円超下げたこともあり、朝方にいきなり250円近く上昇した直後、再び11750円を割り込む値動きの激しい展開でしたが、AIGの公的資金投入を素直に好感して、再び上昇に転じ一時11880円まで上昇し、午前の終値も前日比241円06銭高い1万1850円78銭で終了しました。
 こちらも、普通に考えるならば、午後からは高値安定…なのでしょうが、ヨーロッパ株式市場の動揺はあまりにも激しいですし、果たしてどうなるか…。午後からの値動きが気になりますね。

NYダウは141ドルの反発も欧州市場は続落、NY原油は一時90ドル半まで下落 ニュース7本

2008-09-17 12:42:11 | Weblog
NY株反発 ダウ141ドル高の1万1059ドル 2008年9月17日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917AT3L1700317092008.html
 16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発。前日比141ドル51セント高の1万1059ドル2セントで終えた。米ゴールドマン・サックスが大幅減益決算を発表したことやパソコン大手デルが事業環境の厳しさを指摘したことを受けて売りが先行したほか、米連邦準備理事会(FRB)が午後の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決めたことが失望につながり、売りが優勢となる場面があった。ただ、米政府やFRBによるアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の救済を巡る期待感などが広がると、金融株を中心に買い戻しの動きが広がった。前日にダウ平均は7年ぶりの下げ幅を記録しており、自律反発狙いの買いが入りやすかった面もある。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発。前日比27.99ポイント高の2207.90で終えた。

ゴールドマンの6―8月決算、70%減益 投資銀行部門など不振 2008年9月17日
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080916AT2M1605I16092008.html
毎日 http://mainichi.jp/select/biz/news/20080917k0000m020136000c.html
産経 http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080916/fnc0809162253037-n1.htm
 米証券大手ゴールドマン・サックスが16日発表した6―8月期決算は最終利益が8億4500万ドル(約880億円)と、前年同期比70%減少した。M&A(合併・買収)や証券引き受けなどの投資銀行業務、自己売買といった主力業務が落ち込んだ。破綻したリーマン・ブラザーズや身売りしたメリルリンチに比べて業界首位のゴールドマンの財務体質は強いが、金融市場の混乱で収益源が急速に細っている。
 事業会社の粗利益に相当する純営業収益は51%減少。落ち込み幅が最大だった市場取引部門では、エネルギー価格の低下で商品・為替取引が大幅に減少した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の長期化で、住宅ローン、商業用不動産ローンなどを担保にした証券化ビジネスで損失を抱えたのも響いた。
 世界中で資金調達やM&Aが減少し、投資銀行部門も40%減った。ただ、資産運用部門はヘッジファンド向け業務が好調で4%増えた。

モルガン・スタンレー、6―8月期7%減益 前倒しで決算発表 2008年9月17日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917AT2N1602917092008.html
 米大手証券モルガン・スタンレーは16日、当初17日に予定していた6―8月期決算を前倒しで発表した。純利益は14億ドルと前年同期比7%減少した。1株利益は1.32ドル(前年同期は1.44ドル)と市場予想平均の0.79ドルを大きく上回った。総収入から利払い費を引いた純収入は前年同期比1%増の80億ドル。

ロンドン株16日 178.6ポイント安の5025.6で終了 2008年9月17日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/market/20080916c9ASB7IIAA6160908.html
 16日のロンドン株式相場は大幅続落。FTSE百種総合株価指数は前日終値に比べ178.6ポイント安の5025.6で引けた。下落銘柄は88。
 金融システム不安の高まりを背景に、株価指数は一時、05年6月以来初めて5000ポイントを割り込んだ。
 米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の信用格付け引き下げを受けて、保険株が安い。オールド・ミューチュアルは7%近く、アヴィヴァも6%超下がった。
 銀行株も下落し、HBOSは22%近く、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)も10%超下がった。
 金属価格の下落を受けて、鉱業株は全面安。ロンミンは10%近く、アントファガスタとリオ・ティントはそれぞれ7%超売られた。
 原油相場の下落を背景に石油株も全面安。ケアン・エナジーは8%超、BPも3%超安い。
 一方、銀行のロイズTSBは、中国の銀行が株を買い増すとの観測から、2%超買われた。

