学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

『山上宗二記』を読む

2009-04-20 06:58:11 | 読書感想
先日紹介した桑原忠親著『茶の湯の歴史』を読み終えてから、文中にさかんに取り上げられている『山上宗二記』に興味がわいてきて、早速読んで見ました。

茶の湯の起こり、名物の茶器の所有者と名の由来などが書かれています。事前に『茶の湯の歴史』を読んでおおよその内容についてわかっているので、すらすらと読めました。

茶器について、おや、と思いつること。たびたび「惣見院殿御代に火に入り失い申し候」と出てきます。「惣見院」とは織田信長のこと、「火に入り」つまり本能寺の変で失ったとの記述です。織田信長が茶器を大変好んで集めていたと聞いたことがありましたが、相当良い茶器を所有していたようです。果たして本能寺で焼けたのか、あるいは一連の関係で安土城とともに焼けたのかはわかりませんが、惜しいことをしたものだと思いました。

『山上宗二記』には「身の盛んなるは二十年」の文章があり、なかなか人生訓も見られて面白いものがあります。しばらく繰り返し読みふけりそうです(笑)


●『山上宗二記 付 茶話指月集』(熊倉功夫校注 岩波文庫)
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展示には個性

2009-04-19 18:39:43 | 仕事
今、私の仕事は展覧会の展示作品レイアウトを作成することに終始しています。いかに作品をよく見せられるかが重要になるわけですが、展示レイアウトには学芸員の個性が強く出てきます。

私の場合…「おとなしい」らしいです(苦笑)

展示レイアウトについて、益子の陶芸家濱田庄司が著書『無盡蔵』(むじんぞう)で以下のことを述べています。柳宗悦、芹澤介、河井寛次郎の手がけた作品の配置について。

柳…「品物が黙って、しかし生き生きとした表情で呼びかける」
芹澤…「展示品同士のつつましいささやきが聞こえる」
河井…「いつでも品物は声をあげて悦び」

それぞれの性格を表わすようで、とても興味深いですね。

私は「おとなしい」わけですが、それがいいのか、悪いのか。学芸員であるからには、展示のテーマに沿うよう臨機応変に展示するべきなのでしょう。

作品の持つ個性をいかに引き出せるか、展示レイアウト頑張りたいと思います!
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記憶の定着

2009-04-18 18:12:33 | 仕事
今日は休みは一日中、民藝関係の本を読み漁っていました。何べんも読んだはずなのに、忘れている事柄があったりして、どうしてこんなに記憶力が悪いのかと少々げんなり。

誰だったか、本の内容を最初から最後まで覚えようとすることは、いつまでも食べ物を胃の中に留めておくようなものだという言葉を述べた人がありました。本の内容をいつまでも完璧に覚えることなど不可能という話。この言葉が救い…かな?

…それが誰の言葉だったか忘れるほど、やはり私の記憶は悪いのです(苦笑)

博物学者南方熊楠には、かつて書店で読んだ本の内容を家に帰って記録し続けたというエピソードがありますが、私のような記憶力の悪い人には反復による記憶の定着が必須。やはり夜はまだ長し。しっかりと学びたいと思います。
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いよいよ花粉症も止み

2009-04-17 19:38:48 | その他
ひどかった花粉症も、ようやく治まってきました。いつも鼻をかんでばかりで、鼻先が赤くなっていた私ですが、ようやくそれも治りそうです(笑)

花粉症で一番つらかったのは、読書に集中できなかったこと。これで思う存分に本を読むことができます。

さきほど、早速本を読もうと本棚へ行くと、はるかそびえる本の塔に圧倒されて、ちょっとひるむ私。いざ本が読みたくなると、何を読んだらいいのかわからなくなるのですよね。

夜は長し。これからゆっくりと本を選んで、紅茶でも飲みながら優雅に読書にふけりたいと思います(笑)
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雨音を聞きながら

2009-04-16 20:30:23 | その他
夜から雨になり、今は雷鳴とどろくほど荒れ模様の天気です。

雨の夜、というのは私は好きで、しとしとと降る雨音を聞いていると、自然にまぶたが重くなって、いつしか眠り込んでしまうのです。

話を少し巻き戻して、昨夜かすかながらに蛙の鳴き声を聞いたような気がしました。夢うつつ、といってしまってはおしまいですが、ああ、だいぶ暖かくなったのだなと思います。

桜は散りて、しだいにツツジやホオの花が咲き始めています。季節は移り変わり、そのうち新緑の季節になるのでしょう。さわやか初夏が待ち遠しいものです。
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田園風景を駆け抜けて

2009-04-15 21:07:53 | 仕事
2日連続の出張です。今日は作品借用先へご挨拶です。

そこは、とある町。周りには田園風景が広がり、ときどき電車がガタゴトとのんびり音をたてて走る町。都会の喧騒から離れ、静かに毎日が過ぎるような町。私の好きな町の1つです。

肝心の交渉の結果は、作品借用可とのことで、私はほっと一安心。

とても天気がよかったので、車のミラーを開けて、また田園風景を駆け巡る。気持ちのよい風が車内をまわって、私は少し幸せな気分!

