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米、政策金利据え置き 「金融市場の緊張、著しく高まった」 他経済関連ニュース3本

2008-09-17 12:24:07 | Weblog
米、政策金利据え置き 「金融市場の緊張、著しく高まった」2008年9月17日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080916AT3K1601K16092008.html
 米連邦準備理事会(FRB)は16日開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行の年2.0%に据え置いた。議決メンバー全員が一致して据え置きに賛成した。FF金利の据え置き決定は6月、8月に続き3回連続。金融市場の動揺を受け利下げを促す観測が相次いでいたが、物価と景気の両にらみのスタンスを継続する。
 FRBが発表した声明は冒頭で「金融市場の緊張が著しく高まった」と指摘。先週末からの金融市場の混乱に懸念を示した。同時に失業率が6%を突破した労働市場については8月に「軟化」としていた表現を「弱まった」に変更した。
 経済成長について声明は「最近減速しているように見える。家計の支出が弱含んでいるのが一因」と指摘。金融市場の逼迫(ひっぱく)、住宅市場の縮小に加え、輸出の減速が向こう数四半期にわたり経済成長の制約要因になるとの見方を示した。

欧州中銀、10兆円追加資金供給 市場の動揺抑制へ 2008年9月17日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080916AT1C1600N16092008.html
 日米欧の中央銀行が米金融不安に伴う市場の動揺を抑えるため資金供給を強化している。欧州中央銀行(ECB)は16日午前、700億ユーロ(約10兆3000億円)の短期資金を緊急供給すると発表した。2日連続の資金供給で、銀行間取引金利の上昇抑制を狙う。英中央銀行のイングランド銀行も同日、ロンドン金融市場で200億ポンド(3兆7000億円強)の緊急資金供給を実施した。
 ECBは15日にも米連邦準備理事会(FRB)と歩調をあわせる形で300億ユーロを市場に供給したばかり。英中銀の緊急資金供給も2日連続で、資金供給額は前日の4倍に増やした。銀行間市場は信用不安から資金の出し手が細り、調達金利が前日から急上昇。16日のロンドン銀行間取引金利(LIBOR)はドル翌日物が6.44%と前日比3.33%上昇。リーマン破綻前の前週末と比べると4.29%も上昇した。英中銀は「翌日物金利が政策誘導目標水準に落ち着くよう必要な措置をとる。各国中銀と協調して市場動向を注視する」との声明を発表した。

日銀、2兆円を即日資金供給 2008年9月17日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080917AT2C1700317092008.html
 日銀は17日午前、臨時で短期金融市場に2兆円を即日で供給する公開市場操作(オペ)を通知した。1回の供給額としては量的金融緩和政策を解除した2006年3月以降で最大規模。米大手証券リーマン・ブラザーズが経営破綻するなど世界的に金融不安が高まるなか、国内への影響を最小限に食い止めようと連日の大量資金供給に踏み切った。
 金融機関同士が資金をやりとりするコール市場で無担保の翌日物金利は17日午前、日銀の誘導目標(0.5%)を上回る0.55―0.70%程度で推移。流動性懸念を背景に、各金融機関は手元資金の確保に動いている。短期金利急上昇をけん制するため日銀は異例の大規模供給に踏み切った。市場では「安心感をもたらすには至らない」(短資会社)との声もある。
 日銀は16日にも、午前と午後に合計2兆5000億円の即日供給を実施していた。

AIG格下げ、広がる経営不安説…日本でも5社が事業展開 2008年9月17日 日経
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080916-OYT1T00698.htm
 米保険最大手AIGの経営不安説が急速に広がっている。
 ムーディーズ・インベスターズ・サービスはAIGの格付けを、2段階引き下げて「A2」に、スタンダード&プアーズも3段階引き下げて「Aマイナス」にした。格下げを受けて、AIG株は急落した。
 格下げで、AIGは担保の積み増しや保険契約の取り消しを迫られる公算が大きく、145億ドル(約1兆5000億円)の資金調達を迫られているという。世界130か国以上で、個人から企業を対象に幅広い保険関連業務を行うAIGが破綻すれば、世界の金融市場をさらに揺るがす。
 AIGの子会社で、シンガポールにあるAIAシンガポールには16日に、保険契約の解約を求める顧客が詰めかけた。シンガポール通貨監督庁(MAS)はホームページ上で「AIAは保険契約者の信頼に見合うだけの十分な資産がある」と冷静な対応を呼びかけているが、AIAのサービスセンターには、開店前から契約者の列ができ、6時間以上かかって手続きをする人もいた。
 一方、AIGは日本でも幅広く事業を展開している。
 AIGにとって日本は、米国に次ぐ有力市場だ。損害保険ではAIU保険とアメリカンホーム保険の2社、生命保険ではアリコジャパン、AIGスター生命、AIGエジソン生命の3社の計5社で事業展開している。国内の従業員数は合わせて約2万6000人と外資系保険では最大規模だ。
 生保は08年3月期の保険料収入で見ると、アリコが業界5位の1兆3478億円、3社合計では1兆9922億円。保有契約数はアリコが約689万件、3社全体では約1082万件に達する。仮に米AIGが破綻するような事態になれば日本の保険契約者にも影響が出る可能性がある。




 アメリカの政策金利ですが、前日リーマン・ブラザースが経営破綻したことで500ドルを超える下落幅を記録するなど、金融情勢の悪化が深刻になっていることから、市場では利下げ観測も高まっていた(市場では7割の方が利下げ予想)のですが、予想に反して? 全員一致の据え置きを決定したようですね。
 どうやら今回は欧州中央銀行が10兆円の追加資金を市場に供給し、NY連銀も約7兆3000億円の資金供給を発表し16日にも追加資金の投入を実施すると発表(日銀も2兆円を即日資金供給するなど追従)するなど
 まずは『金融市場を注視しつつ物価と景気を両睨みするほうが得策』と、『量的緩和手段で様子をみて、切り札の利下げカードを今切るのは見送ろう』と判断したようですが、声明文では『金融市場の緊張は著しく高まった』や『労働市場の弱さや輸出の減速』を指摘し、FOMCが必要に応じて早急な対応を見せることを示したようで、年内にはまだ何度も利下げのチャンスがあることや、緊急FOMCを開く可能性といった柔軟性もさりげなく示唆しながら、据え置きの姿勢を示したようです。

 もっとも、いくら量的緩和したところで、もう1社大きな金融会社が経営破綻すれば、再び株価が急落しそうですし、一番その経営破綻リスクが高いと思われたAIGは、ムーディーズが格付けを2段階引き下げて「A2」に、スタンダード&プアーズも3段階引き下げて「Aマイナス」にするなど、市場関係者も厳しい目を注ぎつつあり、そのAIGの株価は大手格付機関の格下げも嫌気して一時前日比74%の下落幅となる3.51ドル安い1.25ドルまで下落し、取引先金融機関が資金供給を見合わせる3ドルを割り込むなど、今度は資金繰りがまさに綱渡りになっているのが現実。(その後、日本時間17日10時頃AIGへの公的資金投入を発表しました)
 せめて、『緊急利下げの可能性』を示唆するなり、あるいは公的資金の投入基準なりを示すような発言くらいはあっても良かったと思うのですが、この判断は株価にとって吉と出るか、それとも凶と出るか…(汗
 たった半年間の間に大手証券会社の3番手から5番手まで3社も市場から退出した直後の定例FOMCだけに、この判断は歴史的な判断機会として後世にも語り継がれることになりそうな気がします。


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