(夕刊フジより)
民主党の小沢一郎幹事長(67)をめぐる政治資金規正法違反事件で、検察審査会(検審)が全員一致で「起訴相当」の判断を下した。民主党が連呼してきた「国民目線」によって、「絶対権力者」が強制起訴に向け追いつめられる図式だ。小沢氏は早々に“居座り宣言”を行ったが、参院選に与える打撃は計り知れないだけに、「辞めろ」コールは強まるばかり。こうした中、小沢氏に近い関係者からは窮余の“鳩山生け贄論”まで飛び出してきた。
「意外な結果で驚いている。何もやましいことはしていないので、与えられた職務を淡々とこなしていく」
小沢氏は27日夜、党本部で緊急記者会見を行い、幹事長続投を表明した。
「政府以上に日ごろ国民に接している」と豪語し、民意をくみ取るアンテナの高さを誇示していた小沢氏だけに、検審の議決要旨に「(小沢氏の供述は)極めて不合理、不自然で信用できない」、「市民目線からは許し難い」との厳しい文言が並んだのをどう受け止めたのか。
党幹部は「悪くても不起訴不当だと思っていた。想定外だ」と明かす。実際、小沢氏は27日夕、党のイベントと大阪府の橋下徹知事との会談をドタキャンした。
それはともかく、今後の流れについて司法関係者はこう解説する。
「東京地検特捜部が再捜査し、3カ月以内に結論を出す。検審の議決を受け、特捜部が強制捜査に踏み切る可能性もあるが、仮にまた不起訴処分になった場合は、再び検審にかけられる。今回の審査員のうち5人は残るので、単純計算して、新しく選ばれる6人のうち3人が起訴相当と判断すれば、弁護士により強制起訴される。これを踏まえて政局は動く」
それだけに、民主党中堅議員は「国民を敵に回してしまっている。支持率は10%以下になるんじゃないか。森内閣の足音が聞こえてくるようだ。このままでは参院選は大敗だ」と嘆き、民主党関係者は「連休中に地元に帰った議員は有権者の突き上げを食らう。世論のお墨付きを得て、小沢氏辞任論が盛り上がる」と話す。
実際、渡部恒三元衆院副議長は「民の声は天の声だ。重く、重く受け止めなければならない。政権与党の代表である鳩山由紀夫君が決断することだ」と述べ、首相に小沢氏更迭を要求。生方幸夫副幹事長も「国民の声を受けて、幹事長職をお辞めになるのが第一歩だ」と指摘した。
閣僚からも厳しい声があがった。
枝野幸男行政刷新相は「数日のうちにいろんな動きが出るだろう」と不気味な予告を行い、前原誠司国交相は48歳の誕生日会に民主党国会議員約50人を集め、「権力の座にある者は謙虚に節度を持って、心しなければならない」と、小沢氏をあてこするようなあいさつをした。
側近からも「選挙への影響を心配せざるを得ない」(石井一選対委員長)と危機感が漏れている。
当の小沢氏は記者会見後、側近議員数人と秘書を伴い、東京・赤坂のなじみの居酒屋「日本海庄や」で杯を傾けた。代表だった昨年3月、西松建設事件で秘書が起訴され、続投記者会見をした際にも訪れた店だ。そのときは、連休明けの5月11日、総選挙への影響を回避するため、代表を辞任した。若手議員は「デジャヴだ。また辞めるのでは」とつぶやいた。
しかし、今回に限っては「絶対絶命のピンチだけに、辞任はしない」(周辺)との声が強い。周辺は語る。
「前回は総選挙で勝てばすぐ復権できた。しかし、今回は辞めれば政治生命が終わる。参院選で仮に与党が過半数割れになっても、他から引っ張れるのは自分だけだと思っている」
小沢氏が政治の師と仰いだ金丸信・自民党元副総裁が、東京佐川急便側から5億円のヤミ献金を受け取った問題で、辞任→議員辞職→脱税事件で逮捕、起訴となったことを背景に、「金丸氏の件がトラウマになっている。権力という鎧がなくなれば、なにをされるか分からない。これを極端に恐れている」(民主党関係者)と解説する向きもある。
実際、正面突破の予兆は、「起訴相当」の議決前からあった。ある側近は「人が死んだわけじゃないのに、素人が起訴とか決めていいのか、と書いたほうが新聞が売れるよ」と話し、民主党関係者も「先週、小沢氏側近が『検審はケシカラン。国会に見直し法案を出す』と騒いでいた」と証言する。
こうした中、浮上しているのが「鳩山生け贄論」だ。小沢氏に近い党関係者は「普天間問題で鳩山首相を退陣させれば、自然に幹事長を辞めることができる。そして、自らの意向に沿った人物を新首相や幹事長に据え、裏で権勢をふるう。これなら、通常の人事だと強弁できる」と解説する。
一方、政治アナリストの伊藤惇夫氏も「鳩山政権に期待感がなくなっており、小沢氏が辞めても、支持率は回復せず、民主党が参院単独過半数が取れないことに変わりはない。小沢氏はすでに参院選後を見据えている。民主党はもう国民目線ではなく党内目線。党の力学からして、当分辞任はしない」と話している。
