hokutoのきまぐれ散歩

ブログも12年目、4000日に到達。ネタ探しはきついけどまだまだ毎日更新を続けるつもりです。

『神護寺展』をギリギリで見に行く

2024-09-09 05:00:00 | 日記
毎日暑い日が続いているが、いつの間にか9月に入っている。東京上野にある国立博物館平成館では9月8日まで『神護寺〜空海と真言密教のはじまり』と題した展覧会が行われていた。行こうとは思っていたが、旅行などもあり、ようやく都合を付けて9月7日に行くことができた。



先輩が、最近行ったと話していてそれによるとかなり混んでいたよと言われて、ネットでチケットを購入(初めてではなく、2回目)した。これが功を奏し、チケット売り場の長蛇の列を尻目に入場できたのが午後3時。入口には幸い列もない。



今回の展覧会は神護寺創建1200年、空海生誕1250年を記念したものでこの資金を使い、梵鐘を守る鐘楼堂柿葺屋根の修繕を行うとのこと。とにかく本尊の薬師如来立像(国宝、平安時代)が寺外公開されるのは初めてのことである。神護寺は和気清麻呂が781年国家安泰を祈念して神願寺を造営。山城に同時期に私寺として高雄山寺を建立した。これが824年に合併して作られたのが神護寺(神護国祚真言寺)である。空海が809年に日本に戻り、中々京の都にはいれなかった。許され、招かれたのが高雄山寺である。
神護寺は平安末期には2度の火災などにより荒れ果てたが、12世紀に文覚上人がこれを再興した。

会場に入るとまずは空海の像(鎌倉時代)が迎えてくれる。さらに奥に行くと数々の経典や公文書があるが、人も多く、読めないのですこしみるだけ。他の人は熱心に見ていたが、こうした書面をわかる人が何人いるのだろう。

ただ、真ん中に置かれた空海が唐より持ち帰った3種の法具(金剛板、五鈷杵、五鈷鈴)はかなり興味深く見る。その後この法具が基礎となり全国の寺に置かれたのであるから。

また、空海の手による金剛般若経や性霊集など興味深いものもあったが、人が多すぎてゆっくりと見るには至らない。赤い衣服をした弘法大師像は素晴らしかった。
前半の目玉は両界曼荼羅図(後期は金剛界)、もちろんかなり大きい。元は紫色で書かれていたらしいが、ほぼ真っ黒。ようやく単眼鏡で目を凝らし、見える程度。やはり古い字は當麻寺同様よく見えない。

教科書でお馴染みの伝源頼朝像を始めとする肖像画が並ぶが、本物は前半だけの展示で昭和の作家が作った写しの絵を鑑賞する。しかし、頭にこの顔が源頼朝と刷り込まれてる私はこれで十分、もっと言うとこの絵以外の顔を想像できない。

蓮華虚空蔵菩薩

法界虚空蔵菩薩

五大虚空蔵菩薩(金剛、業用、法界、蓮華、宝光)が円形に並べられ、これを見比べながら回る。特に蓮華虚空蔵菩薩像は顔が美しく見えたような気がした。

いよいよ、薬師如来立像(本尊、国宝)とのご対面。脇侍が日光・月光菩薩、こちらはわずかに赤く着色されている。薬師如来さまの顔は前から見ると厳しい口元や目をされているが、側によると実に優しげな表情に変わる。昨年、土門拳の写真展で見たが、土門が最も好きだった仏様と書いていた気持ちがわかる気がした。

(土門拳の写真)

他にも黒字に金色で書かれた大般若経(重文)や山水屏風などもあったが、私は薬師如来様を見ることができ、大満足であった。

なお、2つの仏像(持国天、増長天)のみ写メを撮ることができた。