学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

過去の図録

2018-10-15 22:16:43 | 仕事
おおよそ、どの美術館でも企画展を開催すると、図録を制作して販売します。図録とは、一般のお客様にとって、展覧会を見た記念として、あるいは家でゆっくりと図版を見たいときに購入されるものでしょう。一方、学芸員にとっては、企画展を担当された学芸員の文章が読めるのと、どんな作品が展示されたのか(または、どこから借用されたものなのか)を図版で追えるので、とても勉強になりますし、のちの調査にとって欠かすことのできないものです。

学芸員は企画展を立ち上げる前段階として、作品や資料の現物にあたるとともに、過去の図録をたどって調査を進めていくわけです。が、過去の図録というのはなかなかどうして手に入りにくい。というのも一般の書店で扱っているものではないためです(まれに出版社と共同で刊行する図録もあります)。そこで頼みの綱が図書館。無料で見られますし、時間をかけて調べられる。けれど、どうしても個人的に手元へ置いておきたい図録もあるもの。その場合には、当然のことながら購入となります。私は主に「日本の古本屋」サイト、またはアマゾンで追っていきます。便利な時代になったものですね。それで大抵が手に入りますが、図録にもプレミアムのような値段が付いているものがあって、これがなかなか個人の財布にはつらい。以前、購入したもので最も高かったのは7,000円。これは自分への投資と思って、納得させるしかなかった(笑)また、図録を格安で買うなら、ブックオフ。ただし、買いたいと思う図録が必ずしも店頭に並んでいるわけではないので、これは偶然の出会いに期待するしかない。

と、図録について書いてきたわけだけれど、ときどきショックなことがあります。それは自分が担当した図録が古書店で売られているのを見かけたとき。本だから色々な事情で古書になる、それはわかっているけれども、汗水流して作った図録が持ち主の用をなさなくなって古書になったと想像すると、ちょっぴり悲しかったりするのです。仕方のないことですけれどもね。これからもしっかり気持ちを込めて、図録を作っていきたいと思います。
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