朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
いつの日か「あれから三十年」となるそのころ風はきれいだろうか
(福島市)美原凍子 (4/7 高野公彦選)
想定外だったと今度も言うだろう原発再開事故起きたらば
(福山市)武暁 (4/7 高野公彦選)
ALPS(アルプス)ははるかなる山脈にあらず放射性物質除去装置なり
(福島市)美原凍子 (4/13 馬場あき子選)
フクシマは地下水バイパス受け入れて東京はきょう桜が咲いた
(木更津市)渡部直人 (4/21 馬場あき子選)
檄にいま「脱原発」を飛ばしたし全共闘は老いたるもなほ
(三郷市)岡崎正宏 (4/21 佐佐木幸綱選)
道の辺にスミレ、タンポポ咲き初めて四年目に入る仮設住宅
(いわき市)佐藤美二 (4/28 馬場あき子選)
放射能塗(まみ)れになりて肌出して戯れて笑ふて羅漢は御在す
(いわき市)馬目弘平 (5/5 佐佐木幸綱選)
大間にて反原発の遺志を継ぐ厚子さん待つ草餅作りて
(田辺市)石垣多鶴子 (5/5 佐佐木幸綱選)
仮設でも蕗のてんぷらおすそ分け戻れぬ里のならわし続く
(田村市)荒井正一 (5/12 佐佐木幸綱選)
東電テレビ会議の記録映像(ドキュメント)あのとき我は給水の列に
(福島市)井本昌夫 (5/12 佐佐木幸綱選)
原発に頼る小さき県庁に新卒の孫は税の職得し
(京都市)吉岡節雄 (5/12 佐佐木幸綱選)
原発の廃炉敷地の汚水槽墓標の如く見えて悲しも
(横浜市)寺口敏勝 (5/12 馬場あき子選)
福島を逃れし人と土筆摘む
(山口市)浜村匡子 (4/7 金子兜太選)
福島より視線逸らさじ土降れり
(仙台市)柿坂伸子 (4/13 金子兜太選)
戻れない村がテレビに初桜
(福島市)引地こうじ (4/13 金子兜太選)
東北や背に白刃の花の冷
(船橋市)斉木直哉 (4/21 金子兜太選)
花の中被爆忘れるために酔ふ
(いわき市)馬目空 (4/28 長谷川櫂選)
神も逃げし春の原子炉沈黙す
(東京都)無京水彦 (5/12 金子兜太選)