ドイツ株16日 DAXは98ポイント安の5965 2008年9月17日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/market/20080916c9AS2R16012160908.html
 16日のフランクフルト株式相場は大幅続落。ドイツ株式指数(DAX)の終値は、前日比98.99ポイント安(1.63%下落)の5965.17だった。
 この日は金融関連株を中心に売りが広がり、寄り付きから6000ポイントを下回った。一時、下げ幅を縮める場面も見られたが、その後は伸び悩んだ。終値で6000ポイントを下回ったのは2006年10月3日以来。
 コメルツ銀行が12.2%と急落したのをはじめ、ポストバンクが8.1%、ドイツ取引所が4.9%と金融関連株は軒並み大幅下落。半導体のインフィニオン、タイヤ大手のコンチネンタルもさえなかった。
 一方、VWは9.4%と大幅上昇。ハイテクのSAPはアナリストによる投資評価引き上げから3.8%上昇した。流通のメトロ、ルフトハンザも高かった。

NY原油続落 10月物は91.15ドルで終了 2008年9月17日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917ATQ2INYPC17092008.html
 16日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は大幅続落。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の10月物は前日比4.56ドル安の1バレル91.15ドルで終えた。世界的な景気減速で、原油需要が減るとの見方が売りを促した。
 一時90.51ドルまで下げ、期近物として2月8日以来の安値を付けた。金融市場の混乱が実体経済に悪影響を及ぼすとの見方が売りを加速させた。この日の高値は94.32ドル。
 ガソリン、ヒーティングオイルは続落。

ドバイ原油、終値で90ドル割れ 8.8ドル安、下げ幅過去最大 2008年9月16日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080916AT1J1600G16092008.html
 アジアの原油市場の指標となる中東産ドバイ原油のスポット価格が16日急落し、11月渡しの終値は1バレル86.35ドルと7カ月ぶりの安値を付けた。10営業日連続の値下がり。1日の下げ幅は日本経済新聞社が1986年にデータをとり始めて以来、最大となる8.80ドルに達した。米大手証券の破綻などで景気減速感が強まるとしてニューヨーク原油先物相場が時間外取引で大幅安になったことに連動した。米国経済の悪化が波及し、アジアでの需要が減少するとの観測も下げ圧力となった。




 で、500ドルの急落直後のNY市場ですが、16日のNYダウは、証券会社の雄であるゴールドマンサックスの決算が黒字こそ維持したものの70%の大幅減益となったことや、AIGが大幅格下げで株価が急落(一時前日比3.51ドル(74%)も安い1.25ドルまで急落)したことで、取引開始直後に前日終値から174ドル81セント安い10742ドル70セントの水準まで下落しましたが、現地時間10時過ぎには11000ドル付近まで回復。その後はAIGに関する報道に一喜一憂する状態が続いていたのですが、現地時間14時15分のFOMC声明の発表直後に10800ドル付近まで下落。しかしその発表直後に『連銀が姿勢を変えている』という報道もあり、AIGに対する支援策が出る期待から、その後は再び急騰して最後は141ドル51セント高い11059ドル2セントで終了するという、実に値動きの激しい展開でした。
 まあ、前日の500ドルの下落の反動もあり、買いやすい水準まで下落したことも上昇に転じた理由の1つだと思いますが、ただ上昇した理由は『NY連銀が姿勢を変えて、AIGへの支援に乗り出す』という思惑そのもの。(結局日本時間17日10時ごろAIGへの公的資金投入を発表したわけですが…。)
 欧米株式市場は、英FTSE100 が前日比178.6ポイント安い5025.6、独DAXが98.99ポイント安い5965.17、仏CACが81.57ポイント安い4087.40、香港ハンセン指数が1052.29ポイント安い18300.61で続落するなど、下げが止まらない状況ですし、米国市場も、16日こそ141ドル高になったとはいえ、決して油断はできない状況だと思います。
 ちなみに、米証券2位のモルガンスタンレーも予定を1日前倒しして決算を発表。まあ、こちらは、米証券大手5社のうち3位から5位までの会社が市場から退出し、証券1位のGSの決算が大幅に悪化したこともあり、『発表を前倒ししないとへんな憶測を生みかねない』と慌てて発表を前倒ししたのだとは思いますが、それだけ今のアメリカの金融市場は個別の材料に神経質に反応していると言えるのではないでしょうか…。

