毎月、横浜の三須さんから「いっとうぷらざ」を
送ってもらっている。これは安岡先生の「師と友」の
巻頭言を中心に編集してある私の愛読書になっています
今回、今の日本に「痛棒!」をならすものがありました
昭和29年11月1日発行61号
チャーチル首相の演説
10月9日北部イングランドのブラックプールで開かれた
保守党大会で、チャーチルの行った演説は我々日本人も
慎思熟慮すべき重大な性質のものである。
この書き出しから始まる、長くなるので抜粋します。
1、我々の政策は「力に依る平和」であり、我々は
意識的にも無意識的にも「弱さに因る服従」という
危険を冒してはならない。
2、我々の力は自由諸国の団結と注意と警戒との上にのみ
発見され得る。
3、自分は心身の全力を傾けて、何等かソ連との平和的共存の
体制を作り出す企てを続ける心意である。
これこそ彼の肺肝を絞った声であることは疑いない。
ヨーロッパから舞台をアジアに廻せば、そのまま亦通用する
ばかりでなく、共産勢力には中共という大物が加わり
自由諸国は甚だ不安定で不統一である。
そして日本人の多くは
1、平和ということを、実はそういう睨みあいの平和ではなく
友好的平和と甘く錯覚して居る。
2、意識的にせよ、無意識的にせよ、チャーチルの言う通り
「弱さによる服従」は、「我々の有名な美しい島」をも
「死と荒廃との運命に陥れる」。
3、アメリカを始め、自由諸国相互の団結について
頗る遺憾が多い。
4、共産勢力が注文通り政策を転換することは座して
待っていては勿論だめである。「力による転換」しかない。
力とは武力だけではない、むしろより多く精神力、団結力
経済力を要する。
5、忍耐とは無為に日を潰すことではない。もし忍耐と称して
実は「弱さによる忌避」にすぎぬならば、結局数年を
経ずして共産勢力による日本の死と荒廃である。
日本の首相や外相は一体何をして居るのであるか。
国民の有識者はどう覚悟して居るのであるか。
安岡先生、56年前に書かれたものとは思えぬくらい
今の日本への一大痛棒である。