不定形な文字が空を這う路地裏

在りもしない蝶々





緩やかに探るような
口笛から次第に気を騒がせる、上昇気流に形を変える
飛行機雲の様に性急に無軌道に、よく晴れた空の真下、呪文みたく繰り返す信念とやらはとっくの昔に骸骨に似た気の利かない在り様さ
枯れてもなおフェンスにしがみつく名も知らぬ植物の蔓、お前の意地は官能的だ、もしもお前が淑女の皮を被った慰安婦なら
俺は札束をいくら注ぎ込んだって構わない
土にすら返れないお前の行く末を愛してる
ごうごうと猛々しく吹きすさぶ風は、溜めるだけ溜めた挙句弾けた誰かの泣声みたいで、だからこそ俺はこんなにも凍えてしまうのだ
今なら大丈夫、木々の枝の強情な葉脈の青が騒ぐのに乗じて
漂流の理由をいっぱしの歌人みたいに叫んで見せようぜ、彼方の岸の
誰かに届いたらいいななんて甘い夢を見ながら
ねえ、俺はろくでなしでどうしようもないほど気の利かないことばかりしているけれど
自分が前を向いているのか後ろを向いているのかぐらいのことは心得てるつもりだぜ、タイムズ・スクエアでバスの停留所にもたれてる誰かさんよりもはっきりと
行く先について懇々と語る事が出来る
エンジンでは辿り着けない不埒なプレイスが大好き、そこに行く為だったらどんな無作法に値踏みされたって別に構わない
そんなこと俺にはまるで関係の無いことだから
たまに捨てたもんじゃないって思わせてくれる何かがあるのなら、透明だろうが混迷だろうが、存在の定義は必要としないよ
息をする幽霊、そんなものでも結構だ、俺が欲しいのはもったいぶった表紙じゃなくて歩いた分に相応の内容なんだから
俺のことが判るかい、自分から決して話し始めたりしない俺のことが
呆然とした現実の中で在りもしない蝶々の羽音を聴いている俺のことが、それは現実だ、それは現実だ、それは現実だと言ったら
お前は腹を抱えて誰かのアイロニーを持ち出すんだろう
つきあってる暇は無い、羽根が何処に向かうのか
俺はずっと見ていなければならないのだから

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