細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『見知らぬ訪問者』で覗かれる他人の話しと実生活の違い。

2020年08月15日 | Weblog
●8月14日(金)21-00 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-135『見知らぬ訪問者』"Phone Call From a Stranger" (1952) Twenties Century Fox Film Studios.
監督・ジーン・ネグレスコ 主演・ベティ・デイビス、ゲイリー・メリル (スタンダード・B&W・96分)コスミック出版
本邦未公開のフォックス映画で、丁度あの「百万長者と結婚する方法」で、ハリウッドに映画革命の起こった時代の、ネグレスコ監督の埋蔵作品だ。
当時は「イヴの総て」のオスカー受賞で実力ナンバーワンのベティ・デイビスが、実際のダンナのゲイリーを主人公にして製作した一種のオムニバス映画。
天候不順の夜行フライトに乗り合わせた乗客のゲイリーは、カミサンと別れて西海岸へ向かうが、途中で給油していた休憩所で数人の同乗客と雑談していた。
ところが飛行機は墜落して、九死に一生の彼は、亡くなった同乗の知人たちの遺族に、見舞いのためにそれぞれの自宅を訪問して、遺族に直前の話しをする。
という、あの50年代には、まだケイタイもメールもなく、彼はロサンゼルスの彼らの自宅を訪ねると、対面した遺族は聞いていた印象とは、まるで違っていた。
まさにあの<リーダーズ・ダイジェスト>が中心だった時代にありがちの、ショート・ストーリーの、リアルライフのスケッチが徐々に解明されていく、というドラマ。
ゲイリーは、同乗者だったシェリー・ウィンタース、キーナン・ウィン達の遺族に逢うのだが、話しをすると、聞いていた状況とは違って、一様に冷たいのだった。
とうとう最後に饒舌だったキーナンの遺族を訪ねると、未亡人のベティ・デイビスは足が悪くてベッドに寝たきりの状態で・・・という現実はまったくに悲惨なのだった。
そのテレビ的な<訪問エピソード>を、まさにあの<尋ね人>の番組のように展開していくという、あの「三人の妻への手紙」のようなスタイルの作品。
いかにもシネスコ革命以前の、ハリウッド・メロドラマの典型といえばそれっきりなのだが、この<クソ・コロナ>の最中に見ると、ハートにやさしさが懐かしく心地いい。

■ショートの股間を抜けたゴロが転々と左中間のツーベース。 ★★★☆☆
●コスミック出版、DVDセット「名優が演じる陰謀の世界」より。

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