かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(6)――朝日歌壇・俳壇から(2013年5月13日~6月5日

2013年06月09日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

列島のま中のくぼみ原発の集中地帯仏像あまた
             (小浜市)四方幸子    (5/13 野公彦選)

福島に生まれ育ちてひたすらに風評消さんと夫と飴切る
             (須賀川市)池上恭子   (5/13 佐佐木幸綱選)

フクシマやチェルノブイリは走らない暴走したのは人間である
             (横浜市)森秀人       (5/13 佐佐木幸綱選)

チェルノブイリネックレスとふ手術痕隠し病むなり少女ナターシャ
             (浜松市)松井惠      (5/27 馬場あき子選)

十二頭の飼いし牛の名紙に書き仮設の室に貼れる人あり
             (福島市)青木崇郎   (5/27 佐佐木幸綱選)

ひたひたと海辺に立てる廃墟にて原発時に熱く沸き出す
             (須賀川市)小沢美代子  (5/27 佐佐木幸綱選) 

原発の「アンゼン」と打てばパソコンは「暗然」と出す汚染水漏れの日
             (福島市)澤正宏      (5/27 野公彦選)

下北の原燃原発見下ろして安全無限の風車が回る
             (東京都)宮田礼子   (5/27 野公彦選)

隣町に原発ありて遠近を自慢する人悲観する人
             (いわき市)馬目弘平  (6/3 佐佐木幸綱選)

 

フクシマを逐われし人と花見茣蓙
             (市川市)杉森日出夫   (5/27 金子兜太選)

遺伝子の恐怖知りけり五月闇
             (仙台市)木戸月彦   (5/27 大串章選)

被爆の海鰹虚しくなりにけり
             (浜松市)宮田久常   (6/3 金子兜太選)

赤鬼のやうに夏来る福島は
             (いわき市)坂本玄々   (6/9 金子兜太選)