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アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

龍馬を読む愉しさ ~再発見の手紙が語ること~

2016-01-26 19:19:13 | 読書日記
 「龍馬を読む愉しさ ~再発見の手紙が語ること~」
 宮川 禎一著 臨川書店

 平成12年に京都国立博物館に送られた川原塚茂太郎宛の書簡の写真から、その書簡を読み解き、新たな龍馬像を浮かびあがらせた本である。本書は、この再発見の書簡を、全文紹介して、解読しているので、だいたいこういう書簡については、読むのが面倒なので読み飛ばすことが多いのだが、今回はちゃんと読みました。(まあ、読まないと本書を読む意味はないのだか・・・。)意外と、読めますね。細かい部分は、別として。また、実際の書簡の写真も掲載されているので、龍馬の筆遣いも感じながら読めます。字の大きさ、字の並びなどあまり気にしていないような自由奔放な書体を見ていると、枠にとらわれない自由闊達な坂本龍馬の姿が浮かんでくる。
 考えれば、歴史資料としての手紙ってこれからあまりないかもしれない。僕らの世代でも、手紙など書くことはほとんどなくなっている。基本、メール等のやり取りがほとんどである。メールという媒体で書かれた文章など今後残っていくことは、普通ありえないだろう。それはそれで寂しい気がする。

 本書で紹介している書簡は、坂本家の後継者問題を表しているものである。家とか相続といった土着的なものから自由であるような印象を受ける坂本龍馬も実は、そういったものと無縁ではなかったというか結構、心に重くのしかかる課題であったのである。龍馬も時代の子なのである。
 本書では、おやべという女性は、姪の春猪であるといくつかの書簡を元に検証している。ちなみに、最終的には、坂本家の後継者問題は、春猪が婿を取ることで一定の解決は図られることになる。

 著者は、龍馬の手紙文の特徴として、「例え話が多いこ。話し言葉を手紙文で記すこと。ユーモアに溢れていること。長文の手紙が多いこと。」などが龍馬書簡の特徴であり、魅力であると述べている。そして、龍馬の人柄もおしゃべりが好きな人物であったと推定している。
 確かに、龍馬の手紙については、特に家族にあてた手紙などは、読みやすく、表現もユーモラスな感じのものが多い。(ちなみに、同じ著者で、「全書簡現代語訳 坂本龍馬からの手紙」が出版されているので、本書に紹介されている書簡以外の目にすることができる。)非常に型や既成概念に捉われることのない坂本龍馬の人物をそこに見ることができるような気がする。

 また、本書では終章に、お龍の若かりし頃についても、検証している。お龍の写真については、晩年に撮った写真が1枚残っているのみであった。近年、近江屋の子孫に伝来していたアルバムに残る写真ともう1枚、「セピア色の肖像、幕末明治名刺判写真コレクション」という本に収録されている写真が、お龍の姿を伝えている可能性があるとされている。本書では、写真の撮られた状況や時代背景などから、検討を加えている。

 本人か別人か別として、坂本龍馬を語る上で最大のヒロインのはずなのだが、あんまり世上評判がよろしくないのは、龍馬の死後、龍馬の実家を離れて再婚したからであろうか。お龍自身は、龍馬の死後40年近く生き、明治39年に66歳でこの世を去っている。

 京都国立博物館では、坂本龍馬関係の文書がいくつか収蔵されており、時折特別展示されている。僕も、平成17年に行われた展覧会「龍馬の翔けた時代」展を見に行ったことがある。ちょっと気持ちが後ろ向きになった時、坂本龍馬の本を読んだり、史跡を歩いたりして元気をもらっている。色々と目の前に難題はあるのだけれど前を向いて頑張りましょう!

 【追記】
 
 京都国立博物館で坂本龍馬の没後150年ということで、下記の期間、特別展覧会が開催されます。今から楽しみですね。

 【会 期】2016年10月15日(土)~11月27日(日)
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