キジハタの清酒洗い
今日は、キジハタのお刺身です。
キジハタは、初夏から盛夏に漁獲が多く夏のお魚という印象がありますね。
群れを作らず単独で暮らすお魚といわれていて、纏めて沢山水揚げは難しいようですが
夏場は、そこそこの量が入荷するので楽しみです。
先日、 「キジハタの清蒸」 を掲載して、今日は、 「清酒洗い」 にしてみました。
お刺身の洗いというと、スズキと鯉が有名です。
氷水でさっと締めて、水分を拭ってツルンと頬ばるのが、なんとも涼やかで美味しいものです。
特に蒸し暑い夏場などは、洗いで味わうと、クセになって、どんな魚も洗って味わいたくなる程ですね。
純白な白身が、より白く鮮やかになり、見るからに美味しそうで素敵です。
ハタもまた、洗いで味わうのが向いているお魚として知られています。
ハタの場合は、その強烈な脂を表面だけさっと洗い、口当たりを爽やかにすると言われてるの。
もっとも、それは大きな脂ギッシュなハタのお話しで、
今回の小柄なキジハタは、さほど脂も乗って無いので、洗い流す程の事は無いのですけどね。(^_^;
わたしは、高級割烹なんてところは縁遠い人なんですが、
仕事柄、打ち上げの慰労会などで、親会社の接待で時々敷居の高い料亭に招かれる事があります。
過去に二度、ハタの洗いをそんな接待で味わった事がありました。
二度とも、ただの洗いではなく、これ見よがしの清酒洗いで、そのただならぬ儀式に、見とれるばかりでした。
魚は、マハタなのかマハタモドキなのかよく分からなかったけど70センチもある立派なサイズでした。
釣人からは「かんなぎ」なんて呼ばれるようなハタですね。
板前さんが器用に目の前で捌き、あっという間に柵取りして、プロの腕前に感服しきりでした。
その頃、助手の板前見習いが、カチ氷の敷き詰められた芸術的な彫りの入った硝子鉢に、
高そうな清酒の口を開け、半分くらいドボトボと注ぎ、カチ氷とザクザクに掻き混ぜ準備完了。
そして板前さんが、見事な削ぎ切りでハタを切るのですが、
その切り方の綺麗な事と、リズミカルなスピード感は、流石プロは違うと感動的でした。
それを女将さんが、箸で摘まみ、キンキンに冷えたカチ氷たっぷりの清酒で、さっとしゃぶしゃぶ。
その瞬間、清酒の表面にドバ~っと脂が浮き、清酒は白濁。凄い脂でした!
それをパタパタと水分を拭い、用意してあった薬味を飾り付けられた小皿に、
花びらのようなカタチに手際よく数切れずつ盛り付け、客人に手渡します。
目の前の芸術作品を食べてしまうのか惜しいくらいの見事さでした。
もちろん、生温くなる前に、わたしの口にペロリと吸い込まれました。。
う~ん、これがハタってものか! その時、ホントにそう思い感動しました。
その芸術作品を食べ終わる頃、
洗いに使ったカチ氷たっぷりの白濁してしまった清酒を惜しげも無く流して、
新しい氷に、半分残しておいた清酒を全部ドボトボ注ぎ、再び洗いの儀式が始まりました。
今度は、女将さんの飾り付け、盛り方が前回と違うものにされ、二度目もまた美味しく味わえました。
これを贅沢と言わず何と言ったら良いのでしょうか。。
良い経験をさせていただきました。
とても綺麗な日本庭園を眺めながらの酒席だったけど、庭園を鑑賞する余裕は、ひたきさんにはなかったとさ。
それはともかく、そんなスケールの大きなお話しのバックの写真は、
日曜調理家、見習いの「海鮮割烹 ひたき」の清酒洗い (もどき) です。
氷はたっぷり使ったけど、清酒は安もの、しかも並々と使わず、底のほうにちょっと溜めてしゃぶしゃぶしてます。(^_^;
お魚は可愛いキジハタだから、そんなに白濁するほど脂が乗って無いので、恰好だけの清酒洗いですね。
しかし、ノーマルのお刺身より、色合いがより白っぽくなり高級感溢れる色合いのお刺身になったと思います。
舌触りも、良くなり、美味しくなった ( ように感じました )。
キジハタ兜と粗の醤油汁
洗いで味わった後の兜と粗は汁物にしました。
いつもだと、潮汁、そして味噌系スープなんですが、今回は珍しく醤油汁にしてみました。
薄口と濃口を等分くらいで使っています。
醤油なので分かり辛いですけど、サイズの割に脂が出て、汁は白濁気味です。
そになところは、ハタらしいですね。
こちらは、脳天唐竹割りの兜の裏側。
ちっこいけど、まずまず魚肉はありますね。
こちらは、カマ 。 こちらも一口サイズです。
キジハタ皮の一夜干し焼き
皮は、一夜干し (実際干したのは、6時間くらい)
水分を抜いてから焼いてます。サクサクのスナック感覚ね。
キジハタ一尾完食 ! ごちそう様~。。
清酒洗いは、少しスケール感が乏しく迫力不足だったけど、とても美味しかったですよ。