民主党の小沢一郎幹事長(67)をめぐる政治資金規正法違反事件で、検察審査会(検審)が全員一致で「起訴相当」の判断を下した。民主党が連呼してきた「国民目線」によって、「絶対権力者」が強制起訴に向け追いつめられる図式だ。小沢氏は早々に“居座り宣言”を行ったが、参院選に与える打撃は計り知れないだけに、「辞めろ」コールは強まるばかり。こうした中、小沢氏に近い関係者からは窮余の“鳩山生け贄論”まで飛び出してきた。
「意外な結果で驚いている。何もやましいことはしていないので、与えられた職務を淡々とこなしていく」
小沢氏は27日夜、党本部で緊急記者会見を行い、幹事長続投を表明した。
「政府以上に日ごろ国民に接している」と豪語し、民意をくみ取るアンテナの高さを誇示していた小沢氏だけに、検審の議決要旨に「(小沢氏の供述は)極めて不合理、不自然で信用できない」、「市民目線からは許し難い」との厳しい文言が並んだのをどう受け止めたのか。
党幹部は「悪くても不起訴不当だと思っていた。想定外だ」と明かす。実際、小沢氏は27日夕、党のイベントと大阪府の橋下徹知事との会談をドタキャンした。
それはともかく、今後の流れについて司法関係者はこう解説する。
「東京地検特捜部が再捜査し、3カ月以内に結論を出す。検審の議決を受け、特捜部が強制捜査に踏み切る可能性もあるが、仮にまた不起訴処分になった場合は、再び検審にかけられる。今回の審査員のうち5人は残るので、単純計算して、新しく選ばれる6人のうち3人が起訴相当と判断すれば、弁護士により強制起訴される。これを踏まえて政局は動く」
それだけに、民主党中堅議員は「国民を敵に回してしまっている。支持率は10%以下になるんじゃないか。森内閣の足音が聞こえてくるようだ。このままでは参院選は大敗だ」と嘆き、民主党関係者は「連休中に地元に帰った議員は有権者の突き上げを食らう。世論のお墨付きを得て、小沢氏辞任論が盛り上がる」と話す。
実際、渡部恒三元衆院副議長は「民の声は天の声だ。重く、重く受け止めなければならない。政権与党の代表である鳩山由紀夫君が決断することだ」と述べ、首相に小沢氏更迭を要求。生方幸夫副幹事長も「国民の声を受けて、幹事長職をお辞めになるのが第一歩だ」と指摘した。
閣僚からも厳しい声があがった。
枝野幸男行政刷新相は「数日のうちにいろんな動きが出るだろう」と不気味な予告を行い、前原誠司国交相は48歳の誕生日会に民主党国会議員約50人を集め、「権力の座にある者は謙虚に節度を持って、心しなければならない」と、小沢氏をあてこするようなあいさつをした。
側近からも「選挙への影響を心配せざるを得ない」(石井一選対委員長)と危機感が漏れている。
当の小沢氏は記者会見後、側近議員数人と秘書を伴い、東京・赤坂のなじみの居酒屋「日本海庄や」で杯を傾けた。代表だった昨年3月、西松建設事件で秘書が起訴され、続投記者会見をした際にも訪れた店だ。そのときは、連休明けの5月11日、総選挙への影響を回避するため、代表を辞任した。若手議員は「デジャヴだ。また辞めるのでは」とつぶやいた。
しかし、今回に限っては「絶対絶命のピンチだけに、辞任はしない」(周辺)との声が強い。周辺は語る。
「前回は総選挙で勝てばすぐ復権できた。しかし、今回は辞めれば政治生命が終わる。参院選で仮に与党が過半数割れになっても、他から引っ張れるのは自分だけだと思っている」
小沢氏が政治の師と仰いだ金丸信・自民党元副総裁が、東京佐川急便側から5億円のヤミ献金を受け取った問題で、辞任→議員辞職→脱税事件で逮捕、起訴となったことを背景に、「金丸氏の件がトラウマになっている。権力という鎧がなくなれば、なにをされるか分からない。これを極端に恐れている」(民主党関係者)と解説する向きもある。
実際、正面突破の予兆は、「起訴相当」の議決前からあった。ある側近は「人が死んだわけじゃないのに、素人が起訴とか決めていいのか、と書いたほうが新聞が売れるよ」と話し、民主党関係者も「先週、小沢氏側近が『検審はケシカラン。国会に見直し法案を出す』と騒いでいた」と証言する。
こうした中、浮上しているのが「鳩山生け贄論」だ。小沢氏に近い党関係者は「普天間問題で鳩山首相を退陣させれば、自然に幹事長を辞めることができる。そして、自らの意向に沿った人物を新首相や幹事長に据え、裏で権勢をふるう。これなら、通常の人事だと強弁できる」と解説する。
一方、政治アナリストの伊藤惇夫氏も「鳩山政権に期待感がなくなっており、小沢氏が辞めても、支持率は回復せず、民主党が参院単独過半数が取れないことに変わりはない。小沢氏はすでに参院選後を見据えている。民主党はもう国民目線ではなく党内目線。党の力学からして、当分辞任はしない」と話している。