かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(12)――朝日歌壇・俳壇から(2014年4月7日~5月12日)

2014年05月12日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

いつの日か「あれから三十年」となるそのころ風はきれいだろうか
             (福島市)美原凍子  (4/7 高野公彦選)

想定外だったと今度も言うだろう原発再開事故起きたらば
             (福山市)武暁  (4/7 高野公彦選)

ALPS(アルプス)ははるかなる山脈にあらず放射性物質除去装置なり
             (福島市)美原凍子  (4/13 馬場あき子選)

フクシマは地下水バイパス受け入れて東京はきょう桜が咲いた
             (木更津市)渡部直人  (4/21 馬場あき子選)

檄にいま「脱原発」を飛ばしたし全共闘は老いたるもなほ
             (三郷市)岡崎正宏  (4/21 佐佐木幸綱選)                                      

道の辺にスミレ、タンポポ咲き初めて四年目に入る仮設住宅
             (いわき市)佐藤美二  (4/28 馬場あき子選)                                        

放射能塗(まみ)れになりて肌出して戯れて笑ふて羅漢は御在す
             (いわき市)馬目弘平  (5/5 佐佐木幸綱選)

大間にて反原発の遺志を継ぐ厚子さん待つ草餅作りて
             (田辺市)石垣多鶴子  (5/5 佐佐木幸綱選) 

仮設でも蕗のてんぷらおすそ分け戻れぬ里のならわし続く
             (田村市)荒井正一  (5/12 佐佐木幸綱選)                                      

東電テレビ会議の記録映像(ドキュメント)あのとき我は給水の列に
             (福島市)井本昌夫  (5/12 佐佐木幸綱選)                                      

原発に頼る小さき県庁に新卒の孫は税の職得し
             (京都市)吉岡節雄  (5/12 佐佐木幸綱選)                                    

原発の廃炉敷地の汚水槽墓標の如く見えて悲しも
             (横浜市)寺口敏勝  (5/12 馬場あき子選)                                        

福島を逃れし人と土筆摘む
             (山口市)浜村匡子  (4/7 金子兜太選)

福島より視線逸らさじ土降れり
             (仙台市)柿坂伸子  (4/13 金子兜太選)

戻れない村がテレビに初桜
             (福島市)引地こうじ  (4/13 金子兜太選)

東北や背に白刃の花の冷
             (船橋市)斉木直哉  (4/21 金子兜太選)

花の中被爆忘れるために酔ふ
             (いわき市)馬目空  (4/28 長谷川櫂選)

神も逃げし春の原子炉沈黙す
             (東京都)無京水彦  (5/12 金子兜太選)



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