 一方のNY原油は、世界経済の停滞が長期化、需要が減少するとの観測から売り注文が広がって大幅続落。指標となる米国産標準油種(WTI)10月渡しが、一時1バレル=90ドル台後半まで値下がりして、終値ベースでも前日比4.56ドル安い1バレル91.15ドルで終了しました。
 先行して始まったドバイ原油が、1日の下げ幅が8.80ドルとなる1バレル86.35ドルで終了していたこともあり、大幅下落そのものは予測していましたが、冷静に市場を見極めているというよりは、投機資金が逃げ出したことを実感してパニック売りになっているといった状況でしょうか…。
 原油価格が下げれば、インフレ懸念も抑えられることもあり、そのこと自体は大歓迎ですが、あまり急激に原油価格が下げれば、OPEC議長など、原油減産派が強く減産を迫ってきそうですし、こちらも少し心配な動きとなっています。

米、政策金利据え置き 「金融市場の緊張、著しく高まった」 他経済関連ニュース3本

2008-09-17 12:24:07 | Weblog
米、政策金利据え置き 「金融市場の緊張、著しく高まった」2008年9月17日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080916AT3K1601K16092008.html
 米連邦準備理事会(FRB)は16日開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行の年2.0%に据え置いた。議決メンバー全員が一致して据え置きに賛成した。FF金利の据え置き決定は6月、8月に続き3回連続。金融市場の動揺を受け利下げを促す観測が相次いでいたが、物価と景気の両にらみのスタンスを継続する。
 FRBが発表した声明は冒頭で「金融市場の緊張が著しく高まった」と指摘。先週末からの金融市場の混乱に懸念を示した。同時に失業率が6%を突破した労働市場については8月に「軟化」としていた表現を「弱まった」に変更した。
 経済成長について声明は「最近減速しているように見える。家計の支出が弱含んでいるのが一因」と指摘。金融市場の逼迫(ひっぱく)、住宅市場の縮小に加え、輸出の減速が向こう数四半期にわたり経済成長の制約要因になるとの見方を示した。

欧州中銀、10兆円追加資金供給 市場の動揺抑制へ 2008年9月17日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080916AT1C1600N16092008.html
 日米欧の中央銀行が米金融不安に伴う市場の動揺を抑えるため資金供給を強化している。欧州中央銀行(ECB)は16日午前、700億ユーロ(約10兆3000億円)の短期資金を緊急供給すると発表した。2日連続の資金供給で、銀行間取引金利の上昇抑制を狙う。英中央銀行のイングランド銀行も同日、ロンドン金融市場で200億ポンド(3兆7000億円強)の緊急資金供給を実施した。
 ECBは15日にも米連邦準備理事会(FRB)と歩調をあわせる形で300億ユーロを市場に供給したばかり。英中銀の緊急資金供給も2日連続で、資金供給額は前日の4倍に増やした。銀行間市場は信用不安から資金の出し手が細り、調達金利が前日から急上昇。16日のロンドン銀行間取引金利(LIBOR)はドル翌日物が6.44%と前日比3.33%上昇。リーマン破綻前の前週末と比べると4.29%も上昇した。英中銀は「翌日物金利が政策誘導目標水準に落ち着くよう必要な措置をとる。各国中銀と協調して市場動向を注視する」との声明を発表した。

日銀、2兆円を即日資金供給 2008年9月17日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917AT2C1700317092008.html
 日銀は17日午前、臨時で短期金融市場に2兆円を即日で供給する公開市場操作(オペ)を通知した。1回の供給額としては量的金融緩和政策を解除した2006年3月以降で最大規模。米大手証券リーマン・ブラザーズが経営破綻するなど世界的に金融不安が高まるなか、国内への影響を最小限に食い止めようと連日の大量資金供給に踏み切った。
 金融機関同士が資金をやりとりするコール市場で無担保の翌日物金利は17日午前、日銀の誘導目標(0.5%)を上回る0.55―0.70%程度で推移。流動性懸念を背景に、各金融機関は手元資金の確保に動いている。短期金利急上昇をけん制するため日銀は異例の大規模供給に踏み切った。市場では「安心感をもたらすには至らない」(短資会社)との声もある。
 日銀は16日にも、午前と午後に合計2兆5000億円の即日供給を実施していた。

