不定形な文字が空を這う路地裏

頭上のブルース・それから魅惑のチリ・ドッグ









あかさたなに変換しきれない
片言のブルースが張り付いた雨の日
サディスティック・ピンクのソーセージが
腹の中で居心地悪そうに座り直した午後
ここらあたりにゃ詩情ってもんがなくって
それの固まりみたいな俺は軋む椅子の上で欠伸を連発している
その欠伸に煽られたみたいに
遙か頭上でヘリコプターがローターの唸りを轟かせる
あれは天変地異を警戒しているのさ
あれは天変地異を警戒しているんだ
見張ってればなんとか生き残れるって
そう信じてる奴らが大勢居るってことだ
少し開けた窓からこっそり鼓膜を訪ねてくる奴らどもは
「この世は全くなんの変哲もない」って
合言葉みたいに鳴るんだ
なんと答えたらよいのか俺には分からない
だって俺自身も似たようなことを今し方呟いたからさ
片言のブルースに誰か
気の利いた3連のバッキングをお願い
それさえあれば片言も味ってもんだから
分かるだろ、すべてのインスピレーションは
そうやって少しづつ伸びしろを広げてきたのさ
俺は決して良いことだとは思わないけど
そのまま定着しちまえばスタイルってもんにもなれるかもしれないしね
なあ、ヘリコプターどこ行った?いつのまにかなにも聞こえなくなっちまった
片言のブルースだけが窓辺で駄目な探偵みたいに惚けてる
ああ、ああ、誰か、あいつを上手に踊らせてやっておくれよ、全く気の毒で見ちゃいられない
そして俺はまた欠伸をする、まったくここには詩情なんてもんは欠片もなくってよ、俺のブルースなんて片言にもなれやしないんだ
カウントをとったってだあれも足を鳴らしたりしない
場を間違えた役者のように俺は黙って引っ込むだけさ
ふわわ、まったくなんの変哲もありゃしねえな
ヘリコプターでもまたやってこないかな、バリバリバリバリゴキゲンな音立てて、ヘイヨー、頭上のブルースだ
ワン、トゥー、スリー、フォー
歌って見せろよブルースマン、シャバドゥビ・ドゥビダ、まるでトロント・フェスみたいにさ
シャバドゥビ・ドゥビダ、俺はイカしたブルースが聴きたい、しゃれたコードに詩情を塗り込みたい
ああ、ああ、まったくなんの変哲もありゃしない
ああ、ああ、全くブルースなんてどこにもない
戯言を言うのはだらけた時間を早送りしたいからさ
家に帰りゃやることはそこそこあるんだ
空がまた暗くなる、帰る頃には止んでくれりゃあいいけどね
三月の予定のためにどうしても、今日中に済ましておきたいことがあるんだ
こんなざまじゃ腹ン中のソーセージだって納得しちゃくれないぜ
痺れた足を組みかえて、長くながぁく息をした、飛び込んだのは湿った空気……


なあ、明日の天気の当てっこしようぜ、飛びきり辛いチリ・ドッグを食いたいから

夕方まではずっと雲を眺めていることにするよ

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