明日も良いことがありますように!
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作品は100号から

2009-04-14 21:00:08 | 仕事
先日、美術館にぜひ作品を寄贈したいとの申し入れを受け、本日調査に行ってきました。作品は100号の大きな作品が50点!!ひたすら作品を運んだり、一点一点チェックしていく作業を繰り返しました。

作品は油絵で、額装もされておりませんでしたので、本当に間近に見るかたちです。美術館で絵を展示する場合とは、また違う関わり方です。表面のガラスなり、アクリルなりを通して絵を見るのとは、当たり前のことですが、全く異なり、絵が息をしているようなそんな感覚を感じました。

美術館へ戻ってきて、報告書を作っていると、どっと体が重くなり!家へ帰ってから、今度はまぶたが重くなり…。

明日もまた出張です。緊張が続きますが、明日もまた頑張ります!!
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春、陽気

2009-04-13 18:45:56 | その他
朝からとても天気の良い一日。桜もまだ微かに残っていて、あいも変わらず朝早く起床した私は、また戸外の散歩で花見を楽しんできました。

家に帰ってからは、図録の原稿を書いたり、のんびりと本を読んで見たり、とかくゆっくりと時間の流れる一日でした。

近頃、また本を読み出すようになって先日紹介した『茶道の歴史』は読み終わり、今は再び丸谷才一さんのエッセイを読んでいます。丸谷さんのエッセイを読むと、小説に対する考え方、いえ、それ以上に物事に対するの考え方まで変わるような気がして、私は好きなのです。

明日からまた仕事。しっかり休養できたところで、明日からまた頑張ります!
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やはり止まぬ花粉症

2009-04-12 21:52:58 | その他
「これはヒノキの花粉に間違いないよ」と症状を断言したのは、医者でもない美術館のスタッフの言葉です。ここ数日、どうも花粉症がひどくて、頼みのアロエヨーグルトも全く効かず、私は寝苦しい毎日を送っている次第なのです。

花粉症がひどいと何をするのにも集中できずに、とにかく苦痛でたまりません。それでも常に学ばなくてはならない身のつらさ!ちょっと大げさすぎましたか(笑)

最近読み始めた本は『茶道の歴史』(桑田忠親著、講談社学術文庫)。読むきっかけは、先日お茶会に出席して知識のなさに大恥をかいたから…。恥をかいて人は学ぶとは申しますが、そう申しましても、なるべく恥はかきたくないのが人間の性分というものです(苦笑)桑田さんの著書はとても読みやすいのがなによりの特徴で、この本も口語体で書かれていますので、なんだか目の前で桑田さんが私ごときのために茶道の歴史を語ってくださっているような感覚を与えてくれるのです。

これから花粉症と闘いながら、『茶道の歴史』を読むことにいたします。それではおやすみなさい。
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陶器の肌触り

2009-04-11 20:36:40 | その他
「良かったらさわってみてもいいよ。」と主人。

今日、私はとある方から幻の陶器を見せていただきました。「幻」では、あまりにも抽象的過ぎますが、著名な陶芸家2人のコラボレーションによる陶器なのです。陶器でコラボレーションとはなんぞや?主人によれば、この陶器は1人が轆轤で器を作り、もう1人が絵付けをしたというものだそうです。

私はその著名な陶芸家の名前よりも、むしろその陶器の色合いにとても惹かれていました。なんといえばいい色合いなのか。土の香りがしそうなごつごつした地肌にきわめて薄い水の色の釉薬がかけられているのです。陶器でこんな色が出せたのかと思わず、感動でうっとり。

そんな私の姿を見た主人が「さわってみてもいいよ」とのこと。私は陶器、それは徳利でしたが、両手で包むように触れてみました。少しひやっとした感じ、それがだんだん温かくなって来る。予想通りのごつごつした地肌。なんと美しいことか。

今でも手に残るあの感触。ああ、今日はとてもよい一日でした!!
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