AIG格下げ、広がる経営不安説…日本でも5社が事業展開 2008年9月17日 日経
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080916-OYT1T00698.htm
 米保険最大手AIGの経営不安説が急速に広がっている。
 ムーディーズ・インベスターズ・サービスはAIGの格付けを、2段階引き下げて「A2」に、スタンダード&プアーズも3段階引き下げて「Aマイナス」にした。格下げを受けて、AIG株は急落した。
 格下げで、AIGは担保の積み増しや保険契約の取り消しを迫られる公算が大きく、145億ドル(約1兆5000億円)の資金調達を迫られているという。世界130か国以上で、個人から企業を対象に幅広い保険関連業務を行うAIGが破綻すれば、世界の金融市場をさらに揺るがす。
 AIGの子会社で、シンガポールにあるAIAシンガポールには16日に、保険契約の解約を求める顧客が詰めかけた。シンガポール通貨監督庁(MAS)はホームページ上で「AIAは保険契約者の信頼に見合うだけの十分な資産がある」と冷静な対応を呼びかけているが、AIAのサービスセンターには、開店前から契約者の列ができ、6時間以上かかって手続きをする人もいた。
 一方、AIGは日本でも幅広く事業を展開している。
 AIGにとって日本は、米国に次ぐ有力市場だ。損害保険ではAIU保険とアメリカンホーム保険の2社、生命保険ではアリコジャパン、AIGスター生命、AIGエジソン生命の3社の計5社で事業展開している。国内の従業員数は合わせて約2万6000人と外資系保険では最大規模だ。
 生保は08年3月期の保険料収入で見ると、アリコが業界5位の1兆3478億円、3社合計では1兆9922億円。保有契約数はアリコが約689万件、3社全体では約1082万件に達する。仮に米AIGが破綻するような事態になれば日本の保険契約者にも影響が出る可能性がある。




 アメリカの政策金利ですが、前日リーマン・ブラザースが経営破綻したことで500ドルを超える下落幅を記録するなど、金融情勢の悪化が深刻になっていることから、市場では利下げ観測も高まっていた(市場では7割の方が利下げ予想)のですが、予想に反して? 全員一致の据え置きを決定したようですね。
 どうやら今回は欧州中央銀行が10兆円の追加資金を市場に供給し、NY連銀も約7兆3000億円の資金供給を発表し16日にも追加資金の投入を実施すると発表(日銀も2兆円を即日資金供給するなど追従)するなど
 まずは『金融市場を注視しつつ物価と景気を両睨みするほうが得策』と、『量的緩和手段で様子をみて、切り札の利下げカードを今切るのは見送ろう』と判断したようですが、声明文では『金融市場の緊張は著しく高まった』や『労働市場の弱さや輸出の減速』を指摘し、FOMCが必要に応じて早急な対応を見せることを示したようで、年内にはまだ何度も利下げのチャンスがあることや、緊急FOMCを開く可能性といった柔軟性もさりげなく示唆しながら、据え置きの姿勢を示したようです。

 もっとも、いくら量的緩和したところで、もう1社大きな金融会社が経営破綻すれば、再び株価が急落しそうですし、一番その経営破綻リスクが高いと思われたAIGは、ムーディーズが格付けを2段階引き下げて「A2」に、スタンダード&プアーズも3段階引き下げて「Aマイナス」にするなど、市場関係者も厳しい目を注ぎつつあり、そのAIGの株価は大手格付機関の格下げも嫌気して一時前日比74%の下落幅となる3.51ドル安い1.25ドルまで下落し、取引先金融機関が資金供給を見合わせる3ドルを割り込むなど、今度は資金繰りがまさに綱渡りになっているのが現実。(その後、日本時間17日10時頃AIGへの公的資金投入を発表しました)
 せめて、『緊急利下げの可能性』を示唆するなり、あるいは公的資金の投入基準なりを示すような発言くらいはあっても良かったと思うのですが、この判断は株価にとって吉と出るか、それとも凶と出るか…(汗
 たった半年間の間に大手証券会社の3番手から5番手まで3社も市場から退出した直後の定例FOMCだけに、この判断は歴史的な判断機会として後世にも語り継がれることになりそうな気がします。