『夏旅の晩餐』④、最後の夕食は瀬田の唐橋そばにある老舗牛肉店が経営する鉄板焼きの店『松喜屋』に行く。これは琵琶湖プリンスのコースの一つで宿泊客が夕食を地元レストランで頂くことができる。
実は翌日夜は琵琶湖花火大会であまりの混雑からこのコースの設定はなく(店も夜は休業)、詳しく聞くと従業員が交通渋滞で家にたどり着けないからという。
レストランに入ると大きな鉄板の周りに席が用意されていてコースが始まる。メニューは予め決まっていてので乾杯のビールのみを注文する。冷たいビールを毎夜飲んでいるが、これが美味い。
1品目はとうもろこしの寄せ物に牛肉と鱧の冷製が添えてあるさっぱりした冷菜。
2品目はナスの肉そぼろ煮込み、鋳込みプチトマト、牛肉ときゅうりの酢の物。さすが牛肉店、必ず牛肉が入っている。
3品目は牛肉と鯛の和風カルパッチョ、酢味噌がいい味を出している。少し火を入れた牛肉が美味い。
ここで赤ワイン、この店のワインリストはすごい。その中で滋賀県栗東市のワイナリーで醸造された山葡萄(山梨県産)とカベルネ・ソーヴィニヨンの交配種『ヤマ・ソービニオン』で作られた『浅柄野』というワインを頂く。思っていたよりマイルドな香り、程よい酸味のある赤ワインである。やはり地元の葡萄で作られたワインと牛肉を合わせてみたいので注文した。
4品目はコーンの冷製ポタージュ、暑い日にはたまらない。甘みも程よく、食欲の湧くスープである。
サラダはコンビネーションサラダに牛肉冷製を乗せた物。寒天が爽やか。
(2人前です。)
そしてメインは100gの黒毛和牛の鉄板焼きステーキ、まずは肉を見せて頂くが、さしがうまく入っている。焼き野菜はエリンギ、シシトウ、ズッキーニ、滋賀名物赤こんにゃくである。
目の前でシェフが肉を最も簡単に焼いてくれる。焼き加減は連れ合いの好みもあり、ミディアム。いい肉だから本当はあまり焼かなくても良く、あっという間にフランベして肉は焼き終わる。調味料は塩胡椒のみ、これを脂身を避けて小さめにカットして出してくれる。
タレは3種、手前からニンニク醤油、泡塩、ホースラディッシュ。泡塩はこのお店のオリジナル、塩とメレンゲ、牛脂を固めた物で意外に硬い。タレと併せて使うのもいい。
まずは肉をニンニクチップのみと口に入れるが、肉は表面はカリッと、中はジューシーに仕上がり、口の中で脂肪がとろけてとにかく美味い。夏旅の晩餐の最後を飾るにふさわしい。焼き野菜もシャキシャキ、赤こんにゃくは単なるこんにゃくと異なりちゃんと味がつけられていた。
残りの脂身をどうするのか見ていたが、この店では捨てることも焼飯に混ぜることもせず、醤油ダレをかけて香ばしくカリカリになるまで焼いてくれる。牛脂は溶け出して残された茶色の物体はサーロイン好きならば堪らない。
締めはガーリックライス、牛脂のお茶漬け、ビーフカレー、稲庭うどんより選べるが、我々はガーリックライスをお願いした。目の前でシェフがご飯を先ほど肉を焼いた油を使ってニンニクを焼き、ご飯を入れてこちらもカリカリになるまで焼いた逸品。もちろん、美味かった。
デザートはアイスクリーム。さらに特製焙煎のコーヒー粉を掛けることもできる。これをお願いしたが、コーヒーの深い香りとバニラアイスがアフォガード風にマッチしておりました。
サービスも満点、ご馳走でした。旅の最後のディナーとして言うことがありません。
松喜屋
大津市唐橋町14ー17
0775342901